だれにでも「いい顔」をしてしまう人 嫌われたくない症候群 (PHP新書)

  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569691114

作品紹介・あらすじ

一見すると明るく社交的だが、心の奥はさびしくて不安。「ありのままの自分」に自信がなくて、他人の同情や歓心を得ようとイヤとは言えずその場をとりつくろう。「私だけが我慢している」と不満は募る一方。好意すら敵意と誤解する。他人に好かれることが生きる目的になってしまった不幸な人たち。自分の気持ちさえ見失い、優しい言葉をかけてくれる「ずるい人」にだまされる。しまいには人と接するのが恐怖になるのだ。嫌われてもいいじゃない!「いい顔」をやめたら、人生はラクになり、本当の味方が見えてくる。

感想・レビュー・書評

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  • 1.要約
     本書は、誰にでも「いい顔」をしてしまう人を「嫌われたくない症候群」であると定義し、その心理のメカニズムや弊害、そして脱出方法について述べた書である。
     人から嫌われているということが心にどう影響するかは、その人によって違う。大きな影響を被る人もいれば、ほとんど影響を受けない人もいる。「嫌われたくない症候群」の人は、嫌われているという事実よりも、嫌われることに恐怖を覚えて、自分を見失う人である。こうした人には自分を守るための心の砦がない。そうして、嫌われないために無理をしても、幸せに離れないし、自己喪失に陥り、人生が行き詰まってしまう。そこから脱出するには、「人間誰でも誰かに嫌われる」ことを受け入れ、自分の軸を持って生きていくということが必要である。本書を通じて得られた主な内容は次のとおり。

    2. 嫌われたくない症候群の行動原理
     嫌われることを恐れて周囲に自分を出すことができずに、表面的に仲良く振る舞ってしまう。その結果、コミュニケーションは接待になってしまう。このため、他人にも、自分自身の心の本音が触れ合うことができず、のちに「もう一度会いたい」と思える人がいなくなる。逆に、「もう一度会いたい」と思える人がいるということは、心が触れ合っていた証拠である。
     嫌われることを恐れて、自分の本心を犠牲にして周囲に合わせる。しかし、自分より弱い人がいるとその人に対してはずるい人となり、相手に犠牲を求める。
     嫌われることが怖くて自立できない人は、対立したときに対処する道具を持っておらず、対立や対決においてものすごいエネルギーを消耗する。
    嫌われたくない人は、心の根本に劣等感や恐怖感や怒りを抱えていて、弱点も含めた自分自身をありのままに認めることができない。善なるもの・価値は自分の外にあると認識して、完璧にこだわり人に優越することで自分を保とうとする。その結果、他者の評価に依存する。また、優越を求める心性は、優越により他者を貶めようとする敵意に基づく心性である。そのために他人も自分を貶めようとしていると感じ(自分の敵意の外化:自分の心の中にあることを周囲の人の中に見ること)、他人が怖くなる。


    3. 嫌われたくない症候群の弊害
     自分の本心を隠し、他人にも自分にも本音を出さないことで、孤独感を高める。また、嫌われたくないということから、常に優越しようという方向にエネルギーを傾けるため、コミュニケーションができなくなる。嫌われたくないということで自己実現をせず、自分を欺くことにより、支配・服従関係の服従側に自分をおくことで、自身の恐怖心や憎悪を高めてしまい、最終的には人間関係が破綻する。そして、だんだんとうまくいかないことが増えて、最終的には、燃え尽きる。

    4. 嫌われたくない症候群から脱するには
     自分自身の恐怖心、劣等感、寂しいという心を認識し、自分は欠点があっても愛されると思うことが大切。そして、自分をしっかり持つために、評価に関わらず楽しいと思えることを見つけ、自分の基準を持ちそれに答えようとすることが大切である。また、嫌われても問題ないということを認識し、自分の中の「嫌われてはいけない」という規範を捨てる。また、自分らしく、自分の能力に従って生きることが大切。
     対立は、解釈の違い、正しいコトと正しいコトのぶつかり合いであり、その言い分をお互いぶつけ合い感情を整理することで、より良い関係を作るものと認識する。
     また、そうして自分を毅然と出すことで切れる関係は、切れてよい関係である。人間関係に優先順位をつけて、誰に認められたいか、誰と関係を続けていきたいかを選択することが重要である。

    5. 感想
     嫌われる勇気を持つには、幸せは外にはなく自分の内にあると信じ、自分の軸に従って生きていくということが大切と認識した。不適応的な完璧主義の要素である、厳しすぎる自己批判、他者への評価依存が「嫌われたくない症候群」を助長する要因であり、その奥底には、支配的人間に服従することで自分を保ち、きちんとできていないと認められないと考える自身の恐怖感があることを知った。そのため、自分を受容し、自分の価値観・軸を持って生きるということが重要と理解した。ただ、そうは言っても、現実に認識を変えることは難しいが、それをフォローしてくれるのが、セルフ・コンパッションによる自己受容だと思った。セルフ・コンパッションを高めて、自己受容し自分の価値観・軸を持ち、勇気をもって人とかかわっていけば、「嫌われたくない症候群」からも脱出できるのではなかろうか。また、不完全な自分も受け入れてくれる人との交流をはかり、安定的なアタッチメントを形成し実感することにもトライしたい。今後も、セルフ・コンパッションの瞑想やワークを続けて、高めていきたいと思った。

  • 仕事のために勉強になることがたくさんある本だった。
    以前の弱かった自分自身と重なるものを感じる部分もたくさんあった。
    心が触れ合っていれば"嫌なときには嫌"と言えると言う言葉が自分の中で妙に納得するものがあった。
    恋愛で悩んでしまっている人も、結局はみんな相手との心の触れ合いがないからこそ言いたいことが言えないのだろう。
    それはすなわち信頼がないと言うことになる。
    学びを感じる言葉がたくさんあり、この感想のスペースには書ききれないほどに、何度読んでも勉強になる本だと思った。
    そして同時に、いじめに遭っていた中、13歳の私にプレゼントしたいと思える一冊だった。

  • 加藤氏の数ある中で、一番最初に読んだ本。某人生相談で衝撃を受けて加藤氏を知り、買ってみた。

    今までの自分の性格を書かれているような感じがした。
    人との付き合い方、自分の考え方(劣等感、恐怖心etc)

  • 安売りしてたから、軽い気持ちで買ったが、読んでみて衝撃を受けた。

    まるで著者は私の人生をずっと監視カメラのように見てきたのではないかと思うほどの、

    筆者の深みのある分析と鋭い指摘、そして独特な語り口調に、思わず涙が溢れた。



    協調性はあるが、八方美人な自分が嫌いな人にオススメ。

    自分自身と対峙できることは間違いない。

    ただし、著者が導き出した今後の対策は鵜呑みにしないで頂きたい。アイデンティティを喪失し、鬱状態になりかける可能性がある。

  • 何にもしなくても嫌われる時は嫌われるし、怒られる時は怒られる。

    だいたいスルーしてればokってことかな。自分が正しいと思うことをしよう。

  • とどのつまりは、快食快眠快便を目的に生きよ、嫌われることを恐るな、修羅場をおそれるな、修羅場は活路の証拠、だと解釈。
    文調がけっこう特殊で、暗くなりそうになりました。


  • 主に対人恐怖症を前提に書かれていますが私自身は当てはまりません。
    しかし、精神的な疾患の潜在的意識に関わるかと思い読んでみました。

    こういうプロセスで八方美人になるのか、依存症になるのかなどがクリアになる本でした。

    まずは他人を基準にせずに自分中心でマインドセットしたいと感じます。

  • 特に前半、批判的な内容が多いので、耳が痛かった。
    ほんで、どーしたらええねん!に答えてくれる部分が少ない。

  • 前半、聞いてて疲れて最後までよめぬ

  • 図書館

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著者プロフィール

1938年、東京生まれ。東京大学教養学部教養学科を経て、同大学院社会学研究科を修了。元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員。現在、早稲田大学名誉教授。
主な著書に、『自分の心に気づく言葉』『心を安定させる言葉』(以上、PHPエディターズ・グループ)、『心の休ませ方』『自分のうけいれ方』『不安のしずめ方』『自分に気づく心理学』『やさしい人』『絶望から抜け出す心理学』(以上、PHP研究所)、『なぜ、あの人は自分のことしか考えられないのか』(三笠書房)、『心と体をすり減らさないためのストレス・マネジメント』(大和書房)などがある。

「2023年 『ブレない心のつくり方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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