- Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569692333
作品紹介・あらすじ
グローバリゼーションが進む現代もなお、日本人は西洋の価値観に囚われているのではないだろうか。われわれが用いる"個人"や"自由"といった周知の概念が、そもそもは「輸入品」である。本書では、日本特有の個と社会のあり方について、諸外国の文化と比較して考察する。いまも強い訴求力をもって読者に迫る、人間の懐疑と決断を真摯にみつめた思想家の原点。一九六九年の発刊以来、五十版近くを重ねた名著『ヨーロッパの個人主義』がよみがえる。復刊にあたり、新たに三十ページを加筆した完全版。
感想・レビュー・書評
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個人のエゴイズムと社会の拘束力とのあいだのバランスを問題視し、文化や社会の側から人間を探求するのではなく、人間を先に考える。これはフロイト的である。そして個人の対話力をいかに高めることができるか。衝突や闘争に身をさらし、矛盾を矛盾として保持し続ける力。そのような個なくして多様性も国際性もない。政治よりもむしろ教育や心理の領域への今日的な示唆に富む本である。
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09102
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1969年の講談社現代新書に加筆したもの。
30代のときに執筆した内容を変える必要はなかった、と自ら評価している。
たしかに、日本人の状況は驚くほど変わっておらず、またこの頃の西尾の筆は冴えている。
あまり覚えていないのだが、たぶん私は西尾を読んでいたのかもしれない。
そう思えるほど、ここに書かれている7割ぐらいの部分は、完璧に同意できる。
いまの日本はおかしいのではないか、いや自分の方がおかしいのか・・・、そんなことを感じている人は是非一読されると良いだろう。
ただ、個人としていきてゆくなら覚悟を決めや、というのがニーチェなり西尾から読み取るべきことで、それ以上の社会で現にとるべきスタンスは彼らからは学ぶ必要はない。