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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784569692777
作品紹介・あらすじ
なぜ真意はうまく伝わらないのか? 「言った・言わない」の不毛な口論はなぜ起きるのか? 日常的な言葉のやりとりには、つねに誤解や不安、疑心暗鬼がつきまとう。わかりあうのは難しい。▼しかし、どんなに理屈や表現が正しくても意思疎通は成立しない。言語はたんなるロゴスではなく、共感には別の条件が必要だと著者は言う。▼言葉はコミュニケーションの道具とばかりに、スキルさえ磨けば論理的な話し上手になれると考える風潮に一石を投じる一冊。壁があってもなお、意をつくして語ろうとする姿勢の大切さを説く。▼会話はスキルじゃない! 理屈を超えてわかりあえる、「思い」が伝わる生の言語哲学。▼【だれもが感じる言葉の不思議】なぜ言葉はすらすらと出てくるのか/なぜほんとうのことが言えないのか/なぜ言いたいことがうまく通じないのか/なぜ「言った・言わない」が生じるのか/なぜ文法的にまちがっていても言葉はきちんと伝わるのか etc.
感想・レビュー・書評
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先日読んだ今井むつみ先生の「『何回説明しても伝わらない』はなぜ起こるのか?」に続き、同じようなテーマで少し難しいタッチの本を読んでみた。
アプローチや表現は違えど、なるほど、結論は同じ点に収束する。
言語を語ることは、人間交流のあり方を語ることになる。
音声が先か、思想が先かと考えれば、言語の発生期を想像すると、概念がまずあって、それを音声にするために苦労したというような過程は想像しにくい。
新約聖書にあるように「はじめにことば(ロゴス)ありき。」なのではなく、古今和歌集の冒頭にあるように「ひとのこころをたねとして よろづのことの葉とぞなれりける。」のではないか。
というように展開されていき、
「言葉が理解されるためには、聞き手のうちでいったん話し手の表現行為をなぞりなおして身体化してみなくてはならず、そのためには聞き手の側に、世界を「意味」として受け取るだけの了解の構えが開かれていなくてはならないということです。」
つまり、言葉が通じない理由は言葉の外にある、という話。
今井先生のいう「スキーマが違う」と同じと思って良さそうだ。
以下、いくつかグッときた表現をメモ。
「言った・言わない」が不毛であることについて
「もともと記憶があてにならないのは、人間にとって必然的といってもよいものです。なぜかというと、記憶というのは、地中に埋めておいた金塊を掘り出すようなものではなくて、過去の経験を、まさに「いま」まとめる、そのつどの行為だからです。人は「いま」の関心と感情にもとづいて、たえず記憶を記憶として総括し、創作していると言ってもよいでしょう。」
音響知覚の特性のひとつとして
「なぜ音響体験が「心」や「内面」を形成する重要な条件になるかというと、音響の知覚は、必ず時間に沿った体験だからです。いっぽうで私たちの意識は、たえず時間に沿って流れています。それはそれ自体としてはストップを許しません。(略)ですから、音を聞いている体験は、私たちの意識がそれにとりついて時間の流れに沿って一緒に歩む体験そのものを意味します。それは、いつも意識の本質的な不安状態、「流れ」状態とともにあるのです。」
言語の特性をまとめて
「こうして言語行為は、ものごとの固定化と流動化の両義性をつねにもちます。つまり、言語とは、何か決まっている事柄、客観的な真理のようなものがまずあって、それを正確に音声記号に映し出すというようなものではないのです。
言語の外側の現実は、つねに混沌としています。その混沌とした現実に真実らしい輪郭を与え、その輪郭を踏まえて世界への新しいかかわり方を決めていくのは、私たちの言語行為それ自体なのです。」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
言葉についての考察。吉本隆明の言語本質論、時枝言語論、ソシュール言語論など、先人達が論じてきた様々な言語論を取り上げて考察し、著者の見解を紹介する。
著者が考察した言語の7つの特性は大変勉強になった。普段使っている言葉に様々な特性があることを判った。話すことや書くことについて、この特性を意識することが重要だと思う。 -
厳密な議論があるわけではないけど、色んな話題が出てきて面白かった。厳密な議論を求めてしまうのも、直前に言語哲学の本を読んだからというだけのことなのかもしれない。
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言葉とは何か、言葉の持つ性質、機能について。「思っていたのと違った」と思いながら読んでいたが、後半にいくにつれ「なぜ噛み合わないことがあるのか」を体感的に理解できた。自分が「自分の使う言葉」と向き合うのに良いきっかけになった。
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いわゆる日常会話におけるコミュニケーションの祖語について…ではなく、そもそも言葉とはなにか、どういった機能をもっているのか、といった学術的な方面の本。
本の評価というよりも、求めていたものと違った。 -
タイトルとは裏腹に、言葉が通じる仕組みについての考察。ソシュール風に、言語を構造化して組み立てるというより、人間としてプリミティブにもつ情緒や身体感覚が、言葉の根底に張り付いているという立場で、言語コミュニケーションを解いていく。
答がでる類の議論ではないが、モノゴトを伝えることの奥深さを考えさせられつつ、言葉で「言葉を語る」難しさを実感してしまう。
著者プロフィール
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