オッペンハイマー 上 「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇

制作 : 河邉 俊彦 
  • PHP研究所
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本棚登録 : 49
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569692920

作品紹介・あらすじ

一人の天才物理学者の生涯から見えてくるアメリカという国家の光と影。ピュリッツァー賞受賞作品。

感想・レビュー・書評

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  • オッペンハイマーの伝記。上巻はトリニティの成功までを描く。

    オッペンハイマーの果たした科学的な役割や解説は少なく、
    またマンハッタン計画における科学的な進捗についても
    「原子爆弾の誕生」の詳細な記載には劣り、
    文書全体として人間関係の描写に重きを置いている。

    しかしオッペンハイマーを通して戦時アメリカの左派の活動や
    左派に対する軍部の姿勢を細かに説明しており
    その点では非常に興味をそそる。
    下巻ではさらにマッカーシーによる赤狩りの記載もあるようで、
    非常に楽しみだ。

  • 前半は、彼の天才ぶりを示すエピソードが次々と。
    生い立ちを知ると、その後の彼の行動も多少理解できるような気がする。

  • アメリカの共産主義への病的に神経質な怯えが、言葉通り、世紀の茶番を現実のものにしてしまった。その模様が克明に描かれている。

    そしてその茶番劇が現在の核兵器が支配する世界に明確に繋がってしまった。

    日本人は核兵器の残酷さを他のどの国家よりも知っている。広島・長崎の悲惨さを見聞きする機会は、当たり前だがどこの国家より多い。だから原爆が戦争を終わらすための正義の鉄槌ではなかったことを知っている。

    他方、どういう理由で原爆が製造され、実際に日本に投下されるまでの過程を、原爆の悲惨さほど、知っているわけではない。

    原爆投下の理由のひとつとして挙げられる、科学者が発見してしまった新しい力を使わずにはいらなかったという考え方は、全てではないが誤りが多い。正確と思われる歴史的背景は、やはり、知っておくべきだ。

    本書はシリアスで込み入った話の連続だが、他方、ニースル=ボーアが核兵器の国際管理を求めてロスアラモスを訪問し、オッペンハイマーと会談する場面やオッペンハイマーがアインシュタインの誕生日に、クラシックの聴けるラジオをプレゼントする場面など、伝説の物理学者達の体温が伝わってくる交流の描写に触れると、何とも言えない優しい気分になれた。

  • 下巻もあります。上下あわせて1000頁くらいになる大作。しかも取材には25年(!)もかけているというだけあって、そのリアリティは半端じゃないです。
    本作は05年に出版された原版の邦訳版ですが、正直、訳者の力量不足なのか、おかしな凝り方をしたせいなのか、日本語としては読みにくい箇所がちょくちょく見受けられます。英語力があれば原版を読めば、ピューリッツァ賞受賞作、という本作の実力がわかるのでしょうけど・・・
    内容的には、それこそ「ゆりかごから墓場まで」の記録がキチンと残された人物は珍しいのではないか?と思うくらい、膨大な記録が残されている人、それがオッペンハイマーです。彼の生涯を辿ることにより、彼自身の歴史はもちろん、アメリカという超大国の歴史もにじみ出てきます。
    奇しくも、ドイツの天才物理学者ウェルナー・ハイゼンベルク同様、科学者が国家(政治)に翻弄された典型的な例ではないかと思いました。その状況はおそらく現在もいささかも変わっていないのではないでしょうか?とすれば、オッペンハイマーが自分の科学者としての生命を賭した行動・言動が活かされていないわけで、それは人がいかに愚かな生き物であるか、という証明にもなりそうです。

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