「頭のよさ」は遺伝子で決まる!? (PHP新書 478)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569694429

作品紹介・あらすじ

言語力、計算力、記憶力、集中力、創造力、コミュニケーション力…。「頭のよさ」を決めるさまざまな能力や性格は、はたして生まれつきなのか、それとも環境や努力で変えられるものなのか?「だれでも三回くりかえせば暗記できる」「一カ月で脳のつながりは変えられる」「好奇心が強い人の遺伝子が見つかった?」-最新の遺伝子研究によって、人間の神秘がすこしずつ見えてきた。眠れる遺伝子をオンにすれば、才能は自然と開花する。勉強に仕事に人間関係に、自分なりの方法で脳を効率よくはたらかせるための第一歩。

感想・レビュー・書評

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  • 108円購入2018-06-23

  • 通俗的で怪しい脳科学本ではないけれど、例えばIQは変化しないとか、「えー、それっていつの話よ」と思うような記述もいくつかあって、どこまで信用していいのか迷う。

  • さらっと読む人用にさらっとさくっと書いてある。相変わらず物質名が全然覚えられないので、おおまかな仕組みを理解したつもりになっても結局あとから思い出せない。脳関連の話は好きなんだけども。以下備忘録。ゲノムは遺伝子情報。60億のいわば文字、近年すべて解読された。すげー。しかし8から9割がたジャンク。記憶に関連する物質、子供の頃はaA1.大人になるとaA2と2つめの物質が子供の頃のと同じではないものになる。若いほうが記憶力に優れるのはこのため?手続き記憶と陳述記憶。

  • ぱっとしない。

  • 「頭がよい」ということは記憶や言語、計算、コミュニケーション、創造などの要素が高いレベルで働くということで、これらに関連した分子生物学的なトピックをトリビア的に紹介している。LTPが起こるときは後シナプス上にspine という突起が形成されるD4受容体の一部に繰り返し配列があり、2回、4回、7回のサブタイプがある。2回のものがもっとも効率はよいが、新奇性探求は劣る人が多い(少量で快感が得られるので新奇性探求に至らない?)五歳以前から練習しないと絶対音感は身につかない。逆に絵画や将棋などは幼児教育の意義は薄い。カフェインはアデノシン受容体に結合し、阻害する。

  • 「頭のよさ」は遺伝子で決まる!?

     表題からして、知能の遺伝子でも見つかったのかと思いました。そういう意味では期待はずれで、ある意味ありふれた結論になっています。しかし、新しく得た知識もあり、おもしろかったです。
     いつものように、おもしろかった部分を抜書きします。
    ○身長などの遺伝的要因が大きい形質と、創造性、協調性などの環境的要因が大きい形質とがありますが、知能はその中間型といえます。
    ○(イギリスの)ある市で、そのとき77歳を迎えた人たちが11歳のときに受けたIQテストのデータが、たまたま見つかったのです。
     87500人のサンプルのうち、身元を探し出せた77歳の人は全部で174人いました。そしてその人たちに、ふたたびIQテストを受けてもらったのです。結果は、11歳のときのテストの順位と77歳現在の順位がきれいに並んだのです。
     つまり、むかし成績がよかった人はいまでもいい、悪かった人は半世紀以上経っても悪いというわけです。唯一アルツハイマーの人はこの例から漏れましたが、それ以外の健康な人は成績がみごとに比例しました。このように、IQはふつう年齢とともに変わることはありません。
    ○能力を数値化したくないのは、それがわかれば差別につあがるという短絡的な考え方が含まれているのではないでしょうか。むしろ才能をさらに伸ばす、能力の劣っている分野は、その遅れをどうやってとりもどすか、という方向に力を注ぐことを考えるべきなんです。本来あるはずの能力差を見えないようにしても、差があることに変わりはないのです。能力が劣っているのなら、それを補う教育をする、能力が高い子どもはさらにその能力を開発する。数値化してきちんと見極めれば、それができるはずです。
    ○人権が平等であるからといって、能力は残念ながら平等ではありません。
    ○いわゆる暗記力があるかどうかは、生まれつきの遺伝で決まっている面がおおきいのかもしれません。
    ○好奇心が遺伝子と関係している可能性は大いに残されています。
    ○アルコール依存症になりやすいかどうかは遺伝子で決まる可能性が出てきたわけですが、このアルコール依存症になりやすい人はギャンブル依存症にもなりやすいのです。
    ○左脳と右脳の決定的な機能差は「言葉を話す」という活動だけなのです・・・
    ○頭を要領よくつかっている頭がいい人の脳は、じつはあまり働いていないのです。
    ○これ(運動能力)については遺伝的素質が大きいと考えられています。
    ○どうも、音楽はすべて環境で決まるものではないかというのが、現段階での私の印象です。
    ○音楽をやればやるほど聴覚野が広がるわけです。
    ○絶対音感は、5歳以前の幼いときから音楽を勉強しないと身につかないのです。
    ○5歳くらいまでは神経細胞は分裂しますが、6歳になると分裂がとまります。つまり、細胞分裂しているあいだに音楽を聴いたり、楽器を演奏したりすることで、脳の再編性がうまくいくのですね。
    ○サルの親指と小指を縛って、残りの3本の指しか使えなくするという実験をしました。3ヶ月ほど経つと、中指と人差し指と薬指を動かす部分が、親指と小指を動かす部分に侵入してきて、脳のそれらの部分が大きくなります。つまり、親指と小指以外の3つの指を使う部分が広がってきて、親指と小指を使っていた部分がなくなったわけです。これは有名な実験ですが、このように脳の可塑性は1ヶ月ぐらいで変わります。
    ○音楽にしても絵画にしても、もって生まれた能力、遺伝的な要因が大きいような思われがちですが、いまのところは、環境で育まれる要因のほうが大きいと考えていいのです。
    ○O型の人はある酵素が欠損しています。A型やB型はそれぞれ、赤血球の周囲に別の糖がついてるのですが、O型には何もついていないのです。
    ○Oは病気に強いと考えるのが妥当なのではないでしょうか。たとえばペストやコレラは世界中に蔓延して多くの人が命を落としたわけですが、このような死を招くほどの病気にO型は強いのではないかと、いまの段階では考えられています。

    ○頭がいいというのは、神経と神経が速くっつく、回路がつくられる、速く神経が伸びていく、ということではないかと予測されます。
    ○学校の成績は、一般に女性のほうが優秀です。これは、女性のほうがまじめに授業にも出るし勉強するからです。
    ○カフェインには興奮作用だけでなく、認知機能や運動機能を高める効果もあります。
    ○コーヒーは気分をスッキリさせて、頭を回転させる効果があるということです。
    ○ハチについて、最近、女王バチになる遺伝子と働きバチになる遺伝子の存在が明らかになりました。
    ○しかしわかったことは、女王バチは特殊な物質を出して、同じメスである働きバチの生殖能力を抑える物質を出すということだけです。

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著者プロフィール

石浦 章一(いしうら・しょういち):1950年石川県生まれ。東京大学教養学部基礎科学科卒業、東京大学理学系大学院修了。理学博士。国立精神・神経センター神経研究所、東京大学分子細胞生物学研究所助教授、東京大学大学院総合文化研究科教授を経て、東京大学名誉教授。新潟医療福祉大学特任教授、京都先端科学大学特任教授、同志社大学客員教授。専門は分子認知科学、分子生物学、生化学。難病の解明をライフワークに、遺伝性神経疾患の分子細胞生物学研究をおこなっている。著書に『理数探究の考え方』(ちくま新書)、『小説みたいに楽しく読める生命科学講義』『遺伝子が明かす脳と心のからくり―東京大学超人気講義録』(羊土社)、『運動・からだ図解 脳・神経のしくみ』(マイナビ出版)、『タンパク質はすごい! ―心と体の健康をつくるタンパク質の秘密』(技術評論社)、『王家の遺伝子―DNAが解き明かした世界史の謎』(講談社ブルーバックス)ほか、多数。

「2024年 『70歳までに脳とからだを健康にする科学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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