- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569699295
作品紹介・あらすじ
歌舞伎の誕生から四百年、初代から十一代目までの團十郎の生き様をたどると、日本人ならではの感性が発見できる。荒事の力強さ、女形の甘美さ、物語の繊細さ-ドラマより、映画より、演劇より、一流の歌舞伎はこんなにおもしろい!江戸歌舞伎最高位の名跡を継ぐ役者が、みずからその魅力を紹介。「踊りと舞はどう違うのか」「『勧進帳』の富樫はいつ義経を見破るのか」など、演者にしかわからない体の動き、心の機微もエピソードとともに明らかに。江戸人の遊び心にまみえれば、退屈な人生がもっと豊かになる。
感想・レビュー・書評
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今日は12代目團十郎丈ご当人のお誕生日。
そんな日に読み終えることができたのに何とも味な縁を感じました。
単なる歌舞伎案内本はもうこれまでに何冊も読んできたので表面をなぞる程度の歌舞伎アレコレには目新しいものはなかったけれど、市川家の御曹司ならでわの逸話がなにより楽しかった。三升のお祖父さんから貰った干菓子が嫌いだっただの、元禄見得の意味が未だに解らないから先祖に聞いてみたいだの、父である11代目に女性用クリームを足に塗ってもらっただのというのは並の歌舞伎作家、評論家では決して書けないこと。
そんな「今現在生きている團十郎」としての内容が微笑ましく楽しかった。
流石というか、当然というかオペラ、能楽、神楽、バレエ等にもとても詳しく、本人なりの考察が及び大変面白かった。
生でこの公演を拝聴したかったなー。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
市川宗家が歌舞伎十八番だけでなく、能以前の天鈿女命から始まる日本の芸事を説明しているのが面白い。能にも触れ、能を本行と呼び、とはいえ内心はそこまで謙遜していない、とも白状しているが。
そして最後は新しいことも大事だが、守るものの大切さを説き、やりすぎを戒めるコメントで締めている。伝統芸能のトップとしてどうしても言わなければならないことなのであろう。
なお、稽古は自分のための稽古だけでなく、同じ社中の、他人の稽古を見てこそ意味があるとのこと。合理的には思えない一方、自分一人では可視化出来ない、学びがそこに転がっているのであろうか。 -
大学での講義内容を書籍にしたもの。歴代の團十郎とともに歌舞伎を紹介する、というその手法は歴史ある役者一家ならでは。能楽と歌舞伎の関係、踊りと舞のちがい、身をやつす、などの日本語の特殊性など、雑学としても楽しめる。
それにしても12代目は、よほどスーパー歌舞伎のような演出は好みではなかったんだろうね。 -
團十郎さんのお人柄が良く表現されており、講義を聞いている感覚になりました。
この本を読み、もっと歌舞伎の事を知りたいという気持ちが高まりました。
今はこの様な状況で、観に行く事もできませんが、収まった後には必ず観に伺いたいと思います。 -
歌舞伎入門書としては僕が読んだ中では最も面白かった。
十二代市川團十郎著ということもあり、歌舞伎の国内・世界の立ち位置を踏まえつつ、歴史や演目などの基本情報を教えてくれる。
歌舞伎が今後どのような歩みで国内で生き続け、世界に広がっていくかについての意見が必読。そこにはやはり島国日本の精神が宿っているように僕は感じた。
【メモ】
敗戦 英雄を好まない 戦勝 好む
東洲斎写楽 慶應図書館 「恋女房
近代には西洋にアピールするため史実に忠実 高尚さ
川上音二郎 貞奴もパリのオペラ座へ 9代目と縁
赤ちゃん グー親指を中に 荒事は「童の心、純真無垢な心でやれ」
西洋 ギリシャ時代は上へ上への知識はないが、キリストユダヤで神の存在が認識されてから!オペラ座でロイヤルボックスは上にある
東洋 ロイヤルボックスは下
聖徳太子 法律を作り仏教を導入
神道→踊り 仏教→舞 (飛び跳ねる、弾み
能 ヨーロッパの中に人間の動と静に関心 ゆっくり動く中に人間の本質があり、楽しい 風姿花伝!!
秀吉は茶道の次に能に目をつけた
脳と狂言を合わせて能楽
倭国の人は刺青 海に潜り敵からみを守るため
赤い顔 黒い歯 眉ふとが美人 →文明の発展で建物ができて暗くなると白くして目立つようにら -
團十郎の歌舞伎案内
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團十郎が語り掛けてくれるような1冊。歌舞伎の歴史、成田屋の歴史や名作ウラ話も、さすが中の人の説明だけあり、凄く興味深い。
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歌舞伎関係の本何冊か読んだけど、これが一番良かったなあ。平易な語り口で入ってきやすく興味を広げてくれた。
團十郎さんと言えば滑舌の良さが印象的だけど、改めてまた舞台見たかったな… -
帯文:”ドラマより、映画より、演劇より、一流の歌舞伎はこんなにおもしろい!” ”役者にしかわからない、心の機徴が明らかに。”
目次:はじめに、第一幕 團十郎でたどる歌舞伎の歴史、第二幕 歌舞伎ができるまで、第三幕 役者から見た歌舞伎の名作ウラ話、おしまいに -
冒頭で白血病と闘っていたことに少し触れている
サラリと書いているけれど、どんなにつらかったか思いを馳せ
その存在の大きさが惜しまれる