地球温暖化対策が日本を滅ぼす

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569701226

作品紹介・あらすじ

EU主導の地球温暖化脅威論にダマされた政治家、官僚、マスメディアのお粗末さを正す。

感想・レビュー・書評

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  • マスコミ報道しか見ていないと地球温暖化というのは当たり前であり、その原因は二酸化炭素であるというのは定説と思っていました。しかし現実はそうではない(温暖化もその主原因が二酸化炭素ではない)ということが、研究者の中ではある程度理解されてきていることを、この本で認識を新たにしました。

    更に問題だと思ったのは、二酸化炭素を削減することがエコ活動という名の下に多くのビジネス(研究活動も含む)がすでに動き出していて、その動きの修正が難しくなっていることです。お金のためではなく、地球の保全を考えた活動を皆で行っていただきたいと思います。

    以下は気になったポイントです。

    ・IPCCは過去の気温の変化のデータについて問題があるのは、さまざまな手法(年輪幅、花粉の化石、珊瑚の酸素同位体等)を全部平均化していることにある(p34)

    ・過去2000年間の炭素同位体(C13)の推移から求められる地球の平均気温は、プラスマイナス3℃で上下している、現在はプラス3℃付近であり、過去の推移からこの程度の気温上昇は何度もあったことになる(p38)

    ・ハワイの平均気温と二酸化炭素濃度の関係を見ると、二酸化炭素の増加は温暖化の結果であることがわかる(p45)

    ・太陽黒点が多く見られる時期は太陽エネルギーが強く、黒点の数が少なくなると太陽活動が弱まり低温となる、1600~1700年は日本において寒冷化していた事実とも合う(p48)

    ・地球の気温変化は、雲が増えると低くなり、雲が少なくなると高くなる、過去400年の基本変化は、太陽活動と宇宙線による雲の形成により説明できる(p54)

    ・水蒸気は気体で存在しているときは温室効果を持つが、雲になると太陽エネルギーを遮断して気温を下げる働きをする、地球の気温は水蒸気によって8割がた決まる、残りは水蒸気以外の要素である(p61)

    ・40万年前からの気候変化(深海石灰質堆積中のO18より換算)を見ると、32万年前、22万年前、12万年前、1万年前に気温が上がっていることが分かる(p78)

    ・イギリスのハドレー気候研究センターは、2007年1月と2008年1月の平均気温を比較すると、0.6℃下がっていることを発表した、中国では2008年1月に記録的寒波により大雪となった(p86、155)

    ・約1万年前に、人類は史上最大の革命である、農業と牧畜を開始した、これは地球温暖化による(p87)

    ・海の化学組成は、6億年前に極端に変化したために、単細胞生物から多細胞生物へと進化、脊椎動物が誕生した背景には化学組成変化が大きい(p92)

    ・ノルウェー、アイスランドは環境先進国として二酸化炭素削減に取り組んでいたためプラス調整(ノルェー:1%、アイスランド:10%)となり、オーストラリアは石炭輸出国として大目(プラス8%)、日本の森林吸収分は1990年以降の植林によって吸収されたもののみ(p111)

    ・日本にとって二酸化炭素排出削減は、かつてのワシントン海軍軍縮条約と同じ、重要な会議はすべて日本で行われて日本が議長国として関与せざるを得なくなっている(p119)

    ・現在の新石油メジャーは、サウジアラムコ、ガスプロム(ロシア)、中国石油、NIOC(イラン)、PDVSA(ベネズエラ)、ペトロブラス(ブラジル)、ペトロナス(マレーシア)である(p125)

    ・急激な人口増加、資源枯渇、食糧不足という3つの曲線が交わる点(2020年ころ)が、ローマクラブが指摘した「成長の限界」である(p137)

    ・寒冷化は予測されている成長の限界(2020年)の全てを前倒しすることになる、資源枯渇・食糧不足・汚染進行・工業生産落ち込み、などが加速される(p140)

    ・石油には他の化石燃料では代替できないメリットがある、それは化学製品(燃料、プラスチック、繊維、アスファルト等)の原料になること(p151)

    ・二酸化炭素を削減するということは、石油を燃やさない、つまり経済活動を制限するということを意味する(p179)

    ・温暖化議論で用いられている過去140年で地球平均気温が0.7℃上昇して大騒ぎしているが、2008年1月は1年間で0.6℃下落した(p192)

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著者プロフィール

丸山 茂徳(まるやま・しげのり)
1949年徳島県生まれ。スタンフォード大学、東京大学などを経て、1993年から2019年まで東京工業大学教授および特命教授・特任教授。地質学、地球惑星科学を専門とし、地質学会賞、アメリカ科学振興会フェロー、紫綬褒章、トムソンサイエンティフィックリサーチフロントアワード、アメリカ地質学会名誉フェロー、瑞宝中綬章ほか受賞・受章、著書多数。

「2024年 『TEN vol.5 科学教育の現在と未来』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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