1分で大切なことを伝える技術 (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569704326

作品紹介・あらすじ

内容の薄い、長〜い話を我慢しながら聞いた経験は誰にでもあるだろう。それは日本人が「簡潔にまとめて話す」というトレーニングを行っていないからだ。本書は一分で過不足なく、しかも相手の心に残るように伝える方法を伝授する。聞き手との間に川が流れているとイメージする「川のフォーマット」方式は、すべてのコミュニケーションの基本になる。さらに「一分間プレゼンテーション」の他、「謝る」「教える」「質問する」「相談する」「指示する」「初対面」「叱る」などの技術を開陳。長い話という「環境問題」を解決する。

感想・レビュー・書評

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  • 非情の現代を泳ぎ切るための叡智の書です。
    情報が次々に現れて消える状況で、私たちは「切り捨てる」ことを日々習慣化している。人を評価し、切り捨てるのも早い。「バカか、利口か」「使えるか、使えないか」「魅力的か、そうでないか」「誠実か、いい加減か」即座にふるいにかけられる。与えられる時間は短い。1分なら、人は待ってくれる。ならば、大切なことを常に1分でまとめる練習をしてみよう。簡潔かつ印象的に話すことは、才能ではない。練習するかどうかに、すべてはかかっている。

    気になったのは、次のとおりです。

    ■1分間は一般的には短い時間として捉えられる。がしかし、1分間は、きわめて長い時間だ。
    ■考えろといわれたら、ペンを取れ、そして、キーワードをを極力多く書いてラインアップする。その中で最重要なものに、赤いペンで囲む。その上で、最後に言い残す「決めフレーズ」をつくる。これを1分で話せるようにまとめる。
    ■1分間で話せるように何度も繰り返せ
    ■1分間での練習は、自分で「つぶやき」ながらする
    ■心のチェックシート
     ・具体例はあったか
     ・わかりやすく、相手の期待に沿っているか
     ・話は簡潔か
     ・1分以内に終わらせたか
    ■伝える技術とは、「話術」ではない。「伝えるべき意味があるのか」ということだ
    ■A4の紙1枚にまとめた情報は、手短に話せばちょうど1分ぐらいになる
    ■物語を話すことと、要約することとは違う
    ■決定権を持っている人というのは、基本的に忙しい。最初から1分しかないとわかったら、いきなり核心から入れるようになれる
    ■ポイントだけにしてくれ
    ■話が長いのはもはや環境問題だ

    目次

    まえがき
    第1章 「1分」の感覚をこう養え
    第2章 万能 川のフォーマット
    第3章 1分間プレゼンテーション
    第4章 コミュニケーションを学ぶための素材
    第5章 実践 ケース別・1分の使い方
    第6章 賞賛文化を根づかせよう ~「褒める」「励ます」が日本を変える
    あとがき 話が長いのはもはや環境問題だ

    ISBN:9784569704326
    出版社:PHP研究所
    判型:新書
    ページ数:216ページ
    定価:720円(本体)
    発行年月日:2016年04月26日第1版29刷

  • 以前SNS上の質問にこういうのがあった。「彼女をつくるには何が必要だと思いますか?」ほとんどの回答者はコミュ力と答えていた。私だけが「(基本となる)性欲」と答えておいた。箸にも棒にもかからない回答だったわけだ。

     著者は1分もあれば自己アピールできると言います。それ以上は飽きられると。1分間で伝える技術のトレーニング法を伝授していきます。予め要約することが求められるというわけです。
     ここでいうコミュニケーションは主に会社や多人数の人を相手におこなう説明のことのように思われる。プレゼンとかだ。

    他方、日本人のコミュニケーションは「実は意味のやり取りの充実を目的としていない。それより重要なのは『情緒的に共感を得ること』だ。それが目的である以上、意味については相対的に価値が低くなる」としている。欧米の人なんかはこの辺が違うんだと思う。何百年も続いている日本人の文化はハッキリと自分の意思や話す内容に意味を持たせる習慣が薄いようだ。コミュ力なんていわれたのは最近だぜ。そう簡単に変えられるものじゃない。だからこそ訓練の必要性があるんだと著者はいうんだろうがね。

     先に戻るけど巷ではコミュりょく、コミュりょくといってるけど、コミュ力という言葉を使ってる人というのはあたかも自分がコミュ力があるかの如く、他者を見下してるような気がしてならない。プレゼンの
    能力が高い必要はない。そりゃ出世には必要な条件かも知れない。でも情緒的な交換ができ好印象ならそれで彼女ができる。あとは健康的な性欲(すけべ力)。

  • 1分の重要性を認識させてもらった一点だけでもこの本を読んだ意味があった。2-3時間の会議がざらである環境下、無駄な時間を過ごしてきたと思いたくはないけれども今後の改善につなげていけるだろう。You can do it! この言葉を多用できる毎日にしたい。

  • 簡潔に話すための技術から、社会におけるコミュニケーションの取り方まで簡潔に説明されている。
    各章とも長さが短く、単刀直入であり、通勤時間に読むには最適だった。
    実践するのは難しいとは思うが
    ・キーワードを意識すること
    ・質問メモを取ること
    ・長い話は他人の時間を蝕む公害であること
    ・図式化し、話し合いを構造化すること
    ・叱られることを極端に嫌がる若者の心理 など
    納得することが多かった。
    自分の話も長い‥‥ 話しながら言いたいことをまとめているからだ。キーワードメモを実践して、言いたいことを整理してみようと思う。

  • 【読後感想】#時間は金なり
    とても大切な事を伝えるために
    だらだら時間を使っては
    聞き手は受け取ろうとはしない。

    時間の大切さの他にも
    具体的な訓練方法、
    参考になる教育資料などの紹介がある。

  • 無駄なことが書かれておらず、わかりやすい。1分というテーマに沿って、本書は統一されている。今後購入してもよいかも。

  • やはり齋藤孝さんの著書にハズレなし! 1分できちんと相手の胸に響くメッセージを届けるためのノウハウが詰まった良書。「思考をコンパクトにまとめる構成力」と「1分間という時間を肌感覚で身に付ける」ことが重要だと感じた。謝る、教える、質問する、相談する、指示する、叱る、初対面の人と会話する…などのあらゆる場面で良好なコミュニケーションを取るための具体的な技術がわかりやすく解説されており、どれも実践してみたくなる説得力はさすがだと思った。ついつい話が長くなりがちな自分にとって、本書は有意義な処方箋となった。

  • 著者が冒頭でこう述べている。

    (引用)
    情報が次々に現れては消える状況で、私たちは「切り捨てる」ことを日々習慣化している。(中略)
    「バカか、利口か」「使えるか、使えないか」「魅力的か、そうでないか」、
    「誠実か、いい加減か」即座にふるいにかける。

    その所要時間が1分と。

    しかし、今の時代は、恐らく数秒になっているんじゃないだろうか。

    大手企業の人事部で採用活動を行ってる友人は、
    「5秒ぐらいで、面接者の判断する」と言っていた。

    そして、だいたい、その5秒で、採用するか、しないか決まることが多いと。
    「面接を受けにくる人が話す内容は、そこまでは、採用の合否と関係しない。

    「見た目(容姿、服装、歩き方、姿勢)そして、履歴書の情報で、
    ほぼ、自社にふさわしい人がわかる」と。
    ただ、逆接的に、そういう「ふさわしい人」は、
    話す内容も、簡潔かつ印象的でわかりやすいという。

    要は、日ごろから、他者に「伝える力」を磨いている人は、
    見た目にも、はっきりと現れるということだ。

    自社の商品を、売り込みたい顧客に行うプレゼンも、
    誰が行うが重要になる。
    冒頭の30秒が勝負だと言われる。

    その時間で、いかに、御社にとって価値があるかを、
    五感でわかってもらうように工夫して行う。

    発信側も受信側も、ますます、せっかちになっている。

    日々、自分達は、大量の情報を受け取っている。
    ニュース、メール、ネット、SNS、ブログ、雑誌、YOUTUBEに、
    まとめ系の情報媒体まで、10年前と比較できないぐらいの情報量を受け取っている。

    そういういった状況の中で情報の「取捨選択」は、よりシビアになっている。
    「じっくり」読む、聞く、話す暇がなくなっている。

    また自分達は、情報の受信側であると同時に、発信側でもある。
    いかに、他者に向かって、有益な情報を発信できるか?
    これが、現代で、求められている教養になっている。
    これが、出来ないと、現代の競争社会から置いていかれる。

    著者は、この発信者として、
    情報を「簡潔」かつ「印象的」に話すことは、
    練習するか、しないかにかかっているという。
    つまり、後天的に獲得できるということだ。

    その練習方法のヒントをまとめた本がこの著作になる。
    出来たら、高校生ぐらいから、
    こういった「簡潔かつ印象的に伝える訓練」を、
    行なった方がいいかもしれない。

  • 時間に追われたくはないけれど、有効に使えるようになりたい。
    そして、言いたいことをまとめるのが下手な私にうってつけの本。

  • 1分を超える情報は無駄な物が付いている思うべき。
    本当に必要な情報は1分で伝えられる。
    という内容。
    以下メモ。

    伝える為に必要な事は2点
    1、聞き手にビジュアル的なイメージを伝える事
    言語によって喚起されたイメージが共有されると興奮が生まれる。

    2、経験喚起力
    聞き手がどのような経験を持っているかを想定し、それを思い起こさせるような話しをする
    その為には共有性の高い情報が必要。ドラマのシナリオが定番なのも

    上記が満たされると情報の定着率が非常にあがる。
    1分で話しきるにはどこで途切れても良いように完全に構造化が出来ている必要がある。

    キャッチとかフックになるものは、読み手の経験にリンクさせられる必要がある。
    1文でのコンセプトの説明にはそれが必要。

    人の話しに反論や文句を言いたくなるときは、デメリットに対する検討が不十分な場合が多い。それをケアできている事が良い説明の条件。

    例:1分で教える
    1、現状認識をさせる。
    自分の現状に気づかないと変えられない。気づいていない人は多い。
    2、上達する為のトレーニングメニューを作る。
    短いフレーズで常に確認できるように。
    3、ゴールを明確に提示する。
    成功例を伝えて、出来るようになればどうなるのかを伝える。

    人の話しを聞くときは、相手の内容ではなく、自分の質問をメモしておく。

    相変わらず齋藤先生の本は圧倒的に読みやすい。
    ただ、SNSを含め趣味の近い人同士が集まりやすくなっている現代において、経験喚起をさせられるコンテンツは構造的にどんどん難しくなっているのではないでしょうか?
    同じ経験喚起が出来る層がクラスタ化しやすい中、クラスタ外の人に伝えられる普遍性の高いネタはかなり意識して準備しないといけないのでしょうね。

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著者プロフィール

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、現在明治大学文学部教授。教育学、身体論、コミュニケーション論を専門とする。2001年刊行の『声に出して読みたい日本語』が、シリーズ260万部のベストセラーとなる。その他著書に、『質問力』『段取り力』『コメント力』『齋藤孝の速読塾』『齋藤孝の企画塾』『やる気も成績も必ず上がる家庭勉強法』『恥をかかないスピーチ力』『思考を鍛えるメモ力』『超速読力』『頭がよくなる! 要約力』『新聞力』『こども「学問のすすめ」』『定義』等がある。

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