心と響き合う読書案内 (PHP新書)

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  • PHP研究所
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感想 : 60
  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569705095

作品紹介・あらすじ

人間が虫になることよりも、さらに不気味な不条理を描いている『変身』(カフカ)。言葉では書けないことを言葉で書いた『風の歌を聴け』(村上春樹)。「自分のために詠まれたのでは」と思える歌が必ずある『万葉集』…。小川洋子さんと一緒に、文学の喜びを分かち合いませんか?本書では未来に残したい文学遺産を52編紹介します。若い方にとっては最高の文学入門。「本の虫」を自認する方にとっては、新たな発見が必ずある作品論です。人気のFM番組「Melodious Library」、待望の書籍化。

感想・レビュー・書評

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  • 梨木香歩さんか小川洋子さんにノーベル文学賞を獲ってほしいなぁと、つい先日ブク友さんのコメント欄でお話した。
    川端康成が受賞したとき「翻訳が良かったんでしょう」という本人の弁があったのは有名な話で、問題は翻訳版の出来栄え。
    梨木さんはともかく、小川さんはあの繊細な世界観が翻訳で伝わるかどうか難しいかもと、起きてもいないことを心配しているワタクシ。

    そんな小川洋子さんによる全52冊のブックガイドは、FM TOKYOで放送されたものだ。
    「Panasonic Melodious Library」という番組名で、一年分をまとめたのが本書。
    春夏秋冬に分かれていて、それぞれ13冊ずつだ。
    選書は文学中心で、さほど幅広くはない、
    ご本人が作家さんだものね。
    そしてどれも王道の作品たちばかりで読み込みも深い。
    季節に合わせて、秋の選書を列挙してみる。

    「ジョゼと虎と魚たち」田辺聖子
    「星の王子さま」サン・テグジュペリ
    「日の名残り」カズオ・イシグロ
    「ダーシェンカ」カレル・チャペック
    「うたかたの日々」ボリス・ヴィアン
    「走れメロス」太宰治
    「おくのほそ道」松尾芭蕉
    「錦繍」宮本輝
    「園遊会」マンスフィールド
    「朗読者」ベルンハルト・シュリンク
    「死の棘」島尾敏雄
    「たけくらべ」樋口一葉
    「思い出トランプ」向田邦子

    ああ、読んだものばかりという声が聞こえそう。
    でもそれは早計というもので、出来れば再読してみて。
    読み落としている部分、新たな理解が加わる部分があるかもしれない。
    何故そう言うかというと、小川洋子さん自身が「走れメロス」のストーリーを誤解していたからだ。刑場にたどり着いたメロスはバッタリ倒れて死ぬと思っていたらしい。
    放送のために読み返して始めて気がついたとか。
    脳内で勝手にストーリーを書き換えるのは割とよくある話だが、小川さんでもそんなことがあるのかと、ちょっとした驚きだ。いわんや素人の私たちにおいておや、ですよ。
    更に、繰り返し再読にたえるのが良い本というものだから。
    何度読んでも味わいがあり発見があるような、そんな本にだけ会いたい。

    犬好きなひとには「ダーシェンカ」をお勧め。
    出版が1933年と古いがお話は普遍的なもので、チャペックの家に生まれた仔犬の成長を絵と写真と文章で紹介している。私が読んだのは相当前で、ああ、この人は本当に犬が好きなんだなぁと伝わってくるものがあった。
    小川さんも犬を飼っていて、エッセイの依頼でネタに窮したときは犬のことを書いてどうにか切り抜けるらしい。

    春と夏と冬の選書を知りたい方・小川さんのファンの方は本書をぜひお読みあそばせ。
    秋の日差しのような優しい語り口で感動本を伝えてくれる。
    まさにこちらの心と響き合う読書案内だ。
    それにしても・・ノーベル文学賞を獲ってほしいものだ。
    こんな作家さんがいるのよって、広く知ってもらいたい。

    • 5552さん
      nejidonさん。

      わっ、nejidonさんのついしんにうっかり赤面してたのがばれちゃいましたか、、、(//△//)
      思わずタブレ...
      nejidonさん。

      わっ、nejidonさんのついしんにうっかり赤面してたのがばれちゃいましたか、、、(//△//)
      思わずタブレットの画面を覗き込んで「おーいい、nejidonさん!」と、話しかけそうになってしまいましたよ、、、。
      感想やコメント欄でけっこう性格とかばれるものですね。

      ここ数日、私なりに忙しく、ちょっぴりタイムラインとご無沙汰でした。
      体はそこそこ元気です。
      気にかけていただきありがとうございます。

      ハルキは若い頃にちょっと読んで、面白かったものとよく分からなかったものがあります。
      でも最近、ブク友さんのハルキ本レビューを拝見して読んでみたくなり、積ん読しているところです。
      たしかに、nejidonさんのおっしゃる通り、ハルキの小説は読みにくいというか、以前読んだときは「かっこつけてる?」と思った記憶が、、、ハルキファンには「そこがいいんじゃない」とか「何もわかってない」と言われそうですが。←ビビっています(笑)
      英語ができないので翻訳のことは何もわからないのですが、絵本でハルキ文体って違和感あるかもしれません。
      「やれやれ」が口癖の子供が続出、、、。コホン。(//△//)

      オススメしてくださった『掃除婦のための〜』はとても気になっていた小説です。
      ああ、nejidonさんにはわたしの本の好みまでバレている!とまた赤面しました(//△//)

      これからnejidonさんの『掃除婦のための〜』レビュー、拝見させていただきますね。

      いろいろありがとうございました!


      2020/10/14
    • 5552さん
      夜型さん。
      感謝の気持ちが届いてホッとしています。

      夜型さん。
      感謝の気持ちが届いてホッとしています。

      2020/10/14
    • nejidonさん
      5552さん、こんにちは(^^♪
      コメントを読んでクスクス笑いました(*^-^*)ああ、楽し!
      「大好き」って夜型さんに言ってもらえるな...
      5552さん、こんにちは(^^♪
      コメントを読んでクスクス笑いました(*^-^*)ああ、楽し!
      「大好き」って夜型さんに言ってもらえるなんて光栄なことですよ。
      お忙しいときはこちらをぜひ通信欄にお使いくださいね。
      お祖母さまのこともありますしね。つい心配してしまいます。
      私など、自分のことは自分でやらないといけません。それもまた大変です。
      季節の変わり目、どうぞお大事にしてください。
      ハルキはたぶん、私のようなアンチの方がはるかに多いと思います。
      ごく一部のコアなファンが騒いでいるだけでしょう。
      どこがそんなに好き?って聞いたら皆さん答えられないかも(笑)
      何となく雰囲気でそう言ってるだけのような。
      でも人の好みにまで言及するのも野暮なので、いつも沈黙しています。今回はたまたま。
      「やれやれ」はジョジョの空条承太郎のセリフですよー♪
      英語だと「give me a break(ぎみあぶれいく)」。
      「ああ、しょうがないなぁ」という時に使ってください。
      「え?何?」って言われたら「どこかの国ではそういうみたい」ってとぼけて(*'▽')

      「掃除婦のための・・」は、最初はちょっとだけ読みにくいかもです。
      でもだんだん面白くなります。
      彼女の人間観察の眼がすごいですよ。
      ではでは5552さん、ありがとうございました!楽しかったです!
      2020/10/14
  • 本を紹介する本が好きで、また自分が読んだ本をプロの作家はどのように評価したり感じたりしているのか知ることができてなかなか面白かったです。
    今後の読書の参考にできる本でした。

  • 読書幅が広くて、できれば見習いたいと思う。

    読んだことのある本、だいたい実家にある本で実家に帰りたくなった。
    とりあえず手元にある「風の歌を聴け」を読み返そうかな。

  • 2011/12/03完讀

    小川洋子在電台文學節目的介紹,後來集結成書。



    金子みすゞ『わたしと小鳥とすずと』
    大岡昇平『ながい旅』
    川上弘美『蛇を踏む』
    梶井基次郎『檸檬』
    マルグルット・デュラス『ラマン』
    バーネット『秘密の花園』
    川端康成『片腕』
    黒柳徹子『窓際のトットちゃん』
    ジャン・ジオノ『木を植えた男』
    中勘助『銀の匙』
    藤原てい『流れる星は生きている』
    芥川龍之介『羅生門』
    中島敦『山月記』


    カフカ『変身』
    森茉莉『父の帽子』
    ミヒャエル・エンデ『モモ』
    村上春樹『風の歌を聴け』
    梨木香歩『家守綺譚』
    夏目漱石『こころ』
    宮沢賢治『銀河鉄道の夜』、
    J・D・サリンジャー「バナナフィッシュにうってつけの日(『ナイン・ストーリーズ』)
    ツルゲーネフ『はつ恋』
    内田百閒『阿房列車』
    ファーブル『昆虫記』
    アンネ・フランク『アンネの日記』
    フランソワーズ・サガン『悲しみよこんにちは』


    田辺聖子『ジョゼと虎と魚たち』
    サン・テグジュペリ『星の王子さま』
    カズオ・イシグロ『日の名残り』
    カレル・チャペック『ダーシェンカ』
    ボリス・ヴィアン『うたかたの日々』
    太宰治『走れメロス』
    松尾芭蕉『おくのほそ道』
    宮本輝『錦繡』
    マンスフィールド『園遊会』
    ベルハルト・シュリンク『朗読者』
    島尾敏雄『死の棘』
    樋口一葉『たけくらべ』
    向田邦子『思い出トランプ』


    スコット・フィッツ ジェラルド『グレート・ギャツビー』
    アリステア・マクラウド『冬の犬』
    O・ヘンリ『賢者の贈りもの』
    トルーマン・カポーティ『あるクリスマス』
    『万葉集』
    有吉佐和子『和宮様御留』
    ヘッセ『車輪の下』
    V・E・フランクル『夜と霧』
    清少納言『枕草子』
    ロアルド・ダール『チョコレート工場の秘密』
    武田百合子『富士日記』
    佐野洋子『100万回生きたねこ

  • 小川先生の書評には、登場人物や作者に対する親しみを感じます。なんというか、本の読み方から純文学というものにどう向き合うかまでを教えてもらったような読後感でした。
    僕にとっては通学や仕事の合間という自分だけの世界で、本好きのおばあさんのお話を語り聞かせてもらうひととき。そんな感覚を味わって楽しんでいました。
    特に、小川先生のアンネ・フランクに対する感覚はとても素敵です。読書って、ふらっと外に出て、友人がいないか気にしながら歩く散歩のようだと思わせてくれます。
    この気持ちをいつでも思い出すために、手元に置いてある大好きな一冊です。

  • 数冊読んだことがあって、基本的には好きな小説家の手による書評集。とはいえ、最初から書評という形を取られていたものではなく、ラジオで話したものの字起こしってことだから、ちょっとニュアンスが異なる。ラジオで流れるってことは、読書家ってよりはもう少し一般寄りの相手が対象となる訳で、それもあってか、選ばれている作品も有名どころが占めることになっている。ブックガイド好きで、それらをよく読む目からすれば、既知・既読作品の割合が高い。かといって、刺激のない退屈な読み物となっていないのは、本書のリーダビリティの高さによるところも大きい。ラジオで話している内容だけに、伝わりにくい言葉は含まれないし、時間制限のある中で魅力を伝えなければいけない分、直達的な表現も多くなっている。回りくどい書評をあまり好まない自分としては、かなり高感度の高い書評集でした。敢えて言うなら、新たな発見は少なかったけど。

  • いくつかは実際にラジオで聞いていて親しんでいたが、文章にすると何て堅苦しいのだろう。魅力が伝わってこないのだろう。こちらの想像力が減退したのだろうか。もっと心惹かれる案内だと思うのだが。

  • おすすめ資料 第88回 FM番組から産まれた未来に残したい文学遺産案内(2009.5.1)
     
    入学から一ヶ月がたって少しは大学生活にも慣れ、受験勉強から開放されて時間の余裕も出来たので、今まで読めずにいた本を、さぁ読むぞと意気込んでおられる方も多いかと思いますが、そんな方々への色んな意味でやさしい読書案内の本をご紹介します。

    『博士の愛した数式』で読売文学賞を受賞した作家の小川洋子さんが、毎週日曜のブランチタイムにFM放送でされた話を新書化したものですが、ソフトな語り口のなかに練達の小説家としての見方が随所に出ていて、季節に沿った構成とともに、興味深い案内になっています。
    また、番組のなかで流された曲名一覧も付いていますので、取り上げられた作品との関係を想像してみるのも面白いかもしれません。

    そしてもう一冊、ちょっとマニアックなラインナップの最新刊『小川洋子の偏愛短編箱』(河出書房新社)は、小説好きの上級者(?)を自認する方へのおすすめ本です。
    読んだことのある作品ももちろんあるでしょうが、小川さんとともに読み直してみると、きっと新たな発見があると思いますよ。

  • 小川洋子さんのラジオ番組で紹介された52の物語。本への愛情に溢れている。既読本も、また違った角度から読めると教えてもらいました。時間を忘れて、数えきれない好きな本の話をずっとしているような気持ちになります。

  • 広くいろんな本を紹介している。

    今まで近寄らなかった分野の本もいろいろあり,
    これを参考に読んでみようかなと思う。

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著者プロフィール

1943年 鹿児島県生まれ
1974年 東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位
取得退学

主な訳書
テオプラストス『植物誌1』(京都大学学術出版会)
フィンレイ編著『西洋古代の奴隷制』(共訳、東京大学
出版会)
クラウト編著『ロンドン歴史地図』(共訳、東京書籍)
ストライスグス『ギリシア』(国土社)

「2015年 『植物誌2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小川洋子の作品

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