理系バカと文系バカ (PHP新書)

著者 :
制作 : 嵯峨野 功一 
  • PHP研究所
3.29
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本棚登録 : 1006
感想 : 157
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569706436

作品紹介・あらすじ

自分の好きな世界に没頭しすぎて、極端な行動に走りやすい「理系バカ」。一方で、他人の情報を鵜呑みにして、その場の空気に流されやすい「文系バカ」。彼らの行動パターンから見えてくる思考の偏りとは?果たしてあなたは大丈夫か?本書では、「文系」「理系」という垣根をとっぱらった、バランスのとれた知性のあり方を考える。特に、理科離れが著しい日本の現状を警告。教育、政治、メディアにおける科学の啓蒙について具体策を提案する。二つの世界を渡り歩く著者だからこそ知っている「文理融合センス」の磨き方。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルからは理系と文系を否定する本なんだろうなと予想していましたが、
    実際はその逆でした。
    これからは理文混合させた人間が必要であると述べられており、私は強く共感しました。

    つまり、筆者が「バカ」と言っているのは理系に没頭し、文系をバカにする理系オタク(またはその逆)です。


    本当に頭がいい人とは国語、歴史、社会、英語、数学、科学、美術、体育、情報、etc.

    これらを満遍なく学び、満遍なく知識がある人なのだと思いました。

  • 第1章は理系雑学集、第2章以降は科学の現状への警告といった構成でした。
    タイトルは『理系バカと文系バカ』ですが、内容は「理系人間から見た文系バカ」といったところでしょうか。かなり理系よりの意見に偏っているように思います。
    とはいえ科学の現状に対する指摘は至極真っ当で、「日本人は科学に実用性を求めすぎる、文学作品を楽しむようにもっと科学それ自体を楽しもう」など、納得させられるものばかりでした。たしかに、ノーベル賞受賞者に対して記者団が「この発見は何の役に立ちますか?この発見で何が変わりますか?」などとインタビューするのを見て私も辟易した覚えがあります。応用科学というのは基礎科学の上に作られるわけですから、いまは直接私たちの生活に影響はなくともいずれ役に立つ日が来るかもしれません。実用性が気になるという人も焦らず、長い目で考えるとまた違った意見が持てるのではないでしょうか。
    また、個人の学習というレベルでみても、そもそも科学の実用性に気づくためには多くの場合、ある程度の修練を要するものです。初めから実用性ばかりにとらわれると好機を逃すことになります。

    タイトルは引っかかるものの、楽しく理系知識を得られる良書だと思います。著者である竹内薫さんの知識の広さに驚かされました。

  • ひどく偏った内容に思えた。
    理系はコミュニケーション下手で文系はフィクションを好むとか。
    なんという偏見…決めつけは良くないぞ。

    大学の研究室(化学)の先生はめちゃくちゃ話上手だったし、
    いわゆる「文系」の人でも冷静に論理的に分析したり数字を扱ったり、
    私の周りには多方面に優れた人が多い。

    「理系だから」とか「文系だから」とかで決めつけるのではなく、
    その人個人を見ていこうと思う。今後も。

  • 第1章で偏った例を出して面白おかしく描き、その後に真面目な解説が続きます。理系でも文系でも偏りすぎてはダメで文理両道・文理融合で行かなければならない、ということが言いたい本です。そのはずなのですが、第3章は「日本は理系人間が育ちにくいのか」、第4章は「理系センスがある人はどこが違うのか」など、文系の人に理系思考を解説する内容となります。文章は読みやすく面白いです。

    また、巻末に「理系ワールドを楽しむオススメ10冊」が載っています。文系の人で理系ワールドを知っていきたい人には道標になるでしょう。しかし、逆の文系ワールドを楽しむオススメは載っていませんでした。私は文系思考を知りたかったので、その点はあまり満たされなかったなあという印象です。

  • 考えが浅く、これといった驚きもなかった。筆者が理系バカとか文系バカと呼んでいる人は、ただの常識がない人に感じる。何が言いたいのかよく分からなかった。

  • 2009年8月に読んだことがあるらしいが、すっかり忘れて2022年1月3日にまた読んでしまった。。

    基本的に自分が面白く読めたか、読めなかったかは別として、内容としてそこそこ楽しめたものは広く★3つにしているのだが、今回は残念ながら★2つあげるのが精一杯だ。

    とにかく内容が俗物的で序文で文系だの理系だのと人を分けてはいけない、そういう分け方はくだらないと言いながら、本書を通じて「文系人間は~」、「理系人間は~」とレッテル貼りをして議論が進んでいく。あんまりボロカスに書きたくないが、以下気になったところ。

    1)そもそも文系と理系の定義がされていない。おそらく、大学受験における理系と文系の区分を利用しているものと思われるが、「数学ができる人」を理系、「数学が苦手な人」を文系と分類しているようにも見受けられる。
    学問は数学ができるできないではなく、自然科学、社会科学、人文科学で分けるべきだと思う。経済学部は筆者の定義では文系かもしれないが、理論経済学、数理経済学、計量経済学などはどう考えても、「数学ができる人」でないと、できないし、その他のいわゆる文系とされている学問の中にも「数学が必要となる」ことなんかいくらでもある。

    2)日本の社長は文系出身が多い!というが、そもそも人数で比べることがナンセンスだ。文系学部出身者数と理系学部出身者数が異なるのだから、それぞれの卒業者数の割合を社長の割合をみて高低を考えるほうが正確だ。

    3)文系的センスを磨く→小説を読む、理系的センスを磨く→科学に少しは関心を持つ、という実に短絡的な解決策を提示する。そもそも文系的センスとはなにか、理系的センスとはなんなのか。

    4)女性の方がコミュニケーション能力が高い、こんな理系バカ教授がいた、など自身の個人的な体験を一般化

    5)金融政策・財政政策はもはや文系の官僚では無理→金融政策・財政政策はマクロ経済学が中心です(憤怒)

    挙げればきりがないが、しょーもない文章のものにこれ以上のエネルギーと時間を費やしたくないのでこのへんで終えことにする。

    中学1年生が夏の読書感想文のために読むならまあぎりぎり許せる、そんなレベルの内容である。

  • <2021年度男女共同参画推進センター推薦図書>
    To理系:
    「もっとわかりやすく説明してほしい」from文系
    To文系:
    「それ何の役に立つの?と聞かないで」from理系

    『理系と文系の溝は深い?』


    ◎信州大学附属図書館OPACのリンクはこちら:
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA8954521X

  • 日本人は中学から高校に進学する頃から「理系」と「文系」に大別されるようになり、それは大人になってからも「理系人間」「文系人間」とずっと尾を引くのだが、そもそもこの分け方は明治時代の旧制高校から始まったと言われている。サイエンスライターの竹内氏と、その友人で放送作家の嵯峨野氏の2人がステレオタイプな「理系」「文系」の特徴を分析し、両者の垣根を取っ払ってバランスの良い知性のあり方を考える。日本では文系人間の方が理系人間よりも多く、「理系センス」が足りないと説き、「文系だから」・「理系だから」と自分を型にはめる事を良しとせず、その思い込みから脱出して分離融合のセンスを磨くためのノウハウを伝授する。

  • 大仰なタイトルですが、実際の内容は「日本には科学的思考が出来る人材が不足している」です。文系/理系の定義は橋爪大三郎先生の著作が引用されています。それによると、明治時代に旧制高校が予算のかかる学問を理系、そうでないものを文系として(学生数を絞るために)数学試験で振り分けたものだそうです。こちらの定義からも分かりますが、文系に非科学的という意味合いはないはずです。しかし本書では、理系=科学的、文系=非科学的という文脈で議論が進んでいます。たしかに、一般的な認識ではそういった側面もあるかもしれません。理系が科学的なのも間違いはないでしょう。ただ、本書は「理系を目指せ」ではなく「分離統合を目指すべき」という作者の主張で締められています。文脈/理系どちらも取り扱う以上は文系について偏った認識で語るべきではないと思いました。
    タイトルの「○○バカ」の時点で警戒しておくべきだったのですが、書籍としての体裁を取るためか極端な表現が多いことが非常に気になりました。例えば、○○バカの問題点が列挙されているのですが、内容は「○○バカは感動するポイントがズレている」といったものです。分離統合で矯正されるものでも、そもそも問題でもないだろうと思います。
    文系/理系の扱いや表現が気になる本書ですが、科学と一般人を繋ぐ科学コミュニケーターの必要性や、義務教育の範囲の知識を日常に活かす理系センスの考え方、間主観性など学ぶことがないわけはありません。生物学者には物理アレルギーがある方がいるが、物理学者にはないため『サイエンス』の編集長は物理学出身が多いという話は初めて知りました。本書を読む場合は、科学について取り上げた書籍やネット記事に一度目を通しておくことをオススメします。

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著者プロフィール

たけうち・かおる サイエンス作家。1960年生まれ。東京大学教養学部教養学科、同大学理学部物理学科卒業。マギル大学大学院博士課程修了(高エネルギー物理学専攻、理学博士)。フリースクール「YES International School」校長も務める。著書に『99・9%は仮説』(光文社新書)、訳書に『WHAT IS LIFE? 生命とは何か』(ポール・ナース著、ダイヤモンド社)などがある。

「2021年 『人と数学のあいだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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