日本史の謎は「地形」で解ける (PHP文庫)

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  • PHP研究所
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レビュー : 96
  • Amazon.co.jp ・本 (379ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569760841

作品紹介・あらすじ

なぜ頼朝は狭く小さな鎌倉に幕府を開いたか、なぜ信長は比叡山を焼き討ちしたか……日本史の謎を「地形」という切り口から解き明かす!

感想・レビュー・書評

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  • 地形から日本史の謎に臨んだユニークさが売り物。
    全体には面白いが、中には強引な我田引水のものもあります。
    例えば、江戸城の半蔵門。大手門が正規の正門ではなく、半蔵門が正門という主張。城外から城内へ唯一橋ではなく土塁で繋いでいるのは正門の証しだと強引に結論付けている。

    別の本で調べたら、半蔵門が土塁で築かれているのは、将軍の脱出用として、橋では万一壊れたり、焼け落ちたりするが、土塁にしてそういうリスクを避けている。そして半蔵門に繋がっている甲州街道を使って天領である甲斐まで落ち延び易いように、半蔵門の周辺や甲州街道沿いには、百人隊や千人同心は配置されているとある。
    こちらの説の方が説得力があるようです。

    というような箇所もあるが、ユニークな切口で、それなりに歴史を楽しめる。

  • 建設省の土木・ダム・河川関連の専門家が地形から
    導かれる歴史を書いた本。やはり着眼点が面白くよかったです。
    江戸の治水、江戸城半蔵門、逢坂山と比叡山、鎌倉、赤穂浪士と吉良氏
    の話。吉原。奈良の衰退。大阪に緑が少ないわけ。遷都に関して
    それぞれの話が地形をカギとして説明されているのですが
    本当にそうかはいろいろあると思いますが、それぞれとても
    面白い論理かと思います。

  • なるほど、いわれてみれば確かにそうだなあ、の連続。歴史を地理の観点から見直すと、まったく違った説得力を持ってくる。
    徳川家康が、いかに河川(治水)の重要性に精通していたのか。関東平野は平野ではなく沼地湿地だった。利根川の流れを変える大工事が関東平野を平野にしたのだ、と説く。
    首都はなぜ奈良にできて、なぜその後に京都に移ったのか。当時の海面の高さや川の位置から船による交通の便を想像し、もう一方で山と川が提供する薪(=エネルギー)と水の供給能力から収容できる人口を見積もってみる。遷都は必然だった、と結論づける。
    東京には緑が多いのに大阪の街には緑がない。なぜか。テヘランや北京の街でみた風景からひらめく。大阪は民衆の街で王侯貴族に支配されなかったから、庭園が緑地公園にならなかったのだ、と。
    他にもヘェ〜と膝を打つような話しが満載。
    江戸幕府が吉原を移転した本当の理由は。
    江戸城の半蔵門は裏門ではなく表門だ。
    赤穂浪士は潜伏中、江戸幕府に保護されていた。
    奈良の歴史的遺物が1000年の長きに渡って保存された理由は。
    信長が比叡山を徹底的に焼き討ちした理由は。
    元寇が攻略できなかった日本の自然の砦とは何だったのか。
    博多は大都市の四大条件、安全/食料/エネルギー/交流軸をほとんど満たしていないのに繁栄しているのはなぜか。
    本書を読み終わる頃には、すっかり歴史を見る目が変わってしまう。
    惜しいのは、語り口。「AだからB」というときのAについて、意図的なのか不明だが、必要条件と十分条件を混同しているように見受けられる。言い切った方がドラマチックではあるけれど、その分、眉に唾つけながら聞いてしまう。本書は歴史についての「科学」というよりは「もう一つのお話」として楽しむのが吉。
    最後に、著者も意図してない本書の効果をあげたい。それは、地理という学問の面白さと奥行き、可能性。小学校中学校で習った地理は面白くなかったけど、こうやって歴史と組み合わせてみると立体感がでてきて、歴史と地理の両方が面白くなる。

  • 日本史の謎は「地形」で解ける

  •  歴史の研究書かな、と思って読みはじめたんですが、これは、歴史と地形をテーマにした散文のたぐいかなと。
     著者さんのひらめきがベースになってて、内容に納得するかは個々人の共感度次第。私としては、『そういう考え方はあるけど、ファイナルアンサーには至らないなぁ』という印象。
     こういう歴史の解釈の仕方もあるよ、どうかな、ってレベルでなら、楽しかったです。
     あちこちの地名が出てくるので、各章ごとに地図があると分かりやすいんですが、まあ、そこまでは望むのは難しいよね。

  • 歴史を検証するとき、今の地形や気候のままで考えない方が良いってのはよくわかる。 
    今の東京から戦国時代の関東が湿地帯だったなんて想像できないもんね。
     
    秀吉から江戸への転封を命じられ、あまりの江戸の酷さに家臣たちが怒る中、当時の大阪城とその周囲、江戸城とその周囲の地形の相違を見抜いた家康の先見の明がすごいな。 
    しかしながら、その考えを実現するのは並大抵じゃなかったのは想像に難くない。 

    この本はそんなような話が満載。
    源頼朝が幼少の頃島流しにあった場所が実は・・・なんてのはこの本読まなきゃ知らないままだったかもしれない。

    半蔵門が正門だった説はとても支持したい。 
    読むとなるほどぉと膝を打つことばかりだった。

    等々教科書で習う歴史よりも断然面白い検証がてんこ盛り。
    歴史を一面から見ているだけより、もっと様々なデータから多角的に見た方が発見できることは多いだろうな。
    ここに書かれていることはあくまでも著者の推論なのは言うまでもないがあながち間違ってもいないんじゃないかと思う。

    専門家でもないから歴史の楽しみ方は多い方が楽しいやね。 ブラタモ好きな人は楽しめるのではないかなと。

  • 私は選挙速報を見るたびに「どうして開票が数%で当確ってわかるんだろう」とつい最近まで思っていた大馬鹿者で、実際に数えることを想像したことで、長年の謎が解けました。

    この本は東北大学で土木工学を学んだ後、建設省においてダム・河川事業を長年担当された竹村公太郎さんが、歴史を、文系の解釈ではなく、地形、気象、インフラの下部構造からのアプローチをとっています。
    実際に現地を歩いて考えているのです。

    非常にわかりやすい解説。
    読者をどんどんひっぱっていく。
    謎が解けるたびに、すっきり。

    東シナ海は地中海みたいだったんだ…
    日本史がどんどんロマンにつつまれる…

    そしてこの本の最後の一行。
    胸がキューンとしました!!

    私は竹村さんについていきます。

  • 歴史関係の良著は多数あるが、こんな現実的な観点から歴史の史実を解き明かす本は珍しいのではないか?
    江戸に領地を豊臣から与えられた時、徳川家康の家臣たちは、憤怒の嵐だったに違いない、それは葦の葉が茂るような広大な湿地地帯。氾濫する利根川は農地を荒らし放題。そこに何年もかけて「鷹狩り」と称し、家康は土地の特徴を調べ尽くし、どこをどう改良すれば、多くの民が住まい、多くの農地を開墾でき、安定した財政を見込めるか?を研究し尽くす。伝伝。
    はたまた、鎌倉幕府と、後から呼ばれるが、幕府と名のつく都の機能を果たした場所で、これだけ狭い土地はなかった。それはなぜか?島流しにさせられた青少年期の源頼朝、実は島といっても閉鎖的な離れ島ではなく、伊豆半島韮山町に住んでいた彼は、船で自由に移動でき、明るく日がそそぎ、海産物も山の恵みも豊富にある素晴らしい環境であった。現代でいう湘南ボーイであったのだ。平家を滅ぼし本来であれば、変わって京都に幕府を作るのが妥当であるのだが、それをしないで、閉じ篭るように狭い鎌倉へ。
    それを地形、気象から見ると、当時の京都は現代の東京都ほどの人口密度でありながら、上下水道共に鴨川の水を要し、また不衛生極まりなく疫病が流行。4万という遺体が鴨川に捨てられてもいた。
    湘南ボーイの頼朝にとって、そんな汚い場所は嫌だったのだ!。。。

  • ブラタモリのネタ帳みたいで地形から歴史の史実を解く。定説を覆すものばかりで視点が面白い。徳川家康は利根川東遷の大工事をすることで、江戸を豊かな土地に変えた。これは知らなかったです。

  • 友人に薦められて読みました
    いやー、面白かったです
    そう言うと、また次のも貸してくれるようです
    江戸のことは以前「家康、江戸を建てる」で分かっていたこともあったのですが、まさか忠臣蔵が!
    元寇も!
    私も思っています、邪馬台国はね……
    ≪ 地形から 読み解く歴史 ふーむふむ ≫

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著者プロフィール

竹村 公太郎(タケムラ コウタロウ)
元国土交通省河川局長
1945年生まれ。1970年、東北大学工学部土木工学科修士課程修了。同年、建設省(現国土交通省)入省。以来、主にダム・河川事業を担当し、河川局長などを歴任。2002年、国土交通省退官後、リバーフロント研究所代表理事を経て現在は研究参与。日本水フォーラム代表理事。2017年から福島水力発電促進会議座長も務める。2017年度土木学会賞(功績賞)受賞。著書に『水力発電が日本を救う』(東洋経済新報社)のほか、『日本史の謎は「地形」で解ける』(PHP文庫)シリーズなどがある。

「2018年 『水力発電が日本を救う ふくしまチャレンジ編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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