日本史の謎は「地形」で解ける【環境・民族篇】 (PHP文庫)

著者 :
  • PHP研究所
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感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569762050

作品紹介・あらすじ

なぜ信長は「安土の小島」の湿地帯に壮大な城を築いたか? 「地形」をヒントに、日本史の謎を解くベストセラーシリーズ待望の第3弾!

感想・レビュー・書評

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  •  日本史の謎は地形で解けるシリーズの3冊目を読みました。全部で18のテーマに分けて語っているのですが、どれも興味深いテーマで勉強になりました。日本の歴史が特殊であるのは、日本列島の地理的条件によることは当たり前ですが、その事を論理的に整理することはとても大切なことです。
     それをしないで「日本は凄いんだ」と自我礼賛していてはいけません。そのためにもこのシリーズは読む価値があると思います。

  • シリーズを通して読んだが、地形や気候から歴史を語るのは面白いし納得感がある。現代環境前提で考えがちだが、その時代背景に合わせたものの見方をする姿勢がすごく参考になる。

  • 第三部ということで、多少前作よりインパクトや根拠に欠ける話も多いけど相変わらず面白い。
    信長が安土に城を築いたのは彼の原風景が津島だった。胸まで浸かってやってた稲作。海水温度の上昇に原発の温めれた水の放出が関係してること。大阪の五十日。奈良の正倉院で盗みがなかったのは濃密な街だったから、などなど。

  • シリーズ3作目、これで最後と思うとちょっと残念。
    それだけエキサイティングなものでした。
    流石に3作目となると所謂インパクトは1、2に及ばないが深みのある考察や発想の仕方はとても参考になります。
    3作を通じて筆者の色々な主張の一つのテーマは 日本が湿地帯である。ということのようです。これが様々な思いもよらないレベルの事象を(ある程度)説明できると。この本での最後の章は 少子化や温暖化について言及しています。う〜む、なるほどそういう見方か、、、
    まあ、良い意味で目から鱗の考察。なんかもやもや感がエンカレッジされる そんなシリーズ最後の本でした。

  • 日本史の謎は地形で解ける第三弾。家康は駿府を終の棲家としたのはなぜか?かつての日本人は胸までつかって田植えをしていた。正倉院の神秘の宝物が盗掘されなかったのは奈良は日本史の交流軸からはずれただけではなく、密集した町屋と、狭い路地と、そこに住む人々の存在のため。ローマ街道をはじめ、西欧人の馬車や牛車から自動車への進化は必然の現象。日本では馬、牛を家族同然に扱ったため、車文明の構築に失敗した話は想像の域を出ないと思うがおもしろかった。

  • 紹介者:ものづくり工学 1年生
    著者はインフラ関係の仕事に就かれていたことだけあって、経験則からもたらされる推論や持論の数々はリアリティがあり、読んでいてワクワクしつつも歯ごたえを感じる。
    一つのテーマを一冊にわたって論述するのではなく、複数のテーマを章分け等をして論述するので、スキマ時間にコツコツ読み進められるのも少しうれしい。
    勉強するための本というよりかは、地理が大好きな人が読んでちょっとニヤついてしまう……そんな本。

  • 変化の激しいこの時代に生きる我々への福音のような本

    豊富な知見、見解から日本人の古来のたくましさ、創意工夫、自然と生きる知恵・自然から”助けてもらう”ことの機転をふんだんに紹介。
    これから日本人が活きる道しるべを示してくださいます。

    熱いメッセージを抜きにしても、豊富な知見は読んでいて本当に楽しい!

  • 一作目から読み始めるつもりだったんだけど、図書館に他の本借りに行ったら書架にあったので。

    著者は歌川広重が好きだって事がよくわかる。 事あるごとに広重の作品からヒントを得たりしているからw
    しかし、広重が全てをちゃんと現地に行って見て書いたはずって立場で話を進めるので、若干疑問も。

    それはそれとして、攻めの治水や治水と堤防、害虫の発生しない田んぼ、リサイクル都市江戸の崩壊等面白い話も多いかった。 特に今年の夏は大雨や台風による大被害が日本各地で起ったので考えさせられた。 人口減少の未来も確かにメディアや政府が言うほど悪い事じゃないんじゃないかと思える。

  • 三部作の最後だそうです。
    これで終わりでは、あまりにも残念すぎます。
    どうか、続けてほしいです。

    民族としては、日本人すごいんだって思いました。
    外国に行くとぜんぜん英語できない自分にくらべて、同じアジア系の人たちが英語のジョークを聞いて笑っているのを見て、落ち込んだものです。
    でも私たちは日本の文化に誇りをもっていいと思いました。
    江戸時代というのも、学生時代の勉強(というほどしていないが)を通しては、あまりいい印象もたなかったのですが、竹村さんの本で本当に素晴らしい時代だったのだと思いました。

    環境としては、歴史というより、今後どうすべきか、どうなっていくかという未来について考えて、ちょっと重かったかな。
    でも目をそむけてはいけないし、希望がないわけではないので、まあいいか。

  • また友人が貸してくれた
    シリーズ第3巻
    正直言うと前の方が面白かった
    強引というか理屈っぽいというか
    でも著者の視点には目からウロコ
    面白いことに変わりはないね
    ≪ 地形には 日本史の謎 隠れてる ≫

  • 【「教職員から本学学生に推薦する図書」による紹介】
    中津川誠 先生の推薦図書です

    <推薦理由>
    歴史を動かした要因に国土条件があるという見方が大変興味深く、物事の本質に迫るためには複眼的な見方が重要であると感じられる。

    図書館の所蔵状況はこちらから確認できます!
    http://mcatalog.lib.muroran-it.ac.jp/webopac/TW00357907

  • 同じシリーズの第三弾らしい。

    第一弾の方が面白かった。
    なにがどうとは言い難いのだが、説得力に欠けるというか。

    信長が安土に城を築いたのは、子供の頃の原風景のためだとか、それはかなり文系ぽっくって納得がいかない。
    いや、文系の自分としてはそれで良いのだが、この本の趣旨とは違う気がする。

    前と同じテーマが繰り返されているも、そう思わせたのかもしれない。

    とはいえ、日本の田植えは泥に胸まで埋まりながら行った話や、江戸時代の浮世絵が写真の役目を果たしているとか、奈良が交通の要所から外れたから正倉院が守られたとか、面白い点もあった。

  • 原子力の冷却水が海水温を上げている。あり得るかも。水素かぁ。どうなんざましょ。
    それにしても、日本語って凄いな。中国語は、てーへんだ。

  • 戦で守りを考える際、湿地が有効であるなど、知らなかった雑学が得られる点では面白い。しかし、著者は歴史の専門家ではなく、考察が甘い。論拠の強引さが目立ったり、食料事情から人口減少を歓迎するような暴論を発したりもする。率直に言うと、突っ込みどころが多い。歴史を趣味としているアマチュアが書いた本だ。そんな考え方もあるか、という点では面白い。

    これは、仕事に効く 教養としての世界史 を読んだ時にも感じたことだ。世に、歴史好きは多い。書物や社会見学で知識は増え、歴史の連なりを自分で補足したくなり、つまりは誰かに語りたくなる。しかし、アマチュアなのだ。

    では、アマチュアとプロは何が違うか。研究職ならば、先ず、周囲に指導者や類似した研究者があり、新説発表までに、または発表後にも、その説は、かなりの人の目の淘汰を受ける。その過程において洗練され、突っ込み所は限りなく減る。アマチュアは、この過程が無い。そのため、アマチュアの著作は、ギリギリ事実を掠った、荒々しい仮設の寄せ集めになるのだ。読みながら、同じ歴史好きが突っ込み所を見つけてしまう事になる。レベルが読者と変わらない可能性があるからだ。

    しかし、本著はある面では趣味の域を超えないが、建築等、著者による専門的な考察が加えられている点で面白い。アマチュアだからと言って、読む価値がないわけでは、ないのである。

  • 発電所の水ぱねえ。

  • 興味深いが物足りなさも

  • 元・建設官僚で、主に治水行政を担当した著者によるシリーズ第3巻。相変わらずの「言ったもの勝ち」な内容で、学術的な考証も全くなされていないけれど、書いてあることは面白いし、半分くらいは正しいと思う。日本は長らく水運の国だったので、現代人の常識からは想像すらできないことが多く、著者のような河川土木工学のエキスパートが歴史の解釈に一石を投じることは意義深い。
    個人的には、駿府の地形が鎌倉と瓜二つだという指摘と、昔の沼地は胸まで水に浸かるという指摘が興味深かった。前者は、徳川家康が「吾妻鏡」を徹底的に研究したことの証であり、「遠浅の海」が天然の要害であることを教えてくれる。後者は「沼地の平城は難攻不落」であることを具体的にイメージできるところが良い(実際に胸まで水に浸かって田植えをする写真が掲載されており、これには驚かされた)。

  • 海水温の上昇に発電所の排水が関連していたとは。。

  • ○元国交省職員で、土木の現場を渡り歩いた竹村氏の作品。
    ○地形をもとに、歴史を考察する作品の第2弾。
    ○独自の視点が魅力的で、有名な歴史上の出来事も、新しいものに感じられる。
    ○次の作品も楽しみ。

  • シリーズ第3作
    前作、前々作ほどのインパクトはなかったような印象ですが、過去の歴史を地形と気象から解説した著書は、日本人の性格的な特徴を紹介しているのは非常に納得性が高く、理解しやすい。そんな著者が日本の未来は明るいと説いているのは、将来に希望が持てるものといえます。

    <目次>
    なぜ信長は「安土の小島」に壮大な城を築いたか―水面と湿地に刻まれた「原風景」
    なぜ「日本の稲作文明」は湿地帯を克服できたか―田植えは「胸まで浸かる」もの
    なぜ家康は「街道筋の駿府」を終の棲家に選んだか―最後まで頼朝に学んだ「鎌倉の相似形」
    なぜ世界一の「リサイクル都市」江戸は崩壊したか―近代下水道と「におい」の追放
    なぜ日本列島は「生きたリン鉱脈」の宝庫なのか―受け継がれる「天然の肥料工場」
    なぜ江戸城の「天守閣」は再建されなかったか―「過去の幻」と「未来への洞察」
    なぜ勝海舟は「治水と堤防」で明治新政府に怒ったか―沖積平野に潜む「八岐の大蛇」
    なぜ正倉院の「神秘の宝物」は盗掘されなかったか―「肩を寄せ合う」濃密な奈良の迷路
    なぜ江戸時代には、車の動力が「人間」に退化したか―「道路後進国」1000年の空白
    なぜ9歳の本因坊秀策は「東海道を一人旅」できたか―江戸の「追いはぎ」「雲助」の謎
    なぜ京都が日本の「線路誕生の地」となったか―「車石」がもたらした交通革命
    なぜ大阪の街は「五・十日」渋滞が名物なのか―「不合理」に息づく商売の原点
    なぜ大阪は日本の「都市の原点」であり続けるか―「空間・歴史・人情」の密度の濃さ
    なぜ「間引きされた地図」は伝える力を高めるか―情報を「削り取る」高度な知的作業
    なぜ「世界屈指の雪国」で高度文明が創られたか―「島」と「雪」が日本人を閉じこめた
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著者プロフィール

日本水フォーラム代表理事。博士(工学)。
1945年生まれ、神奈川県出身。昭和45年東北大学工学部土木工学科修士修了。同年建設省入省、近畿地方建設局長を経て国土交通省河川局長。2001退職。一貫して河川、水資源、環境問題に従事。人事院研修所客員教授。
著書に『日本史の謎は「地形」で解ける』(PHP文庫3部作)、『土地の文明』『幸運な文明』(以上、PHP研究所)、『日本文明の謎を解く』(清流出版)、『水力発電が日本を救う』(東洋経済新報社)など多数がある。

「2021年 『“地形と気象”で解く! 日本の都市 誕生の謎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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