情緒と日本人 (PHP文庫)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569763620

作品紹介・あらすじ

人と人との間にはよく情が通じ、人と自然の間にもよく情が通じます。これが日本人です――憂国の数学者が日本人に伝え残したこととは。

感想・レビュー・書評

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  • 岡潔、入門書。

    ①善行 人のためにする行い。
    自分のために、という匂いを
    少しも出さないように。
    日本人は敏感。

    ②教育は意欲の方に目をつけて
    することだと思います。
    意欲を見る。はげます。
    ある程度まで来てから、理想を掲げる。

    ③岡潔の祖父の教え。
    人を先にし、自分を後にせよ。
    これ、かなり難しい。
    定期的に思い出さないと、まだ全然
    身についていない。

    ④いいことしましょう×
    悪いことするな。
    いいこと、って難しいよね。
    いいこと、ってなんだろう。
    でも、使っちゃうんだよね。安易に。

    読みやすいので、繰り返し読みたい本。
    その時の自分によって、立ち止まるところが
    違うと思う。

  • 著者の箴言の詰まった名著。ただ、いくつか内容が重複している箇所があるので、編集さん、もうちょっと頑張って削ぎ落したらどうでしょう。
    おや?と思うところもあるが、時代性を勘案することで納得できる部分もある。巻末の松下幸之助との対談がなかなか面白い。SNS全盛の現代においては、自分に近い考えや価値観のグループ内での遣り取りに慣れ、意見の違う個人同士の対話の場や機会が失われている状況である(一方的な攻撃はよく見かける)。こうした時代であるが故に、対面の対話場が求められるのであろう。

  • 読了。日本の大数学者の各種エッセイからの抜粋分で構成。あまり詮索することなく本屋で手にとったこともあり、よい選択をしたとは思えなかった、ふつうにエッセイ等を読めばよかった。エッセイ内容に数学の文字はほぼ無く、約1万年、あるいは10万年の歴史を持つ国としての日本観を主軸に、現代(といっても50年以上前)を憂い、批判するもの。現代人も馬鹿ではないので(とわたしは思っている)、考古学的発見と学者による正確な統計の整理等を無知ながら傍観して見る限り、それほど岡潔の言うことが的を得ているとはわたしには思えない。それは少年の犯罪の凶悪化や、言葉の通じなさに見る脳波の異常等の発言。実際にはここ100年で少年犯罪は激減しているし、穏やかになっている。欧米化によって変わり失ったものは大きいだろうが、脳波云々の話ではないだろう。というわけで、疑問に思うことは多いが、読むなかで自分が付箋を貼ったページの多さから見て良書の可能性はある。繰り返すが抜粋元を手に取るべきだった。

  • 大数学者といわれる岡潔の思考の原点みたいなものを知りたくてこの著書を含めて3冊読んでみた。

    直観を重視すること、そして純粋な直観が働くためには小我を離れて大我(真我)の働きに委ねることが大切だと繰り返し説かれている。

    私のような凡人には気の遠くなるような修行が必要なんだなと諦めの心境になる反面、これまで色々な局面で自分なりに決断して生きてきた個人的な経験を踏まえるとこれは真理だと直観的に思う。

    巻末の松下幸之助との対談が面白かった。
    特に共産主義に対する受け止め方の違いに実業家と数学者の違いが表れているようで興味深かった。
    全ての存在を肯定し、あらゆるものを咀嚼吸収して渾然一体を理想とする松下とダメなものはダメと純粋を理想とする岡潔、そんな二人の個性のぶつかり合いに改めて一筋縄ではいかないこの世界の底知れぬ奥深さを感じた。

  • 世界的数学者であり憂国のエッセイストである岡潔氏(1901~1978)が描く情緒(人の心)の世界「情緒と日本人」、2008.2刊行、2015.4文庫化です。箴言集でもあります。情緒と日本人、日本民族、数学と芸術と文学と、教育の4つの章立てです。読み応えがありました。なるほどと感じることばかりでした。①人の中心は「情」であって、情の根底は「人の心の悲しみを自分のからだの痛みのごとく感じる心である。②人は情緒(心)を形に現わして生きている。その情緒が形に現れるとき、喜びを感じる。それが生きがい。真善美みなそう

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著者プロフィール

1901年生まれ。三高をへて、京都帝国大学理学部卒業。多変数解析函数の世界的権威者。理学博士。奈良女子大名誉教授。学士院賞・朝日文化賞・文化勲章。仏教・文学にも造詣が深く、『春宵十話』『風蘭』『紫の火花』『月影』『日本民族の危機』などの随想も執筆。晩年は教育に力を注いだ。

「2023年 『岡潔の教育論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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