ねこ先生 (PHP文芸文庫)

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  • PHP研究所
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感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569765747

作品紹介・あらすじ

ウツを発症した金之助の話し相手は、黒猫!? 文豪・夏目漱石が誕生するまでの舞台裏を、史実に基づき、感動的に描いた傑作長編小説。

感想・レビュー・書評

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  •  夏目漱石が帝大に英語講師として赴任してから、「吾輩は猫である」の執筆までを、史実とフィクションを交えて描いた作品。漱石と言うと、ロンドン留学の際も下宿先にこもっていたエピソードを読んだ記憶があるせいか、神経質なイメージ。授業も気難しい顔で、小さな抑揚のない声で話す姿を勝手に想像していた。しかしこの本を読んで、教師としての漱石に深い感銘を受けた。個々の学生をよく見ている。理解しようとしている。その行動に心を痛める。猫の言う「おまえさん、ナニサマのつもりだ。」が心に響く。猫の言葉が聞こえなくなった、最後のシーンはさびしくなった。たくさんの人に読んでほしい作品。

  • あの超名作誕生の裏話。
    史実とフィクションを織り交ぜて描かれているので
    小説として面白く読める。
    黒猫の説く猫哲学や
    夏目金之助の人柄を感じる発言がぐっとくる。

    金之助が人情深い激情家であることも手伝って
    藤村のくだりはぼろぼろ泣いてしまった。
    だってずるい。
    「藤村、大丈夫だからな。こんなの些細な間違いだ」
    は、厳格な英文学教師の口から、
    この言葉はずるい。

    ここ以外にも、我々が歴史として、知識として
    名前だけ知っている人達が、
    ひとりの人間として、
    性格を持って、不完全な部分を持って、
    苦悩を持って、感情や考えを持って、
    まさにひとりの人間として生きていたんだなぁと
    感じられるのが素敵だ。

    その昔、日本文学を選考する学生として
    さすがに知っておかないといけんだろうという
    焦りから、とばし読みしてしまった
    数々の文学作品
    (今思うと本当に意識の低い学生ですね!
    夏目先生に怒られそう!)も、
    ひとりの生きた人間達が書いたということを、
    その1人に思いを馳せながら読んだら、
    なにか新しいことを感じられそうだ。

    あと、ねこ。
    猫って確かに、“吾輩”とか“先生”とか“哲学”とかが
    とびきり似合う動物かもしれない。
    超然とした感じ、迷いのなさは
    彼らの中に揺るぎない哲学が
    あるように感じたりするもんな。

    「ナニサマのつもりだ」
    ねこ先生ほど気持ちよく割りきれそうにないし、
    できっこないことをやろうとするのは
    時に人間の悩みと美徳のタネだから
    すっかりその教えに従うことはできなそうだけど、
    覚えておきたい猫哲学だ。

  • 夏目漱石が作家になるまでを史実織り交ぜて描いた作品。
    妻子を残して行ったロンドン留学から戻り、小泉八雲の後任として帝大の教壇に立つことになったあたりから話は始まる。
    飼い猫との交流を軸に教師生活を描いていくが、教師としての無力感や心の病などに悩まされる。
    周囲の助力もあってそれらを乗り越えて作家となっていくのも淡々と綴っていく。

    夏目漱石という人物は初めから作家なのだと思っていたが、本業は英文学の学者で帝大の教師までやっていたとは知らなかった。
    しかも教師として人気があったとか、清廉潔癖だったとか、作家としてはだいぶ遅咲きだったとか、知らないことばかりで非常に新鮮だった。
    漱石と交流を深める猫がまた良い感じでふたりの掛け合いがおもしろい。

  • 表紙の黒猫に惹かれて購入したけど、思いの外良かった。
    漱石の人物を知る取っ掛かりくらいには打ってつけではなかろうか。後書きに史実との違いをきちんと載せてあるし。

    この物語を物語足らしめている、黒猫とのやり取りが面白かった。ちょっとねこ下僕っぽくなっている漱石の描写もいいし、子猫なのに妙に老成した猫の仕草もリアルで面白い。
    我が輩は猫である、どこに仕舞ったかな。

  • 夏目漱石が「吾輩は猫である」を書き、専業作家へ向けて歩き出すまでの経緯が物語として描かれている。
    そこには夏目家に迷い込んできた一匹の猫が大きな役割を果たしていた・・・?


    あくまでも物語なので、史実を下敷きにしながら著者オリジナルの設定も一部ある。

  • 完全なるタイトル買い。

    夏目漱石を描いた物語。
    事実とフィクションが上手く交わっていて、想像が膨らみます。

    名前のないあのネコ様や、その他あの頃の文学界を多少読みかじった事のある人なら、ニヤリとする場面もある…はず。

    良い本でした。買って良かった。

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著者プロフィール

作家

「2020年 『古関裕而 応援歌の神様』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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