東京ダンジョン (PHP文芸文庫)

著者 :
  • PHP研究所
3.14
  • (3)
  • (6)
  • (13)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 106
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569766430

作品紹介・あらすじ

地下鉄全線緊急停止! 「爆弾を仕掛け、東京の地下を支配した」と宣言するテロリストたちの行動を阻止できるのか。緊迫のサスペンス。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 日比谷線や銀座線に乗りながら読めて楽しかった。
    地下鉄に乗っていて窓の外を見ることはないし
    保線業務の方の業務って知らなかったけど
    今回読めてよかった。

    作者は、鬼童と朝宮とのやり取りの部分が書きたかったのかなと思ったりした。

    最後的場がレールを叩いた音で爆発物の場所に気づくのは出来すぎな気もしたけど、ま、そうでないとね。

    ---
    ・「同じ仕事をしていても、見える風景は刻々と変わるんだ」ときに数年単位で、ある時にはわずか一瞬で大きく変化することもある。霧の中を彷徨うようだった世界が、あっという間に晴れて驚くこともある。p.136

    ・「連中には話を通しておいた。俺はこの機会にお前を一人前に仕上げるつもりだ。だから、この班に来るときには、お前の意見を立ててやってくれってな」「お前が間違ったことを言ったら、遠慮なく叱ってやれとも、頼んであるからな」p.142

    ・「誰かが代わりにやってくれるのなら、それでいいと思ったかもしれない。だけど、銀座線の線路にいちばん詳しいのは俺たちだ。他の人に押しつけることはできないよ」p.297

  • 地下鉄の保線員が主人公というのも、レールを叩く音で異常を聞き分けるというのも面白いと思う。
    ただテロ事件が発生するタイミングがだいぶページが進んでからだし、犯人が犯人だけにあまり盛り上がらず解決してしまった感が否めない。もう少し緊迫感とか息詰まる展開があってもよかったかなと。
    犯人たちの動機も計画も平凡に感じた。
    面白いことは面白い。さらっと読める。

  • 新作の物流のやつを子飼弾が高評価してたので読んでみたが、とりあえず今作はいうほどのものではなかった。まーうまく丸ッとまとまった感じ。文章が読みやすいからかもしれない。個人の葛藤がどうとか地味な仕事への使命感とか、ペラ美談を基軸に据えたありがち首都テロ脅迫ストーリー。

  • 現代日本の問題点をいろんな角度から論証している場面が多いので勉強になるが、興味のない人には苦痛なジャンルだろうと思う。的場の弟の立場が最後までよくわからないし、もう少し焦点あててあげてもよかったのでは。若者の怒り・問題提起はわかるが、鬼道の言うように「やり方が間違っている」は揺るがないので、あまり肩入れはできない内容だなと思いながら読んだ。

  • 地下鉄構内でこんな怪しげな行動をする人間を見かけたら平常心ではいられない。しかも、ネットでも話題になってきたらますます怪しい。
    訴えかけたいことがあるというのはわかるけど、その手段がね〜。かなり注目されないと気がすまないということなんだろうか。「見てみてあたしのこと〜」って人、確かに多いもんね。アピールがすごい人に限って小者だと思うのはあたしだけ?

  • 2017.11.1-85

  • 東京の地下で事件が起きるのかと思った。まぁそうなんだけど、それよりも地上で進む話がほとんど。主人公は東京メトロの保線員。線路をたたいて音で判断するって、少し前の「プロフェッショナル」で見た、道路に聴診器を当てて、地下を流れる水道管の音を聞いて配管の状況を調べるのと一緒だーと思った。こんなに機械化が発達していてもこういうところは人間の耳なんだね。「あなたのいる場所であなたの仕事をしてください」。地に足つけて、1つ1つ自分の仕事を淡々と。いまだにおたおたと仕事している私は、もうちょっと落ち着かなくっちゃな。

  • “ダンジョン”という言葉自体には色々な意味が在るようだが、ここではよく在るロールプレイングゲームで、プレーヤーのキャラクターが探検する“地下迷宮”のイメージで用いられている…表紙イラストに在るように、東京の地下鉄網のイメージだ…
    意表を突くような型で、大混乱が生じるという物語だが、そう仕向けた人達の「やり切れないモノ」というのが、何となく「迫る」感じだ…
    単純に、不思議な事態、大混乱の収束を図ろうとする物語としての面白さが在る他方、「余りにも多くの問題が山積している昨今」というようなモノにも想いが廻る物語だ…

  • 正直に言えば少々物足りない、というか肩すかしをくらった感じはある。地下鉄、そしてその保線員にスポットを当てることで、東京の地下に広がる地下世界に目を向けることには成功している。ですが、最終的に引き起こされる事件は、地下鉄がターゲットじゃなくとも成り立つものだったし、描かれるテーマも地下鉄ではなくとも成り立つ。より現実路線をとったんだとは思うけど、事件の規模も物足りない。
    もっと地下世界にせまってほしかった。

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

福田和代一九六七年、兵庫県生まれ。金融機関のシステムエンジニアとしての勤務を経て、二〇〇七年、航空謀略サスペンス『ヴィズ・ゼロ』でデビュー。主な著作に『TOKYO BLACKOUT』『ハイ・アラート』『怪物』『迎撃せよ』『潜航せよ』『生還せよ』『繭の季節が始まる』『梟の一族』など。

「2022年 『ここだけのお金の使いかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

福田和代の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×