- Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569766607
感想・レビュー・書評
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大倉喜八郎の物語。死の商人と言われながらも、中国革命の孫文らを助けて資金を出し続けたことはただの商人ではないことだと作者は言う。本当にアジア全体が欧米から独立して、生活レベルのアップを願っていた人だった。今の世にこんな人はいるだろうか。目先の利益だけ目指して挙げ句の果てに会社を傾けた東芝の経営層に喜八郎の赤でも飲ませたい。
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大倉財閥の生みの親である豪商・大倉喜八郎の物語。
幕末から明治、昭和にかけて豪商と言われた人々の中でも
特に「戦争屋」「死の商人」などと、とにかく悪評が高い。
それはよく知ればほんの一面に過ぎず、その人柄や功績は
もっと評価されるべきであるという作者の思いから
この小説は書かれた。
同時代に生きた渋沢栄一などと比べるとなんとも泥臭いが、
どんな相手に対しても信念を貫く強さやどことなく
親しみやすい風貌が運や人を惹きつけるのだろう。
一緒にいるとワクワクするような、ハラハラさせられながらも
そばにいて見届けたくなくなるような魅力を感じさせる
人でもあったらしい。
しがない乾物屋だった頃から喜八郎を支えた岡っ引きの常吉は
実在する人物であろうか。常吉の目線から見た喜八郎が読者を
冒険に誘い出してくれる。
そう、ちょっとした冒険小説みたいに読める本であった。
この小説を読んだからと言って悪評が覆ることはないように思う。
ただ、並々ならぬ冒険心と信念を貫き通す肝の座った生き様を
しめす人があの時代にはたくさんいて、大倉喜八郎も
まごうことなくその一人だったのだ。
幕末から明治にかけての激動の時代には、
本当にすごい人がいたものだと
ただただ圧倒されるばかりである。 -
渋沢栄一とは段違いの悪徳商人・大倉喜八郎。ここまで徹底して悪役だとむしろ清々しい。
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この人自身には魅力を感じるが…。