- 本 ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569767369
作品紹介・あらすじ
「公園に垂れ下がる色とりどりの鯉のぼりに、一つだけ人間が混じっている。」一行のみで綴られる、奇妙で恐ろしい珠玉の怪談小説集。
感想・レビュー・書評
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怪談が趣味という方なら一度は会長のお話を聞いたことがあるのではないでしょうか。
昔から会長の怪談が好きなのですが、一行怪談は初めて手に取りました。あれだけ短い文章でこうもゾワゾワさせられるとは……口の中に渋柿の味がずっとこびり付いているような不快感が消えません。流石です。
私は特に140ページが不気味でした。ガッツリホラーが苦手な方でも読める内容だと思いますので、気になる方は是非。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1ページに1つ、一文だけで構成される怪談小説集。
タイトルにも書いている通り1話1行程度ですので、ものすごく怖い……! というものではないですが、不思議で不気味な雰囲気が魅力。たった1文に、とても想像力を刺激されます。
さらっと読めてしまうのですが、1ページ毎にもう少しこの世界を感じたいと思えるような1冊です。 -
これはすごい。たった一行でこんなに恐怖の世界に連れて行ってくれるなんて!
ショートショートの極み!!
ギュッとギュギュっと濃縮された言葉のひとつひとつにの向こう側に真っ暗な恐怖が広がっている。そこをこそりと覗き見る醍醐味。うーむ。これからこの「一行怪談」ってのが1つのジャンルになったりして。 -
たしかにゾクっとさせられる話がある。
それ以上に、幻想的な世界、奇妙な世界、
それとパロディ、ユーモア作のような
クスリとさせられる話がある。
それらが凄いのは、たった一言、一瞬で
その世界、オチに突き落とされるスピード感、瞬発力。
大喜利、ipponグランプリに通じるような。 -
「罰として永遠の眠りにつく呪いをかけられた男が極稀に目を覚ました際、それまでの期間に見た悪夢を一行で書き記したもの」という前提のもとに(もしかすればこの「前提」すらも怪談の一篇に過ぎないのかも知れない)展開される一文きりの物語。
想像力を働かせれば働かせるほど描き出される光景の異様さに気付く短文集。
「怪談」と銘打ってはいるものの、どちらかといえばシュルレアリスム的絵画の文字起こし版という印象が強いか。たとえばルネ・マグリットの描き出すあの得も言われぬ不可解な景色が好きな人間なんかには馴染みやすい気がする(と言ってみたものの私がマグリットの絵画が好きなだけです)。
シュルレアリスム的な光景、日常の中にある非日常、純粋に「わけのわからない」類の話等々、ページを捲るごとに様々な「不気味さ」「薄気味の悪さ」を体験出来る一方で、構成の性質上一気に読むと途中で中弛みを感じる(どうしても単調さは拭えないものね)ので、或いはその日の気分で適当なページを開いて読む、いう読み方もあるかも知れません。
最後にお気に入りの一篇を。
「幾度も地上が焼け野原となり、全ての死者が復活してまた滅んだ後もなお、あの人と墓の下で待ち合わせるという約束を、私は頑なに守り続けている。」(本文150頁)
怪談的要素もシュルレアリスム的要素も無い一篇ですが不思議な切なさがある「悪夢」です。 -
一行の中に織り込まれた日常とそこから数歩離れた異界とが溶け合って、驚くほどの密度で物語が存在している。
暇つぶしに買ったのだけど、とても面白かった。
ページを次々捲りたいのだけれど、今の一行をもう一回読みふけりたい。そんな気持ちで読了。
最後のページの一行が一番怖い。 -
ホラー。短編集。ショート・ショート。
一行というか一文。句読点が一つだけの作品たち。タイトルも無し。
短編小説でもたまに思うことだが、短い作品は逆に足りない情報を自分で想像するのが面白い。
その点では、この本の作品はどこかに違和感があって不気味で、どういう意味か考える余地があって面白い。
142ページの、思い出の味の一文が好み。
新鮮な読書体験でした。 -
1ページに1文だからとても読みやすい。しかし、普通のことは書いてないから、咀嚼するのに時間が要るやつもある。私が好きなのは「夕方にあの坂道に近づかない方がいいのは、いつも午後5時のサイレンとともに、〜」のやつだな。
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現在『妖怪アパートの幽雅な日常』シリーズを読んでいることもあり、今まで避けてきたホラー系小説にも少しは触れてみようと思って本書を読んでみた。
一行怪談とは、一ページに一つ、一文の物語で構成される怪談に近い文章のことをいうようだ。本書には183の物語が収録されていた。
「これって怪談なの?」と思わせる話が多く、中にはまるでコントみたいな話もあり、どう本書と向き合ったらよいのか分からなくなってしまった。でも、夜中にこの本は読みたくないかな。
ふと、ふかわりょうさんの一言ネタ集みたいな本があれば読んでみたいと思った。 -
一行で怖い
良かった
著者プロフィール
吉田悠軌の作品





