あやかし <妖怪>時代小説傑作選 (PHP文芸文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (427ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569767802

作品紹介・あらすじ

いま大人気の女性時代小説家による、アンソロジー第一弾。妖怪、物の怪、幽霊などが登場する、妖しい魅力に満ちた傑作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 妖怪や怪異をテーマに選ばれた、女性作家による時代小説アンソロジー。

    六編のトップバッターは「しゃばけ」シリーズから畠中恵、トリは「三島屋変調百物語」シリーズから宮部みゆきと、安心の作品が揃えられているので、読んで損はなし。

    他の四編の中では、木内昇が良かった。
    やわらかな紀ノ国のことばと江戸ことば、仄暗い蔵の中でのやり取り。どこか寂しく、からりとした、ラストシーンの初冬の空。しみじみ、余韻が残った。


    『あやかし○○』『もののけ○○』が、ラノベでもコミックスでも乱発気味だけれど、やはり科学や電気が幅を利かせる前の世界と相性がいいというか、しっくりくるなぁ。

  • 6名の女流作家による「あやかし」のアンソロジー。
    「あやかし」好きには嬉しい短編集で、クスッとなったり切なくなったりホンワカと温かい気持ちになったり、とても楽しめた。
    特に霧島ケイ『あやかし同心』折口真喜子『夜の鶴』宮部みゆき『逃げ水』が良かった。
    折口・宮部両氏の短編は再読だったけれど、やっぱりいい。

    『夜の鶴』
    幼い娘を病で失った母親。
    夜眠りにつく前に微かに感じる、小さな寝息と小さな手のぬくもり。
    今すぐ目を開けて確かめたい。
    けれど確かめたとたん、この愛しい感触が無くなってしまう気がして目を開けることもできず、感触が消えないようにと必死で祈る母親の姿に泣けた。

    『逃げ水』
    「もう、おまえはオラがいなくなっても平気だな。サヨナラだよ」
    お旱さんと平太の絆と、二人を見守る「三島屋」の人達の心意気と温かな眼差しが心地よい。

    霧島さんは初読みの作家さんなので、これから追いかけてみたくなった。

  • 江戸時代を舞台にあやかしをメインにした、女性作家によるアンソロジー6編。読んだ作品もあったが、木内昇氏は始めましてで、不勉強で直木賞作家さんとは知らなかった。この作品の世界観が凄く好きだった。沢山書かれているので探して読んでみたい。

  • 妖怪や、不可思議な出来事を集めたもの。各作者の文章の違いを楽しめました。よくわからない現象に対して昔の人はめっちゃ想像力を発揮してたんだろうなぁと思う。科学が発達して便利になった面もいっぱいあると思うけど、なくしたものもあるんかなぁ。って言っても人間如きがわかってる範囲なんてちっぽけなもの。人類が存在してる限り世界の不思議、宇宙の不思議にチャレンジして欲しいね。僕は永遠の命を手に入れてそんな様子を横から眺めていたい...。

  • 6人の女性作家による、あやかし時代小説短編集。出版済みの作品を集めたもの。シリーズものが多い。

    畠中恵「四布の布団」:しゃばけシリーズ
    木内昇「こおろぎ橋」:「化物蠟燭」収録
    霜島ケイ「あやかし同心」:あやかし同心捕物控シリーズ
    小松エメル「うわんと鳴く声」:うわんシリーズ
    折口真喜子「夜の鶴」:与謝蕪村シリーズ
    宮部みゆき「逃げ水」:三島屋変調百物語シリーズ

    宮部みゆきさんの時代物は読んだことがないんだけど、とても良かった。三島屋シリーズ、読んでみよう。霜島ケイさんの作品もユーモアがあって面白い。折口真喜子さんは与謝蕪村の俳句を絡めた話で、こちらも気になる。
    意外とアンソロジーというのも良いものだな。好みの作家さんやシリーズが見つかりそうだ。

  • 時代小説アンソロジー。「ねこだまり」から読んでいたが、これが第一弾。なかなか見つからず、やむなくネットで購入。「四布の布団」しゃばけシリーズ。昔は布団は家で作るものだった…なんでもできたんですね。若旦那の推理と思いやりが冴えますね。「蛼橋」よくある怪異話だけど、薬屋さんが出てくるところが綺麗。「あやかし同心」これってありなの?というとにかく秀逸な前提にやられました。「夜の鶴」昔は子供は本当に弱くてすぐに亡くなってしまったのでしょう。でも、だからといって母の心が悲しくないという事では無いはずで、虫の知らせは逆にきっとあったのでしょう。「逃げ水」さすがの宮部みゆき。本当に話の流れが自然で目の前で事が運んでいるよう。おちかの聞く仕事も面白いけど、神さまが普通に出てくるのが…そしてそれを普通に受け入れられるのが、日本で育ったということか。

  • 女性作家による時代ホラー六篇
    ・「四布(よの)の布団」畠中恵『ぬしさま』所収
    ・「●(こおろぎ)橋」木内昇
    ・「あやかし同心」霧島ケイ『のっぺら あやかし同心捕物控』所収
    ・「うわんと鳴く声」小松エメル『うわん 七つまでは神のうち』所収
    ・「夜の鶴」折口真喜子『踊る猫』所収  
    ・「逃げ水」宮部みゆき『あんじゅう 三島屋変調百物語事続』所収
       

  • 江戸時代がよく似合う「あやかし」たちの心優しい6短編
    しっとり落ち着いた趣きの味わい深い作品集です
    (現代の人間の方が余程怖ろしい…)

    シリーズものは本書で出会って続きを読むのも楽しみになります
    江戸で評判、腕の立つ『あやかし同心』のファンになりました

  • 読んだことのある話もチラホラあった

  • 通勤用の図書館本。

    今まで何冊も短編を集めた本を読んできたけど、ぶっちぎりで面白かった。
    時代小説って和田竜くらいしか読んだことなかったけどこんなにこんなにこんなに面白いのか!新しい扉を開いた気分。
    畠中恵から始まり宮部みゆきで締まるこの短編集。6編全てに磐石な筆力とページを捲る手を止められない話のテンポの良さがある。
    この短編集に載ってるシリーズもの、読み尽くそう。さっそく図書館で探そうと思う。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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