なぞとき <捕物>時代小説傑作選 (PHP文芸文庫)

  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569767963

作品紹介・あらすじ

いま大人気の女性時代作家による、アンソロジー第二弾。親子の切ない秘密や江戸の料理にまつわる謎を解く、時代小説ミステリ傑作選。

感想・レビュー・書評

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  • 女性作家の捕物時代小説アンソロジー。

    「五月菓子」(和田はつ子)、「煙に巻く」(梶よう子)、「六花の涼」(浮穴みみ)、「人待ちの冬」(澤田瞳子)、「うき世小町」(中島要)、「鰹千両」(宮部みゆき)の6篇収録。

    どれも人情味溢れる作品ばかり。江戸下町舞台の作品もいいし、「人待ちの冬」のよう京の舞台の作品も趣が違ってなかなかいいな。

    この6作品の中で特に面白かったのは、「うき世小町」かな。仲の良い幼馴染み3人娘。その心の底には鬱屈した闇が隠れていた、というありそうな怖い話だった。

  • 6人の時代劇ミステリー短編集。いろいろ読みたくなった。

  • 肩を張らずに読めました。

  • 時代小説アンソロジー。謎解き編。「五月菓子」は、謎解きとしてはちょっと驚きだけど、さと香のヒントが安直な気も…でも季蔵さんがいい感じなので、まあいいか。「煙に巻く」はちょっとまどろっこしい。「六花の涼」はテンポが良くて読み易いけど、うまく知り合いだったり、継母だったり…。「人待ちの冬」は衝撃シーンが。「浮き世小町」めっちゃ女のドロドロだった。ここまで好きな人がいるのもすごいけど、そんな小さい頃から妬むとか…はあ、女子は大変だ。宮部みゆきはやっぱりすごい。物語への導入が半端なく上手い。ふと読み続けてしまう。茂七がおせんに横っ面張られるシーンは読んでて気持ちいい。それにしても稲荷寿司屋は何者?それを易々と出さないのがまたそそる。

  • 西條奈加さんの直木賞受賞作の時代小説を読んでから
    時代小説も良いものだと興味を持ち始めたので、
    もう少し色々な作家さんの時代小説を読んでみたくなったので、
    こちらの短編集であったら気軽に読めるかと思って手に取りました。

    どの小説も割と読みやすかったですが、
    「人待ちの冬」は歴史小説で知られる澤田さんの小説ということも
    あるせいか主人公の人物設定や時代背景がかなり複雑だったので
    歴史小説があまり得意ではないので少し小難しく感じましたが、
    後半の展開には奥深さを感じました。

    時代小説はあらゆることが昔のことで描かれているので、
    その当時のしきたり、風習、物の由来など
    あらゆることの起源が分かるのでそれを学べるのも面白いです。
    今では双子というと何の違和感もなく可愛いなと思うものの、
    昔はあまり良いとはされていなかったというのは驚きました。

    季節の美味しそうな食べ物や美しい植物や自然などを
    扱った題材は好きなので「五月菓子」、「六花の花」は
    どちらも偶然にも子供が絡んだ切ない物語だったので心に残りました。

    現代版のミステリーのような「うき世」、「鰹千両」は
    読みやすくて物語の展開も早かったのでスラスラと読めて
    楽しめました。ラストのなぞときが解けるのもしっくりと来て面白かったです。

    テレビ番組での時代劇のような長屋の街を舞台にした
    風情や情緒の人を題材にしたものや、現代とあまり
    変わりないような色恋沙汰までも謎解きとして
    幅広く描かれていたので面白かったです。

    時代小説は現代小説と比べて奥深く、
    楽しみ方が色々と出来るので、
    この作品をきっかけに新しい作家さんとの出会いで
    また違う作品を読んでみたいと思います。

    時代小説のアンソロジーは短く気楽に
    初めて時代小説を読む方には楽しめるのでお勧めだと思います。

  • 目次
    ・五月菓子 和田はつ子
    ・煙(けむ)に巻く 梶よう子
    ・六花(りっか)の涼 浮穴みみ
    ・人待ちの冬 澤田瞳子
    ・うき世小町 中島要
    ・鰹(かつお)千両 宮部みゆき

    最近時代小説のアンソロジーが増えているような気がします。
    若い人も楽しく読めるような作品も多いので、時代小説への導入としての役割もあるのでしょう。
    シリーズ物からの収録が多いので、気に入ったらそこから時代小説の世界へお入りくださいというシステム。
    私としては、これ以上興味の幅は広げたくないのですが、なんせ「なぞとき」です。
    これには滅法弱いのです。

    既読は宮部みゆきの「鰹千両」のみ。
    これは、大店の手代が棒手振りに「鰹を1匹千両で買う」と言った、その真意を探る話なのだけど、最後の、いかにも江戸っ子な親分の啖呵が気持ちいい。

    初読みは浮穴みみと中島要。
    美人コンテストを題材に、美しくない心の内面を掘り下げて、実に読後感がよろしくない中島要の「うき世小町」。
    ただしシリーズとしては、主人公の成長を描いた明るくユーモラスなものらしいです。

    そして、浮穴みみの「六花の涼」。
    これはよかった。
    六花の意味は知っていたので、逆に何でこんなタイトルなんだろうと不思議だったけれど、最後まで読むと「六花」も「涼」も納得で、もはやこのタイトル以外は考えられない。
    兎一郎の健気さに、目うるうるで読みました。
    シリーズの主人公はお茶漬け屋の女将で、こらしめ屋のお蝶さん。
    うー、気になるではないか。

  • 時代小説アンソロジー「あやかし」に次ぐ「捕物」です。
    女性作家さん6人、どれから読んでもおもしろいです。
    おなじみの作家さんなので、気になったお話を出典から読み直すのも楽しいかも。

  • 「細谷正充」が、平成を代表する女性時代作家による時代小説ミステリの傑作を選んだアンソロジー作品『なぞとき <捕物>時代小説傑作選』を読みました。

    ここのところ、時代小説が続いています。

    -----story-------------
    平成を代表する女性時代作家の豪華競演!
    親子の切ない秘密、料理にまつわる謎……珠玉の時代小説ミステリー

    棒手振りの魚屋に、鰹を千両で買いたいという奇妙な申し出があり……(『鰹千両』)、幕府直轄の御薬園で働く真葛は、薬種屋から消えた女中の行方を探ってほしいと頼まれるが……(『人待ちの冬』)、商家の妾が主夫婦の息子を柏餅で毒殺した疑いをかけられるが、料理人の季蔵は独自の捜査を進め……(『五月菓子』)など、“捕物"を題材とした時代小説ミステリー。
    話題の女性作家陣の作品が一冊で楽しめるアンソロジー。
    -----------------------

    親子の切ない秘密や江戸の料理にまつわる謎を解く、時代小説ミステリ6篇が収録されています。

     ■五月菓子 和田はつこ
     ■煙に巻く 梶よう子
     ■六花の涼 浮穴みみ
     ■人待ちの冬 澤田瞳子
     ■うき世小町 中島要
     ■鰹千両 宮部みゆき
     ■解説 細谷正充

    同じ時代小説ミステリですが、それぞれの作家毎に個性があるので愉しめました… 「宮部みゆき」の『鰹千両』だけは7年近く前に読んだ『初ものがたり』に収録されていたので再読でしたけどね。


    そんな中でイチバン印象に残ったのは「和田はつこ」の『五月菓子』、、、

    「料理人季蔵捕物控」シリーズの作品で、商家の妾が主の跡取り息子を毒殺するという展開で、事件の真相はシンプルですが、トリックの意外性が抜群、まさかこの時代に食物アレルギーを扱うとはね。


    安定感があるなぁ と感じたのは「宮部みゆき」の『鰹千両』、、、

    再読ですが面白かった… 初鰹一匹を千両という大金を払って買いたいという怪しげな話が舞い込み、相談を受けた岡っ引の「回向院の茂七」が、その顛末を解き明かすのですが、その動機(双子の娘の出生)や人情味溢れる解決方法が印象深い作品でした。


    続きを読みたいなぁ と感じたのは「中島要」の『うき世小町』、、、

    行方不明となっている父親の子分に苛立ちをぶつけ、自分が女に生まれたことに不満を抱き、危なかしい行動をとる主人公の「お加代」に感情移入できなかったのですが、シリーズでは、彼女が事件や体験を通じて成長していく姿が描かれるようだし、事件の動機となる心の闇や哀しみが巧く描かれていた部分に良さを感じたので、この先の展開が期待できそうです。


    色んなシリーズに出会えるのがアンソロジーの良さですね… 次は「和田はつこ」の「料理人季蔵捕物控」シリーズを読む予定です。

  • パンダは多くの確率で双子を産むが、野生の母パンダはそのうち1匹しか育てない。そこで飼育下では、定期的に、母親が目を離した隙に赤ちゃんをすり替えて、2匹を交代で育てさせる。で、ある程度育ったところで2匹とも母親の元に戻す、らしい。
    そんな話を思い出した。(2021-06-26L)

  • 時代小説傑作選、「あやかし」に続く第2弾。

    和田はつ子「五月菓子」:料理人季蔵捕物控シリーズ
    梶よう子「煙に巻く」:商い同心シリーズ
    浮穴みみ「立花の涼」:こらしめ屋お蝶「寒中の花」
    澤田瞳子「人待ちの冬」:京都鷹ヶ峰御薬園日録シリーズ
    中島要「うき世小町」:六尺文治捕物控シリーズ
    宮部みゆき「鰹千両」:回向院の茂七「初ものがたり」

    やっぱり宮部みゆきがいい。茂七親分、カッコイイな。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本女子大学大学院修了。「料理人季蔵捕物控」「口中医桂助事件帖」「鶴亀屋繁盛記」「余々姫夢見帖」「お医者同心中原龍之介」「鬼の大江戸ふしぎ帖」「はぐれ名医」シリーズなどの時代小説を精力的に執筆するとともに、現代ミステリー「青子の宝石事件簿」シリーズ、『わらしべ悪党』も刊行。

「2023年 『花人始末 椿の花嫁』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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