なさけ 〈人情〉時代小説傑作選 (PHP文芸文庫)

  • PHP研究所
3.33
  • (0)
  • (4)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 41
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569768144

作品紹介・あらすじ

いま大人気の女性時代作家による、アンソロジー第三弾。親子や夫婦の絆や、市井に生きる人々の悲喜こもごもを描いた時代小説傑作選。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 六篇の<人情>時代小説。

    「抜け殻」「まぶたの笑顔」は人の多いところで子供とはぐれた母親の話。
    とくに前者は胸を締め付ける物語だ。
    子とはぐれ、離縁され、妾になり......。
    そんな空蝉の物悲しさが、哀愁を誘うひぐらしの声と共に聞こえてきそうだ。
    しかし最後に一筋の希望。
    よかった、胸をなでおろした。

    後者は縁結びを生業とする女性が主人公だ。
    悲しみが交差する立て札の前で、後ろばかり向いて生きるな、と背中を押す、いや、抱きしめるような物語だ。

    「海の紺青、空の碧天」は爽やかな物語だ。
    見知らぬ男と、しかも遠く離れた江戸へと嫁ぐ姉。
    それを阻止したい弟。
    嫁入り先の若旦那とは一体どんな男?
    軽薄そうでいて、いやいや、粋な男だった。
    彼は、悲しみを笑い飛ばすことで得る、「逞しく暮らしていくための、江戸っ子らしい痩せ我慢の方便」(196頁)ということを教えてくれた。
    きっとこの義兄は、姉を愛する長太郎のことも、妻ともに大事にしてくれるだろう。

    「地獄染」はこの中で異彩を放つ背筋の冷たくなる物語だし、「首吊り御本尊」も衝撃的な描写に声を詰まらせる。

    今回のアンソロジーも読み応えがある。
    これだから短編集はやめられない。

  • タイトルにふさわしい人情味ある作品が多かった。
    子供の誘拐の話がいくつかあったのは偶然?当時は、今よりも、もっと誘拐の被害者を救うのは困難だったのだと思う。
    最後に収録の宮部さんは、さすがの一言。
    貧しさ故、幼いうちから奉公に出る子供が、痛ましい。「奉公人の神様」は、本当にいたと思いたい。

  • 2018年3月PHP文芸文庫刊。善人長屋:西條奈加、抜け殻:坂井希久子、まぶたの笑顔:志川節子、海の紺青、空の碧天:田牧大和、地獄染:村木嵐、首吊り御本尊:宮部みゆきの6編の短編を収録したアンソロジー。志川さんのが良くて、結び屋おえんを読んでみようと思いました。宮部さんは、やはり一級品の趣きで良いですねぇ。

  • 女性作家の江戸時代物アンソロジー第3弾。
    安定した読み応えがあるが、人情物ということではもう少し心温まって終わるのを集めた方がいいんじゃないかな。


    以下は読書メモ:

    善人長屋 西條奈加
    裏稼業を持つ店子の集まりである千七長屋、通称は善人長屋。
    美人局の兄弟に驚き。今から連れてくると言うのがおかしいと思ったけど。

    抜け殻 坂井喜久子
    仲見世の混雑の中、子供を見失った母親。半狂乱で探すも見つからず。離縁され、隠居の妾になり、1年たった頃、同じ場所で子供が見つかった…

    まぶたの笑顔 志川節子
    子を失った母。副業で仲人したのは、弟を失った娘と、絵を描くことをあきらめた男だった。
    迷子で行方不明の話が続いたが、この時代は多かったのだろね。

    海の紺青、空の碧天 田村大和
    安芸から江戸へ見合いに来た姉について来た弟。相手の粋な若旦那も、姉も出来すぎ。

    地獄染 村木嵐
    卒塔婆や骸骨、炎を染め抜いた地獄染め。
    新吉と佐吉の関係がわからなかったが、そういうことだったのか。いや、恐ろしい若者だし、恋は盲目だ。

    首吊り御本尊 宮部みゆき
    仕事がつらい丁稚に大旦那が首吊り御本尊の話をする。本当の話かどうかはわからないが、実際には違うのを見たのはなんでだったか。

  • 大好きな作家さんと
    初読みの作家さん。

    どれも良かったです。

  • 【収録作品】「善人長屋」西條奈加/「抜け殻」坂井希久子/「まぶたの笑顔」志川節子/「海の紺青、空の碧天」田牧大和/「地獄染」村木嵐/「首吊り御本尊」宮部みゆき

  • 善人長屋:西條奈加/抜け殻:坂井希久子/まぶたの笑顔:志川節子/海の紺青、空の碧天:田牧大和/地獄染:村木嵐/首吊り御本尊:宮部みゆき

    「なさけ」がテーマの女性作家による短編集
    あやかし、なぞとき、に続く第三弾。
    三つのテーマ全てに取り上げられたのは、
    宮部みゆき。 おおっ!

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ みゆき)
1960年、東京都生まれ。1987年に「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。
1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、1999年には『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で司馬遼太郎賞、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞など、数々の文学賞を受賞。
大沢オフィス所属。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。直木賞、日本SF大賞、小説すばる新人賞、河合隼雄物語賞など多くの文学賞で選考委員を務める。
『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』など、多くの作品がドラマ化や映画化などメディア・ミックスされており、日本を代表するエンターテインメント作家として人気を博している。

宮部みゆきの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部 みゆき
東野 圭吾
辻村 深月
宮部 みゆき
恩田 陸
宮部 みゆき
宮部 みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
ツイートする