なさけ <人情>時代小説傑作選 (PHP文芸文庫)

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感想 : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569768144

作品紹介・あらすじ

いま大人気の女性時代作家による、アンソロジー第三弾。親子や夫婦の絆や、市井に生きる人々の悲喜こもごもを描いた時代小説傑作選。

感想・レビュー・書評

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  • このアンソロジー、大好き!

    なさけというのは難しい。今回は切ない女性の話が多くて胸が痛かったですね。

    どうしようもなかったことを責めることは簡単なんですが、それがわかっていても行きつく場所のない人々の物語が哀しいなぁと思う一冊でした。

  • 先日読んだアンソロジー「ねこだまり」が良かったので普段時代ものの人情ものは読まないのですが手に取ってみました。
    自分は、章が進むにつれて内容が深くなってる感がありました。だからか(?)やはりトリは宮部みゆきさん。
    なさけ、というタイトルだから温かい話ばかりかと思いきやぞろっと寒くなるような話もあり、なかなか味わい深い。この章だての順番も編者はよく考えられたのでしょうね。

    この「時代小説傑作選」のシリーズは、それぞれの収められた話の元々のシリーズがありそこからテーマに沿って抜粋して集めたアンソロジーのようです。きっとこれを手がかりに興味があったら元々のシリーズも読んでね、という取っ掛かりのための作品集なのでしょう。なので前段のある話が多かった。
    まぁ、前段のストーリーを知らずとも楽しく読めます。

  • 時代短編小説アンソロジー。普段なかなか読まない作者の話も読めて面白い。今回のテーマは「なさけ」優しい人との繋がりもあれば、厳しい時代のやるせない話もある。人を裏切る金の亡者のような男の話もあれば、遠方から嫁ぐ娘を温かく迎えようとする男の話もある。いつの世も近眼鏡過ぎてもダメなのだなぁと感じ入る。ラストを飾る「宮部みゆき」の短編だけちょっとホラー?ファンタジー?が漂う。昔は育てられない子供は丁稚奉公へ出されたりしていたが、果たして虐待されて命を落とす子供とどちらが大変なのだろう?少子化と言いながら、子供をフォローしようとしない国に成り果てたこのに国に丁稚の神様はどう見えているのだろう?

  • 六篇の<人情>時代小説。

    「抜け殻」「まぶたの笑顔」は人の多いところで子供とはぐれた母親の話。
    とくに前者は胸を締め付ける物語だ。
    子とはぐれ、離縁され、妾になり......。
    そんな空蝉の物悲しさが、哀愁を誘うひぐらしの声と共に聞こえてきそうだ。
    しかし最後に一筋の希望。
    よかった、胸をなでおろした。

    後者は縁結びを生業とする女性が主人公だ。
    悲しみが交差する立て札の前で、後ろばかり向いて生きるな、と背中を押す、いや、抱きしめるような物語だ。

    「海の紺青、空の碧天」は爽やかな物語だ。
    見知らぬ男と、しかも遠く離れた江戸へと嫁ぐ姉。
    それを阻止したい弟。
    嫁入り先の若旦那とは一体どんな男?
    軽薄そうでいて、いやいや、粋な男だった。
    彼は、悲しみを笑い飛ばすことで得る、「逞しく暮らしていくための、江戸っ子らしい痩せ我慢の方便」(196頁)ということを教えてくれた。
    きっとこの義兄は、姉を愛する長太郎のことも、妻ともに大事にしてくれるだろう。

    「地獄染」はこの中で異彩を放つ背筋の冷たくなる物語だし、「首吊り御本尊」も衝撃的な描写に声を詰まらせる。

    今回のアンソロジーも読み応えがある。
    これだから短編集はやめられない。

  • タイトルにふさわしい人情味ある作品が多かった。
    子供の誘拐の話がいくつかあったのは偶然?当時は、今よりも、もっと誘拐の被害者を救うのは困難だったのだと思う。
    最後に収録の宮部さんは、さすがの一言。
    貧しさ故、幼いうちから奉公に出る子供が、痛ましい。「奉公人の神様」は、本当にいたと思いたい。

  • ちょっと苦手な人情物。それでも一応傑作選で選ばれただけあってまあまあ読ませる。もちろん宮部みゆきは別格(既読だし)。あと連作物はここに取られた一編だけでは評価できないが、特にもっと読んでみたい作家さんはいなかった。

  • 人情をテーマにした江戸市井モノ短編6編
    西條奈加、宮部みゆきの2作は特に好き

    どの話も味わい深いです

  • 31年4月5日読了。
    人情を主題とした短編6作。
    好きだった話は田牧大和作「海の紺青、空の碧天」と宮部みゆき作「首吊り御本尊」。
    海の...は、自身の姉と許嫁との仲を壊そうとした弟長太郎が、許嫁の人柄に触れ考えを改める話だが、伏線として尊敬してきた手習い塾の先生の話が交差する。先生を思う長太郎の苦しいほどの思いが、紺青、紅、碧天という色に重なる。
    首吊り...は、「幻色江戸ごよみ」で読んだことのあった話。どこの誰もが経験した辛く苦しい下積み時代。それを支えてくれた首吊り御本尊様。心の拠り所を何に求めるかは、人それぞれだけど、自分だけでなく後に続く子供達に、頑張れ!今を乗り切れ!辛いのは皆んな一緒だ!と、優しい言葉ではなく、首吊り御本尊様の話で教えてくれた先輩達。
    ときに言葉より心のこもったものが存在するんだな。

  • 2018年3月PHP文芸文庫刊。善人長屋:西條奈加、抜け殻:坂井希久子、まぶたの笑顔:志川節子、海の紺青、空の碧天:田牧大和、地獄染:村木嵐、首吊り御本尊:宮部みゆきの6編の短編を収録したアンソロジー。志川さんのが良くて、結び屋おえんを読んでみようと思いました。宮部さんは、やはり一級品の趣きで良いですねぇ。

  • 女性作家の江戸時代物アンソロジー第3弾。
    安定した読み応えがあるが、人情物ということではもう少し心温まって終わるのを集めた方がいいんじゃないかな。


    以下は読書メモ:

    善人長屋 西條奈加
    裏稼業を持つ店子の集まりである千七長屋、通称は善人長屋。
    美人局の兄弟に驚き。今から連れてくると言うのがおかしいと思ったけど。

    抜け殻 坂井喜久子
    仲見世の混雑の中、子供を見失った母親。半狂乱で探すも見つからず。離縁され、隠居の妾になり、1年たった頃、同じ場所で子供が見つかった…

    まぶたの笑顔 志川節子
    子を失った母。副業で仲人したのは、弟を失った娘と、絵を描くことをあきらめた男だった。
    迷子で行方不明の話が続いたが、この時代は多かったのだろね。

    海の紺青、空の碧天 田村大和
    安芸から江戸へ見合いに来た姉について来た弟。相手の粋な若旦那も、姉も出来すぎ。

    地獄染 村木嵐
    卒塔婆や骸骨、炎を染め抜いた地獄染め。
    新吉と佐吉の関係がわからなかったが、そういうことだったのか。いや、恐ろしい若者だし、恋は盲目だ。

    首吊り御本尊 宮部みゆき
    仕事がつらい丁稚に大旦那が首吊り御本尊の話をする。本当の話かどうかはわからないが、実際には違うのを見たのはなんでだったか。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。87年「我らが隣人の犯罪」でオール読物新人賞を受賞。『龍は眠る』(日本推理作家協会賞)、『本所深川ふしぎ草子』(吉川英治文学新人賞)、『火車』(山本周五郎賞)、『理由』(直木賞)ほか著書、受賞歴多数。

「2021年 『ブレイブ・ストーリー 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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