なさけ <人情>時代小説傑作選 (PHP文芸文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569768144

作品紹介・あらすじ

いま大人気の女性時代作家による、アンソロジー第三弾。親子や夫婦の絆や、市井に生きる人々の悲喜こもごもを描いた時代小説傑作選。

感想・レビュー・書評

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  • いろいろな作者が「情け」というテーマで時代物の短編を書いたもの。良い情けもあれば、情けを悪用したものもあり、誰しもに備わっている情けがリアルに描かれていてどれを読んでも身近に感じる。こういう一冊のよいところは、読んだことのない作者の作風に触れることで、興味ある作者が増えてよかった。

  • アンソロは色んな作家さんに出会えるのが楽しい〜
    解説までガッツリ読んで次に買う本を決めてます!

  • やっぱり宮部さんはすごいなぁ。

  • 書き慣れた作家様陣の良作品ばかりで安定して読めます

  • 色々な作家さんの時代作品を読んでみたくなったので、

    手始めに「なぞとき<捕り物>時代小説傑作選」を読んで面白かったので、

    次はこちらの短編集を手に取りました。



    今回はどの小説も割と読みやすかったです。

    西條奈加さんの「善人長屋」はNHKの時代劇ドラマを観ていたので、

    それを思い起しながら読んだので楽しみがら読めました。

    西條さんの時代小説は読みやすく最後には明るく終わって

    清々しくなるのが良いです。



    宮部みゆきさんの「首吊り御本尊」は読み終わるまでは、

    ミステリーのようなホラーのような要素でゾクゾクとした

    怖さがありましたが、それが一転して丁稚奉公からの成長を

    伺わせる内容となっていったのは見事だなと思ってしまいました。



    この中で一番印象的だったのが、

    坂井希久子さんの「抜け殻」でした。

    平凡で充実していた夫婦が観音様のお参りに行った時に、

    ほんの少しの間目を離した隙に息子が行方不明になってしまった

    ことから不幸のどん底を味わってしまう。そこに手助けをした男性が

    囲い者となって抜け殻のように生きていくという話ですが、

    元夫も囲い者の男性もここまで手を差し伸べているのにもかかわらず、

    最後まで息子に逢うことを自分の戒めとして禁じていたおくめの

    性格なのかこの時代の女性の芯の強さというものを感じました。

    それだけ昔の女性というか母親というのは責任感が強かったのかも

    しれないと思いました。



    志田節子さんの「まぶたの笑顔」は息子を失ってしまって離縁されたおえんが、

    長屋で暮らすことになりひょんなことから人の縁を取り持つということになり、

    そこからまた縁が繋がっていくという再生の物語でした。

    不思議な縁が繋がっていくものを感じて後からじわじわと温かみが

    感じられる作品でした。



    田牧大和さんの「海の紺碧、空の晴天」は

    姉の縁談話をぶち壊そうと無理矢理に江戸に行き、

    初めての江戸で迷子になりかけて偶然にも縁談話の相手と遭遇するという

    内容でこの作品集の中では微笑ましくユニークな時代小説でした。

    縁談話の相手を思いながら、お世話になった人をもい起こすし、

    そして最後にとんだどんでん話となって温かみが感じられました。



    村木嵐さんの「地獄染」はタイトルを見るとちょっと怖いような憎しみのような

    ものが漂っていたので内容もそのようなものかと想像していたら、

    あまりにもお袖が纏っていた着物が可哀想でなりませんでした。

    いつまでも橋の袂で好きな人を待っているのかもしれないかと

    思うとやりきれなかったです。

    やはりこの時代は丁稚奉公に行った先々では様々な境遇が

    今以上に理不尽なこともあって融通の効かないことが

    沢山あるのだなとは思いますがやりきれない思いで一杯になりました。



    偶然かもしれないですが、

    この作品集の中ではこの時代では子供がいなくなってしまったり、

    そのために母親が哀しい人生を送ることになってしまうことが

    あったのかと思うと本当にやりきれなく辛い時代だったのだと

    思ってしまいました。



    なさけというテーマの時代小説なのでもっと心温まるものが

    多いと想像していたのですが、夫婦の絆、親子の絆、長屋の温かさなどが

    中心だったので少し異なっていましたが、

    こういった切なさもあるのだなと納得した作品集でした。



    今回もまた新しい作家さんとの出会いが出来たので、

    また違う作品を読んでみたいと思います。

    どんどんと忘れ去られていく人情などは忘れてはいけない

    ものだとも思うので、時代小説を読んで心を豊かに生きていきたいと思いました。

  • 西條奈加さんの善人長屋は気になってたので本で読もうかなと思った。志川節子さん、田牧大和さん、村木嵐さん、初めて読みました。志川さんのご縁の糸面白そう。村木さん、ちょっとドロッとしたこの雰囲気、嫌いじゃないです。ラスト宮部みゆきさんはやっぱり面白い。
    思ったのはこの時代、子供たちこんなに行方不明になりがちなのかと母の気持ちに思いを馳せて、気の毒で仕方がない。

  • このアンソロジー、大好き!

    なさけというのは難しい。今回は切ない女性の話が多くて胸が痛かったですね。

    どうしようもなかったことを責めることは簡単なんですが、それがわかっていても行きつく場所のない人々の物語が哀しいなぁと思う一冊でした。

  • 時代短編小説アンソロジー。普段なかなか読まない作者の話も読めて面白い。今回のテーマは「なさけ」優しい人との繋がりもあれば、厳しい時代のやるせない話もある。人を裏切る金の亡者のような男の話もあれば、遠方から嫁ぐ娘を温かく迎えようとする男の話もある。いつの世も近眼鏡過ぎてもダメなのだなぁと感じ入る。ラストを飾る「宮部みゆき」の短編だけちょっとホラー?ファンタジー?が漂う。昔は育てられない子供は丁稚奉公へ出されたりしていたが、果たして虐待されて命を落とす子供とどちらが大変なのだろう?少子化と言いながら、子供をフォローしようとしない国に成り果てたこのに国に丁稚の神様はどう見えているのだろう?

  • 先日読んだアンソロジー「ねこだまり」が良かったので普段時代ものの人情ものは読まないのですが手に取ってみました。
    自分は、章が進むにつれて内容が深くなってる感がありました。だからか(?)やはりトリは宮部みゆきさん。
    なさけ、というタイトルだから温かい話ばかりかと思いきやぞろっと寒くなるような話もあり、なかなか味わい深い。この章だての順番も編者はよく考えられたのでしょうね。

    この「時代小説傑作選」のシリーズは、それぞれの収められた話の元々のシリーズがありそこからテーマに沿って抜粋して集めたアンソロジーのようです。きっとこれを手がかりに興味があったら元々のシリーズも読んでね、という取っ掛かりのための作品集なのでしょう。なので前段のある話が多かった。
    まぁ、前段のストーリーを知らずとも楽しく読めます。

  • ちょっと苦手な人情物。それでも一応傑作選で選ばれただけあってまあまあ読ませる。もちろん宮部みゆきは別格(既読だし)。あと連作物はここに取られた一編だけでは評価できないが、特にもっと読んでみたい作家さんはいなかった。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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