異邦人(いりびと) (PHP文芸文庫)

著者 :
  • PHP研究所
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レビュー : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569768168

作品紹介・あらすじ

京都の移ろう四季を背景に、若き画家の才能をめぐる人々の「業」を描いた著者新境地のアート小説にして衝撃作。待望の文庫化!

感想・レビュー・書評

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  • かつてキュレーターの経験を持つ、著者ならではの美術小説。
    さらに、京都の風物詩、京都言葉が随所に綴られ、居ながらにして京都情緒を堪能できる京都小説ともいえる。
    そんな京都らしさをゆったりと味わえる前半から一転して、後半はミステリーもかくやとの怒涛の展開になって行く。
    主人公菜緒の心を奪う一枚の絵と、京都への彼女の執拗なまでの執念。
    強烈な彼女の個性に、周りの人々とともに読者も振り回される。結末はどうなるのかと、頁を繰る手も急かされる。
    やがて明らかにされる真実は、恰も何枚もの緞帳が続けて巻き上げられる舞台を観ているかの様。
    京都を訪れる人は、何度訪れようと京都にとって永遠の異邦人であるように、菜緒は読者にとって永遠の異邦人かも。

  • 2018.6.2
    画商の一輝と、審美眼をもつ良家のお嬢様菜穂。
    両者の目線から描かれている本作、さらさらと一気読み。
    マハさんの作品は、美術に疎い私でもいつも面白い。
    今回の作品は、あとがきにあるように、マハさんのインタビューに凝縮されている。

  • 発売された当初は読む気がなかったのだけど、文庫化されたのを機に読んでみることに。
    基本、この作者は海外の芸術作品や芸術家にまつわる作品しか読まないので、今作の舞台が京都であることが、何となく新鮮に感じた。
    時は東日本大震災の起きた2011年。
    原発の被害が東京にまで及ぶと、とんでもないデマがまかり通ってた頃。
    都内で画廊を経営する篁一樹も、身ごもっていた妻・菜穂を京都に避難させる。
    当初は騒ぎが収まるまでの短期間のはずだったが、京都で出会った名もない画家の出現で二人の運命は大きく変わる。
    章ごとに一樹と菜穂の二人の目線が入れ替わる。
    京都で出会った樹と言う画家はきれいな女性で、一樹が惑わされる展開になると思いきや、全く違う展開に、少しだけ何が本当に描きたかったのか、中盤は分からなくなる。
    ラストまで読んで、「そういうことか」とはなるけど、メインとなる菜穂の強い思いは伝わるが、一樹の目線は必要だったのか、その辺が微妙。いっそ菜穂の物語として、一貫していた方がもっと面白かったような気がする。
    背景に描かれる京都の四季の描写は、とても美しかっただけに少し残念。

  • 泉の底に沈む滑らかな石のように、しんと落ち着き払っている老書家の態度

  • 「楽園のカンヴァス」や「暗幕のゲルニカ」のように、原田マハさんの作品には心打たれる面白さがある。
    本作は、絵画そのものに秘められた謎解きでなく、絵画しかも日本画を巡る人間関係を京都を舞台に上手く表現されて、ラストストーリーの急転換には、流石は原田さん!と驚愕。
    一味違った原田マハさんの1冊でした!
    お薦めの1冊!

  • 原田マハ作品にある安定的な面白さがこの作品にもありました。
    京都、芸妓、養女、腹違い…少しだけ火曜サスペンス的な匂いがするセッティングがまた良い隠し味になっています。

  • 美術にずば抜けた感性を持つ菜穂が、一時避難しなはずの京都で、京都の新人画家にみいられて、京都画壇の流儀も飛び越えて、すごい企画を老舗画廊と美術蒐集家に持ちかける。
    日本の画壇の裏側を垣間見るとともに、初めは彼女の才能と思い切りがスゴいと思って読み進めると、最後には運命ともいうべき、もっと重い過去が明かされる。
    グイグイ惹き付けられて読み終えました。

  • 京都を舞台にした美術小説。
    京都の文化(祭り)・心を感じた。観光でしか訪れたことがないので、まだ京都の上辺だけしか見てないし、これからもきっと交われない世界だと思った。

    自分は菜穂のように芸術を愛でる感性がないので共感はしないが、登場人物たちがそれぞれ人間臭い。最後に予想外のことが明かされ、気になってどんどん読んでしまった。

  • 美術小説の著者が、日本の2011年の東京・京都を舞台に、画商・美術館副館長夫妻・菜穂と一輝を主人公として、驚くべき新人画家の作品との出会い、そして夫婦関係の微妙な心の動き、京都の四季、お祭り(葵・祇園・時代の3大祭り、そして大文字送り火、貴船の川床料理)などを織り交ぜて飽かせずに読ませてくれる。最後近くの大逆転。謎解き小説ではないが、圧倒的な驚くべき展開。吉田山近くの情景が詳しく書かれたり、南禅寺の東に並ぶ有名人の別邸私にとっても懐かしい読み物。終盤の強引な展開はやや不自然な流れもなき面も無きにしも非ずだが…。モネの睡蓮その作品に並ぶべき睡蓮の襖絵を書いた新人画家・樹の作品の描写が、そして樹自身の描写の文章が限りなく美しく、補って余りある。
    菜穂そして樹の美に対する研ぎ澄まされた感性の凄さを訴えているが、著者そのものもまたそのような人に思える。

  • 20180521

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