世にもふしぎな動物園 (PHP文芸文庫)

  • PHP研究所
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本棚登録 : 53
レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569768625

作品紹介・あらすじ

動物がペンネームに隠れている作家が、その動物たちをテーマに短編小説を書いたら……。ミステリーから泣ける作品まで5作品を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 名前に動物が入ってる作家がその動物の短編を書くというアンソロジー。アイデア自体は面白いと思うけれど、ちょっとこじつけっぽいというか、その縛りのせいで選択範囲が狭いせいか作家の組み合わせが微妙、良くいえばバラエティに富んでいるけれど、悪くいえば統一感がない。収録作品は↓

    東川篤哉「馬の耳に殺人」
    白河三兎「幸運の足跡を追って」
    鹿島田真希「キョンちゃん」
    似鳥鶏「蹴る鶏の夏休み」
    小川洋子「黒子羊はどこへ」

    ライトなミステリーが好きな層には鹿島田真希は意味がわからないだろうし、逆に小川洋子のような幻想系純文学好き読者からしたらラノベはいらんねん、となるだろう。どちらが良いとかじゃなくて単に「食べ合わせが悪い」という印象。1作1作は悪くなくてもアンソロジーとしての完成度となると首をひねってしまう。

    個人的にはやはりもともと好きな小川洋子と鹿島田真希目当てで読んだので、それ以外の5分の3が似たような、ティーンエイジャーが推理する軽いミステリーだったのには若干閉口しました。面白くなくはないけど、いずれの登場人物も本人は普通だと思っているがちょっと変人、無駄な軽口やツッコミなどのスタイル、全体的なテイストが類似していて、違う作家の作品を読んだ気がしなかった。

    鹿島田真希「キョンちゃん」は、大学生の合コン話という軽い調子で始まったので他作家のテイストに合わせたのかな?程度に思っていたら、終盤で一気に作者の悪意が噴出、色んな意味で、やられた~という感じ。そりゃ『来たれ、野球部』なんてアニメ絵表紙のラノベまがいのタイトルで悪意のラノベパロディをやり、『選ばれし壊れ屋たち』ではBL文化をシニカルに笑い飛ばした鹿島田真希だもの、一筋縄ではいきませんよね(※褒め言葉)

    小川洋子「黒子羊はどこへ」だけは流石の完成度。海辺の町の寡婦、難破船から救われた羊たちから生まれた黒い子羊、羊を見に集まる子供たち、いつのまにか寡婦は託児所の園長として生きることになる。小川洋子さんらしい静謐な世界での残酷だけど優しい喪失の物語。

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著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

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