世にもふしぎな動物園 (PHP文芸文庫)

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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569768625

作品紹介・あらすじ

動物がペンネームに隠れている作家が、その動物たちをテーマに短編小説を書いたら……。ミステリーから泣ける作品まで5作品を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 動物がペンネームに入っている作家達によるそれぞれの名に因んだ短編集。気楽にサクッと読める。白河三兎『幸運の足跡を追って』似鳥鶏『蹴る鶏の夏休み』が好き。小川洋子『黒子羊はどこへ』は既読だったので残念。

  • ペンネームの一部に「動物」が隠れた人気作家による、それぞれの動物をテーマとした異色の短編集。面白い企画です♪

    動物たちがテーマだけあってどの動物も魅力的でした。
    だけど、内容は全体的に物足りなかったかな。
    お初作家さん達の作品がどうもビビビッとこなくて残念。
    また他の作品を読めば違ってくるかな。

    東川さんは彼らしい笑える作品。小川洋子さんも彼女らしい厳かで残酷だけど魅せられる物語でよかった。今回はいつもより難しかったな。どう解釈したらよいのやら悩むのも楽しい。

    東川篤哉 『馬の耳に殺人』容疑者は馬⁉︎ 探偵は関西弁を喋る馬。
    「んなわけあるかいな、マキバ子ちゃん、あの男の推理なんてゴミみたいなもんやで」

    白河三兎 『幸運の足跡を追って』行方不明になった兎をが占いでさがす⁉︎しかも偽占い師…

    鹿島田真希 『キョンちゃん』不思議な鹿の正体は?キョンちゃんには会えるのか?

    似鳥鶏 『蹴る鶏の夏休み』狂戦士(ベルセルク)ニワトリのピーちゃん。「白いカラス」の正体は?

    小川洋子 『黒子羊はどこへ』特別な黒の毛を持つ美しい黒子羊。その周りに集まる可愛い子供達。

  • 馬の耳に殺人(東川篤哉)、幸運の足跡を追って(白河三兎)、キョンちゃん(鹿島田真希)、蹴る鶏の夏休み(似鳥鶏)、黒子羊はどこへ(小川洋子)の5つの短編を「どうぶつたちの贈り物」として2016年2月にPHP研究所から刊行。2018年11月「世にもふしぎな動物園」に改題してPHP文芸文庫化。全編に落ちがあり、楽しめました。作家さんの選択が面白い。

  • 名前に動物が入ってる作家がその動物の短編を書くというアンソロジー。アイデア自体は面白いと思うけれど、ちょっとこじつけっぽいというか、その縛りのせいで選択範囲が狭いせいか作家の組み合わせが微妙、良くいえばバラエティに富んでいるけれど、悪くいえば統一感がない。収録作品は↓

    東川篤哉「馬の耳に殺人」
    白河三兎「幸運の足跡を追って」
    鹿島田真希「キョンちゃん」
    似鳥鶏「蹴る鶏の夏休み」
    小川洋子「黒子羊はどこへ」

    ライトなミステリーが好きな層には鹿島田真希は意味がわからないだろうし、逆に小川洋子のような幻想系純文学好き読者からしたらラノベはいらんねん、となるだろう。どちらが良いとかじゃなくて単に「食べ合わせが悪い」という印象。1作1作は悪くなくてもアンソロジーとしての完成度となると首をひねってしまう。

    個人的にはやはりもともと好きな小川洋子と鹿島田真希目当てで読んだので、それ以外の5分の3が似たような、ティーンエイジャーが推理する軽いミステリーだったのには若干閉口しました。面白くなくはないけど、いずれの登場人物も本人は普通だと思っているがちょっと変人、無駄な軽口やツッコミなどのスタイル、全体的なテイストが類似していて、違う作家の作品を読んだ気がしなかった。

    鹿島田真希「キョンちゃん」は、大学生の合コン話という軽い調子で始まったので他作家のテイストに合わせたのかな?程度に思っていたら、終盤で一気に作者の悪意が噴出、色んな意味で、やられた~という感じ。そりゃ『来たれ、野球部』なんてアニメ絵表紙のラノベまがいのタイトルで悪意のラノベパロディをやり、『選ばれし壊れ屋たち』ではBL文化をシニカルに笑い飛ばした鹿島田真希だもの、一筋縄ではいきませんよね(※褒め言葉)

    小川洋子「黒子羊はどこへ」だけは流石の完成度。海辺の町の寡婦、難破船から救われた羊たちから生まれた黒い子羊、羊を見に集まる子供たち、いつのまにか寡婦は託児所の園長として生きることになる。小川洋子さんらしい静謐な世界での残酷だけど優しい喪失の物語。

  • 一発目の東川篤哉さんで「馬」が喋りだして、タイトルを振り返った。なるほど、「世にもふしぎな」ってそういうことね、と。
    白河三「兔」の話が一番身に染みたかな。
    「鹿」島田真希の二人の男の関係の変遷のオチも割りと良かった。
    信頼の似鳥「鶏」さんのは謎解きはさすが。場面場面が目に浮かぶ。
    トリを飾るという意味で最後は似鳥さんでも良かったのではと思ったが、ラストは明らかに他と雰囲気が違った小川洋子さんの黒い「羊」のお伽噺が余韻を与えてくれました。

  • 短編が束になっててちょうど良い

  • いろんな作家さんの作品の短編集を読むのが初めてだったので、一つ一つの作品の趣の違いに驚いた。
    本の表紙がメルヘンだったので、そういう作品なんだと勘違いして読み始めたということもあり、わたしが読みたいのとは少し違っていた。

  • +++
    ペンネームの一部に「動物」が隠れた人気作家による、それぞれの動物をテーマとした異色の短編集。
    不吉とされる黒子羊を飼う、村で唯一の託児所(小川洋子「黒子羊はどこへ」)、牧場の経営者が亡くなった。犯人を推理するのは馬!?(東川篤哉「馬の耳に殺人」)、高校の新聞部の友人と共に白いカラスの謎を探っていたはずが……(似鳥鶏「蹴る鶏の夏休み」)等、バラエティに富んだ五作を収録。
    +++

    面白い趣向である。そして内容紹介の通り、物語のテイストもバラエティに富んでいて、ぐいぐい引っ張られる。それぞれにブラックな要素が盛り込まれているのも魅力である。小川洋子氏はことに著者らしく、やわらかなひつじのイメージとは全く違う秘密めいた雰囲気がたまらない。愉しめる一冊だった。

  • 小川洋子「黒子羊はどこへ」がちょっと印象的。
    年取ったからだな。

  • 小川洋子さんは、格別ですな!!

  • 例え,ペンネームに隠れた動物をテーマに一本短編が描かれても,決して自らの筆致を覆すことなく,かつ各人に通底するテーマが紡がれる.それを確認するための一冊.

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著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小川洋子の作品

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