もののけ 〈怪異〉時代小説傑作選 (PHP文芸文庫)

  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569769981

作品紹介・あらすじ

人気女性時代作家の小説がめじろ押し! 恐ろしくもときに涙を誘う、江戸の怪異を描いた傑作短編を収録した珠玉のアンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • あまり読まない時代物。「もののけ」なら割とすんなり読めるかと。好みなのは朝井まかて『ぞっこん』カラッと明るい人情系。そして加門七海『虫すだく』と宮部みゆき『蜆塚』はじっとりと嫌な汗をかきそうな感じが癖になりそうな気がする。

  • どの話も良かった。
    いろいろな「怪奇」で楽しませてくれました。
    夏の読み物としてはぴったりですね。
    最初の2作はどちらかというと情緒というか人情を感じさせるお話でした。
    後の方は人によってはとても怖いかもしれませんが、おすすめの一冊です。

  • 6人の女性作家が描く時代小説。
    悲しさや、優しさもあり、もちろん怪談もあり。
    アンソロジーとして、その物語の並べ方はなかなかなもの。

    「虫すだく」、「蜆塚」は怪談。
    特に「すだく」は夏にぴったり。
    ある棒手振りが語った物語。
    巡礼時に道に迷い、その先にあった寺での出来事。
    鈴虫の鳴く声が響く寺は、妙な気配に満ち満ちて…。
    その寺の和尚は元は別の寺にいた。そして生首に魅入られた。
    生首となった若い女に接吻してしまうほどに。
    それだけでも禁忌を犯していて、何かが起こりそうだというのに、物語の顛末にゾッとする。
    しばらく鈴虫は見たくない…

    「蜆塚」は口入屋を継いだ男が、奇妙な人々の存在を知る。
    それだけならば、もののけと共生するには工夫がいる(withコロナではないけれど)から、なんとかやっていこうとする市井の人々の姿が見えるのだけれど…
    あの奇妙なものたちはなんなのだ。
    わからないことは恐怖につながる。

    椿の物語はシリーズの第1作目らしい。
    子供の姿や、悪い奴らをやっつける姿が微笑ましくて、少し恐ろしくもある。
    続きを読みたくなる物語だ。

    本を読みながらうとうとして、畳に本を持ったまま横になっていた、という幸せな時間を持てた本。

  • 選ばれた作品はさすがとしか言いようがない。
    特に加門さんと宮部みゆきさんの作品は凄みが凄まじい。
    まさに彼女たちはもののけに選ばれた物書きだ。

  • 2020年3月PHP文芸文庫刊。怪異をテーマにした女性作家時代小説アンソロジー。シリーズ6作目。朝井まかて:ぞっこん、小松エメル:風来屋の猫、三好昌子:韓藍の庭、森山茂里:椿、加門七海:虫すだく、宮部みゆき:蜆塚、の6つの
    短編。ベテランの宮部さんがかすむくらいの力作揃いで、楽しめました。

  • 女性作家による時代小説のアンソロジー。
    いろいろなシリーズがある中、季節柄本書を読んでみました、がちょっと期待外れでした。
    使い古された筆が語る話やら、死んだ亭主が白猫になって戻ってくる話やら、宮部みゆきの年を取らない者たちのはなしですら、何か物足りないというか、心に響くものがありませんでした。
    短編ではそこまで深く描けないのでしょうか。
    残念でした。

  • 好きだったのはネコの話。
    ちょっと泣いてしまった。

    ぞぞぞ、っとしたのはスズムシの話。
    ハムナプトラでトラウマ植えられたの思い出した。
    虫グロ注意喚起してほしい。

    宮部みゆきは…うーん?やぶをつつかなければ良かったのでは?とか、元も子もないことを思ったり。
    「やっちゃダメだよ」って言われたことを破るとき、それ相応の理由付けがないと疑問符浮かぶわ。
    (全然違うけど美女と野獣もベルの行動に毎回イラッとする。)

  • ①ぞっこん 朝井まかて
    コメディチックな人情話。
    とってもハッピーな終わり。

    ②風来屋の猫 小松エメル
    夫を亡くした夫婦の切ない話。
    奥さんの男勝りな性格のおかげでそこまで湿っぽくはないけど感動もの。結構ハッピーエンド。

    ③韓藍の庭 三好昌子
    願いを叶えてほしい幽霊の話。
    恋物語…かと一瞬思ったけどそうでもなかった。
    結構湿っぽい話。多分ハッピーエンド。

    ④椿 森山茂里
    ライトな勧善懲悪系の話。
    お香と白児の子供2人がわちゃわちゃしてて可愛い。
    ハッピーエンドだけどシリーズものの一話とあってまだまだ続きそうな終わり。

    ⑤虫すだく 加門七海
    怖い。怪談話。あと若干グロい。
    語り部は最終的に無事。安心。

    ⑥蜆塚 宮部みゆき
    怖い系より不思議系の怪異話かと思いきや怖い系だったかもしれない。
    ハッピーエンドじゃない。

  • 最近お気に入りの時代小説アンソロジー。どうしても偏った作者に行きがちの自分を導いてくれてます。超有名なのに読んでなかった「朝井まかて」。すごく良い!話の引き込み方とかハンパない感じ。そして登場人物が本当にカッコイイ。この時代のお上に翻弄される文化は現況にも重なる部分が有り、桜吹雪が遠回しに出てくるところがくすぐられる。素敵です。「小松エメル」猫の話にはどうしても甘くなってしまうので。「三好昌子」この方も初読。ちょっとだけ勘の強い、そしてとても優しい女の子の話。昔は体の弱い子は育たなかった事でしょう。「加門七海」「宮部みゆき」、ここでいきなり怪異部分が強烈に。ただ、「宮部みゆき」の話は私も大好きなあの方達(バラの咲く村の)の系譜に連なる方達の話ですよね、いやぁ、そうですか、こう来ましたか。

  • 宮部みゆき「あやし」の読後、その余韻を感じながら手にとった。なので、あえて「蜆塚」は読んでいない。
    よかったのは、朝井まかての「ぞっこん」と三好昌子の「韓藍の庭」かな。どちらも、語りぶりがよかった。「ぞっこん」は最初、え、これって大鏡の雲林院菩提講?みたいな感じだった。そしたら、なんと、供養されるのを待つ付喪神の話だったのでなるほど、と、膝をついた。「韓藍の庭」は京の都下鴨のあたりが舞台。人のあわいにいる「もののけ」の哀愁を感じられた。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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