コミュニケーション力を引き出す 演劇ワークショップのすすめ (PHP新書)

  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569771052

作品紹介・あらすじ

ほんとうのコミュニケーション力とは、その場の空気を読む力などではなく、お互いの差異を摺り合わせる能力のことだ。その力を根本から訓練する「演劇ワークショップ」の理論と理念を、現代演劇の旗手平田オリザが平易に語る。そして全国的にも珍しい「プロ劇団」の代表である蓮行が、そのプロセスをドラマチックに開陳する。さらに、世界中から注目を集めているフィンランドの教育メソッドにも演劇が取り入れられているといった興味深い事例や、「あくび卵発声」などの具体的なノウハウも満載。

感想・レビュー・書評

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  • コミュニケーションにおける演劇の必要性について、具体例を交えて分かりやすく書かれていた。これまで演劇に全く興味がなかったが、見る目が変わった。なぜ、日本人に演劇が浸透していないかの考察もあり、納得できた。

  • <要約>
    役割を演じる体験を通じて、自己と他者が違うことを知り、違うからこと対話と合意形成が重要だと学ぶのだ。

    <感想>
    同質の人間で構成された共同体では議論が発展しない。本来共同体とは、他者理解と合意形成を経て共通のルールを共有する集団である。その前段をすっ飛ばしてルールのみが存在する共同体にコミュニケーション能力は必要なくなる。それが日本の旧い会社組織である。これから国際化が始まる日本において必要とされるのはコミュニケーション能力であり、役割を演じるという体験が重要になるはずだ。
    同じ価値観の人間の中に「異文化=フィクション」を持ち込むことが有効なのだ。

    <アンダーライン>
    ・合意を形成するためには、インプット(感じ方)はバラバラでもいいのだけれど、アウトプット(表現)は統一しなければいけない。
    ★「伝えたい」という気持ちは「伝わらない」という体験からしか出てこない
    ・「この人の立場だったら何と言うと思う?」と誘導すると、非常に意見が出やすくなる

  • 思索

  • 今後の授業や研修などのグループワークを検討する上で非常に参考になった。

  • 蓮行がなんとなく腹立つけど、面白かった。
    途中の内容が完全に重複してるので、本の価値としては半分。

  • 著者に興味を持ちまとめ読み2冊目。

    蓮行さんとの共著として複眼的に進むこと、
    また企業でのworkshop事例など具体的なものが出ることで、
    より理解のしやすい一冊だと思う。

    わかるつもりで済ませないためにも、
    この中に出てくるworkshopを実践してみることで、
    自身の血肉にしていこうと感じる。

    演劇関連の方が、会社員としても高いパフォーマンスを成す。
    初めての視点だったのに、妙に腑に落ちた。

    演劇などに縁遠い人、
    ことに仕事に集中する時間・意識が多い方にお勧めの一冊。

  • 学校でも、会社でも、学生の就職活動でも、どこへ行っても「コミュニケーション力」が問われる時代、そもそもコミュニケーション力とは一体どういうものか。

    単に、他人と簡単に打ち解けられるとか、人前で上手にプレゼンをして人の心を掴めるとか、むろん空気を読むのが上手いとかそういうことではなく、意思の疎通が上手くいかない場面で「どうにかする力」であり、それを身につける(あるいは、そもそも持っている力を引き出す)ための訓練として演劇ワークショップが使えるよ、というのが本書の趣旨。

    『インプット、感じ方は人それぞれでいい。バラバラなほうがいい。でも、それだけでは社会生活が営めない。何らかの形で集団で共有できたものを、合意できたものとして時間内にアウトプットしていこう』(本文より引用)
    同質性が高かった日本でも、この姿勢がより求められるようになる。演劇ワークショップを通じて、多様性を重視しながら共通のアウトプットを作り出す力を身につけられる環境が整っていけばいいなぁと思う。

  • Wed, 13 Oct 2010

    HIS2010
    で久しぶりに劇団衛星の蓮行さんにお会いした.
    そこで見た,演劇ワークショップは 蓮行さん自身のタレントの高さもあって
    かなり おもしろかった.気づきもあった.

    なかなか,言語表現でその意義の説明もむずかしいんだけど,
    この本で,実況中継的な感じでうまくかいてあります~.
    演劇ワークショップの魅了を追体験できる一冊.

    売れ筋のビジネス書もびっくりの読みやすさなので,是非,気楽に
    「ふーん」
    と読んでみて下さい.

  • 演劇をやったら、コミュニケーション力が上がるかどうかは分からないが、演劇をやるのはおもしろいので、平田さんのワークショップは一度受けてみたい。

  • 日本人のコミュニケーション力が重要になった3つの理由、①国際化、②国内の多国籍化、③日本人の中での価値観多様化であるところから出発。演劇がコミュニケーションデザインの練習の場!議論の末決まった事を、日本人は「私の考え」といい、欧州人は「2人で話し合った末の結論」と言うという。欧州人の「対話のための体力・胆力」などの強さを感じる逸話だ。海外において演劇による教育が行われるのに対して、日本では演劇が反政府的に捉えられていた背景などは成る程という感じ。いくつかのワークショップ、シアターゲーム、発声練習法など大学の教室で参考にしたい事例も多い。

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著者プロフィール

1962年、東京都生まれ。劇作家・演出家。芸術文化観光専門職大学学長。国際基督教大学在学中に劇団「青年団」結成。戯曲と演出を担当。戯曲の代表作に『東京ノート』(岸田國士戯曲賞受賞)、『その河をこえて、五月』(朝日舞台芸術賞グランプリ受賞)、『日本文学盛衰史』(鶴屋南北戯曲賞受賞)。『22世紀を見る君たちへ』(講談社現代新書)など著書多数。

「2022年 『撤退論 歴史のパラダイム転換にむけて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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