情報と外交

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569774251

作品紹介・あらすじ

CIA、旧KGB、MI6等々、数多くの情報機関と交流した著者が抱いた疑問-それは日本はほんとうに情報を必要としているのか、だった。元・外務省国際情報局長が明かす国際諜報戦争の真実。

感想・レビュー・書評

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  • 外務省入省後、結果的に情報畑を一貫して歩んだ著者の経験的情報収集・分析論的なものだが、真っ先に揚げている「今日の分析は今日の物。明日は豹変する」を、85年頃のSDI構想当時の知識でMDを「技術的に実現不可能」として批判している著者に聞かせてやりたいところ。「まず大国の優先順位をしれ、地域がこれにどう当てはまる?」以外は特に目新しい物はなかった。本文中に満ちあふれていた著者の自慢チックな文体が「情報分析の専門家」であったはずの著者の評価を更に下げている。

  • 外務官僚で情報の専門家である孫崎さんの情報マンの10の鉄則として、書かれています。
    なかでも感銘したのが、"情報グループは政策グループと対立する宿命(かつ通常負ける)"です。
    その通りだなと納得です。

    あと一つ、孫崎さんと佐藤優さんて外務省時代に接点があるのだろうか?

  • 外交分野でもまた、防衛に関してと同じことが起こっている。通常は、政策は次の過程をとる。情報入手、情報分析、政策決定。しかし、イラク戦争参加はまず対米関係の観点から決められた。イラク情勢の客観的分析からは始まっていない。

  • 情報分野に長らく携わった人間として、今日の分析は今日のものすなわち時間で情勢が刻々と変わること、現場に行くことの重要性、フォーリンアフェアーズやインターネットを活用して情報のマフィアに入ること、大国の優先順位を知ること、簡潔な報告、傍受の重要性、情勢を正確に伝えようとする情報グループが政策グループと対立し通常負けること、独自の戦略を持たなければ情報組織の必要性がないことを述べる。実例として挙げられたイランイラク戦争で戦争を終わらせるモチベーションがなかったこと、オバマの大統領選、ベルリンの壁崩壊の頃のハンガリーの動き、米中接近などなども面白かった。

  • KGB・CIA等各国情報機関の国の機関としての役割をわかりやすく書いている。また日本にどうして独自の外交戦略が生まれにくいのか、日本の情報分野はどうなっているのかなどにも詳しく言及している。各国の特徴などをもっと書いてくれれば良かった。言及するのがアメリカに偏りすぎているのが残念。

  • 最近読んだ本より、微妙に文字が大きくて行間が広くて読みやすい。
    それだけで星5つにしたいぐらい。
    内容もわかりやすいんだけど、残念なことにこれを読むと日本大丈夫か!?と不安になったりする。

    外交関係の仕事は、ホント大変だと改めて思う。

  • 2010.01.17 朝日新聞に紹介されました。
    外交最前線の逸話だそうです。
    書評がよかったせいもあって、読んでみたくなりました。

  • 100117朝日新聞書評
    “示唆に富む情報分析の手法。情報は統合して判断する必要がある。「知るべき人(リーダー)に情報を集めるだけでは不十分。」”

  • 外交における「情報と政策」をめぐる決定的考察【赤松正雄の読書録ブログ】

     湾岸戦争が終わってから13年後に米国がイラクにしかけた軍事介入から、もう6年あまりが経つ。当時、大量破壊兵器の存在やら国際テロ組織との関係などが、軍事介入の正当化の理由とされた。ブッシュ米大統領の決断にやむをえざる支持を表明した小泉首相。それを苦渋の選択としながら容認せざるをえなかった公明党。あの判断は正しかったのかどうか―関係者の一人としてずっと腑に落ちない思いを抱いていたのだが、孫崎享『情報と外交』を読んで、遂に落ちた。既に米国自体が大量破壊兵器に関しては間違いだったとの判断を下しているのに、何を今更と言われよう。だが、クルド人虐殺にそれが使われた歴史的事実は覆いがたいゆえ、その後もあるはずと確信していたのだ。

     「イラク戦争」を巡る動きは、外務省を中心にした当時の政府与党の「日米同盟」ありき、の姿勢がすべてに優先した結果だった。ある種あたり前のことが、この本で改めて浮き彫りになった思いがする。孫崎さんとは、総選挙前に先の氏の著書『日米同盟の正体』をめぐって、党機関誌の『公明』9月号誌上で対談を行った。その時点では、私としては未だ大量破壊兵器を巡る持論(バグダッド陥落の際に大量破壊兵器が持ち逃げされたり、紛失した可能性)にこだわっていた。しかし、今回の『情報と外交』では、外務省における「情報と政策」の取り扱いかたなるものの歴史的背景を明快に暴いてくれている。「イラク戦争」の総括は、「歴史の証明を待つ」との言い回しの中で、少なくとも日本では棚ざらしにされている。他のことはともかく、イラクへの米国の軍事介入に限っていえば、いさぎよく間違ったというべきだろう。

     「イラク攻撃に疑念を述べた人はほとんど淘汰され」、「米国の情報をそのまま受け入れ、大量破壊兵器の保持、アルカイダとの結びつきを強調した人は、情報・安全保障の専門家としての地位を確立した」とのくだりは、少々事実と違うと思うものの、印象深い表現だ。

     「外交」の分野で、みかけは軽くみえるが中身は重い、価値ある本が登場したとの思いは強い。

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著者プロフィール

1943年、旧満州生まれ。東京大学法学部を中退後、外務省に入省。
英国、ソ連、イラク、カナダに駐在。駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大学校教授などを歴任。現在、東アジア共同体研究所所長。
主な著書『戦後史の正体』(22万部のベストセラー。創元社)、『日本外交 現場からの証言』(山本七平賞受賞。中公新書)、『日米同盟の正体』(講談社現代新書)、『日米開戦の正体』『朝鮮戦争の正体』(祥伝社)、『アメリカに潰された政治家たち』河出書房新社)、『平和を創る道の探求』(かもがわ出版)ほか。

「2023年 『同盟は家臣ではない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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