マグネシウム文明論 (PHP新書)

  • PHP研究所
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レビュー : 47
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569775616

作品紹介・あらすじ

石油の次のエネルギー資源は何か?太陽電池で日本のエネルギーを賄おうとすると、国土の六割を覆う必要がある。水素社会なら地下が水素貯蔵タンクだらけ。リチウムイオン電池を載せた電気自動車が普及すると、リチウム資源が不足する。さらに、今の造水法で世界的な水不足に対応するには、世界の電力を五割増やさねばならない。この状況を突破する解こそ「マグネシウム循環社会」である。『タイム』誌で二〇〇九年Heroes of the Environmentに選ばれた、二酸化炭素二五%削減も実現する新技術を公開する。

感想・レビュー・書評

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  •  早晩枯渇が予想される石油に代わって、次世代の文明を支える主要エネルギー資源とは何か? そんな問いに対して、驚くべき答えを出す一冊。
     「マグネシウム循環社会」の実現こそ、エネルギー問題、水不足問題、地球温暖化問題を一気に解決する起死回生・一石三鳥の打開策である……著者たちはそう言うのだ。

     本書は、東工大教授である矢部の研究について、ライターの山路が聞き書きでまとめたもの。ゆえに、専門的知識についてもわかりやすく咀嚼されており、とくに科学知識がなくても理解できる。

     石油に代わるエネルギー資源といえば、太陽光発電、水素エネルギー、リチウムイオン電池などが候補として挙げられてきた。だが、それらはいずれも石油に比べて大きな欠点があり、決定打となっていないのはご存じのとおり。
     たとえば、太陽光発電で日本のエネルギーをまかなおうとすれば、国土の6割を太陽電池で覆わねばならず、現実的ではない。「水素エネルギー社会」にすれば地下が水素貯蔵タンクだらけになり、危険すぎる、というふうに……。

     だが、マグネシウムなら石油に代わるエネルギー資源になり得るという。
     そもそも、マグネシウムをエネルギー源とするということ自体初耳だが、「『燃料』として見た場合、マグネシウムは理想的な物質」なのだという。産み出される熱量は石炭よりやや低い程度にのぼり、しかも燃やしても無害な酸化マグネシウムになるだけで、有害物質を発生させないのだ。

     にもかかわらず、これまでエネルギー源として利用されてこなかったのは、マグネシウムが石油などに比べ稀少で高価だったためだ。

     だが、海水にほぼ無尽蔵に含まれるマグネシウムを抽出し、それを太陽光を使ったレーザーで精錬すれば、金属マグネシウムが安価に大量生産できる。しかも、燃料として使用したあとに出る酸化マグネシウムは、精錬すれば金属マグネシウムに戻り、再度燃料として利用できる。さらに、海水からマグネシウムを抽出する過程で大量の淡水が生まれ、世界的水不足も解決できる。
     そして、これらのサイクルの中では、温室効果ガスは発生しない。

     なんだか夢のような話だ。しかし矢部によれば、これは夢でもSFでもなく、ごく近い将来に実現可能なことなのだという。

    《「太陽光励起レーザー」とそれを用いた「レーザー精錬法」、「マグネシウム燃料電池」、そして、海水からマグネシウムを取り出すための低コストの「淡水化装置」。これらの装置はすべて実際に研究が進展しており、一部はすでに実用化されています。》

     あらゆる交通機関も動力源を「マグネシウム空気電池」に置き換えられ、マグネシウムを核にクリーンな循環社会が実現する……まことに壮大なヴィジョンである。

     著者たちの主張の当否、実現可能性の高低は、私には判断しかねる。が、未来に希望がわいてくるような一冊で、読んでいてワクワクした。

  • マグネシウムを石油の代わりに使うという壮大な夢が描かれている。しかもすでに基本的には実現しているとのこと。なんとも魅力的な話。シンガポールや他の国に取られてしまう前に、日本として、しっかりバックアップして実用化を推し進めたいと思った。

  • まだ実現可能とは言えないのだろうけど、これを機会に是非進めて欲しい技術の1つ。国がもっと補助金を出しても良いと思う。

    海水からマグネシウムを取り出し、太陽光励起(れいき)レーザーで製錬。できた金属マグネシウムを燃料として使用する。燃料として使用したあとに残った酸化マグネシウムは、再び太陽光励起レーザーで製錬する。

  • http://naokis.doorblog.jp/archives/51689308.html本のキュレーター勉強会二軍キャンプで紹介してもらいました。



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    【要約】


    【ノート】
    ・新書がベスト

  • 図書館
    挫折

  • マグネシウム文明論 (PHP新書)

  • マグネシウムを石油や石炭に代わるエネルギーにしてしまおうという研究の話です。
    書いている内容を鵜呑みにする限り、素晴らしいことだとは思います。
    が、それに必要な技術はまだまだですね。
    ちょっと検索した限り、2011年以降必要技術の一番下にある淡水化装置の話題が出てきてない感じなので、いろいろ頓挫しちゃったのかなという感じです。
    考えや理想は面白いので、なんとか実現して、エネルギー関連の価格引き下げに貢献して欲しいところです。

  • 面白い。
    研究者の興奮が伝わる良書だと思います。
    この情熱。こんな人が100人もいたら日本は絶対に変わりますよね。
    鼓舞されました。いい本です。

  • エネルギーサイクルの新しい考え方を提示してくれてはいる。
    楽観的で具体性も乏しく思うが夢はある。
    知っていても損はない考えであると思う。

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