去年はいい年になるだろう

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  • PHP研究所
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感想 : 64
  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569776637

感想・レビュー・書評

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  • 第42回 星雲賞日本長編部門受賞作。

    著者による宣伝ページがある。
    http://homepage3.nifty.com/hirorin/kyonenhaiitoshi.htm

    それによると「善意に基づく行動が良い結果を生むという保証はあるのか?」というのがテーマらしい。

    タイムトラベル+AI+パラレルワールドを組みあわせた感じ。「時砂の王」みたいな。

    でも本書は要するに、ラブレターなんじゃないかと思わなくもない。

    「アイの物語」は読んだけれど、あまり覚えていないので、再読してから読んだ方が楽しめたかもしれない。

    反重力は等価原理により、たぶん、存在しないだろうというのは、本書で得た気づき。等価原理から導き出せるんですね。

    ちなみに
    http://hirorin.otaden.jp/e253405.html
    によると
    「作中で僕が安田さんに借金を頼みに行くくだりがありまいすが、これは実際の体験が元になっています。『神は沈黙せず』を出版する直前、経済的に困窮し、安田さんに借金したことがあるのです。 」
    とあります。

    山本氏でさえ経済的に大変になるのであれば、作家業は本当に大変なんだなと。まぁ、ハードカバーは売れないだろうな。かさばるし。私も本書を図書館で借りているくらいだから。

  • アンドロイドが改編した時点でパラレルワールドになるとしても、過去の人類の生活を改善しようとタイムトラベルしに来るというお話。うーん、そういう思考をするようになるかな。。
    AIの思考は、人類と接触するのであれば、チューリングマシーン的にある程度相互理解が可能なやり取りを出来るようでなければならないとは思うのだけど。どうもその思考にリアリティを感じない。
    超越者が神様にしろ、宇宙人にしろ、未来人にしろ、アンドロイドにしろ、物語にするために、顕現させるとこういう発想になりました、ということかな。
    2300年で概ね人類の幸せのためにやれる事はやり尽くして、後は過去を改編して幸せに感じる人間の総量を増やす。そう、多分、SFを読むときに先鋭や未来を見たいのだけれど、2300年の先は特にありませんと言われるように感じるんだよね。アンドロイド目線では先が過去なんだろうけど。やっぱり違和感あるな。

  • 未来から大量のロボットがやってきて、人類を良き方向に導こうとするが、個人や社会に様々な問題も発生するという話。

    タイムパラドックスものは思考実験のようなものになりがちだが、この話の個性的なところは、作者が自分に降り掛かったらどうだろうかという思考実験を公開しているところと言えるかもしれない。
    未来から数百万のロボットが人類を助けるためにやってきて、人類を良き方向に導いていく。山本さんのところには特に親しくやってきて、未来の自分からのメッセージを置いていく。
    しかも、連中は自分のいた時代から1年ごと遡って、10年間滞在するということをもう300年もやっているというのだ。
    のだから、山本さんに関わるのももう10回目とかで、どんどん枝分かれする影響時間軸や、どんどん増えていく平行世界の山本さんが、思考実験をどんどん複雑なものにして行って、発散した挙句論理よりも感情の世界に突入してしまう。

    思考実験について、
    私はSFの醍醐味は付加要素(もしくは欠落要素)が発生したときに人間はどう動くかということだと思ってるのですが、この話だと、自分にこういう事件が降りかかったらどうなるだろう、そしてどう思うだろう、というのを、かなり山本さん視点で書いていて、作者に親しみを感じると共に、自分であればどう感じるだろうということを想起させてくれて面白かったです。
    その上で、登場人物に現実の人が大量に出てきて、こんな事まで書いてしまって良いのか?と思ったり、最後にこのメインの山本さんがひどい目にあうくだりでは、これ見てご家族怒らないのかなあ、とか、余計な心配もしてしまいましたよ。

    結局、ロボット君たちがやっている人類救済というのが、おせっかいなのですよね。
    現実のおせっかいというのも、良かれと思って手を出して、あんまり良い結果にならないことがままある。余計な手出しをして、かえって悪い結果になることもあるのであれば、本人に任せたほうが良いだろう、となってしまうのに、
    ロボットの最大の快楽は人助けで、悪いこともあることはわかっていても、やめられないという展開には、じゃあしょうがない、となってしまいました。
    このあたり、人間だとどうしても「お前たちのためにやってやっているんだ」から逃げ切れないところ、ロボットの本能に根ざした行為にすることで、それまで人間と似せても異なる存在であることを示していたこともあり、欲望からは逃げられないという点で、別の視点の「人間味」を感じさせられました。
    人間同士でも私が感じる「話せば分かる」は、理解を深める事で同じでないことを認識する、ことを示してくれたような。
    それでやはり山本さんの作品世界は好きだと思うのだけど、それだけにメインの山本さんの不幸が残念でした。
    別の時代の山本さんが救われてても、やはり残念で、私の中で星をひとつ落とした感じです。
    教訓:自分を見つめることをためらっているとろくなことにならない。

  • タイムトラベル、歴史改変ものです。久しぶりに大掛かりなSFらしい小説を読みました。

  • 99:9・11テロを防ぐべく、24世紀からタイムスリップしてきた「ガーディアン」と名乗る美男美女のロボットたち。彼らはロボット工学の三原則の下に、テロや自然災害から人類を守るべく歴史の改変を行うが……というパラレルワールドもの。実在の作家さんたちが実名で登場するなどニヤリとする演出も交えながら、「多くを救うために少数を犠牲にする」ガーディアンのやり方に不気味さを感じたり、家族とカイラとの間で揺れる心、そしてさらなる歴史改変、とどんどん読み進めてしまいます。大きくくくればSFになるのでしょうが、タイトルの意味がわかった瞬間の「ああ!」というスカッとした感じがたまりません。内容はやや重いのですが、最後に希望が描かれてよかったと一安心。

  • 山本老师真是自己人!宅出境界的宅…有时候看他推特上发的各种宅向东西 都怀疑他还有时间写小说嘛…而且这书还全用的是实名…借钱那貌似也是实事…对人类的痛心疾首的失望在他推特timeline中也可见一斑。宅向和sf领域干货太多…或许并不能受万人喜欢…老师的网站做的很有意思 没事可去逛逛

  • 山本弘、すごい! BISBB部の3巻目が今年最高のミステリーとしたら、これは今年最高のSF。タイムトラベラーパラレルワールド。大好き。

  •  図書館より。

     2001年、未来からガーディアンと名のるアンドロイド集団が襲来。人類のために尽くすことを本能づけられた彼らは、世界中の戦力をあっという間に無力化すると、貧困地域の支援や人命救助、テロリストの確保、独立国家の解体などを次々と行う。そしてSF作家”山本弘”にもガーディアンが接触してきて…

     この本の著者である山本弘さんが主人公の一種の時空改変、タイムパラドックスもののSFです。そんなわけで2001年時点の山本さん自身のお話もたくさん作中では触れられています。山本さんがこれから(2001年以降に)書く小説の話であったり、自身が運営している同好会の話であったり、仕事の話や家族の話など。

     そんなわけである程度山本弘という作家の作品や彼のSFのスタンスをある程度知っていないと、なかなか入り込みにくいかもしれないです。(特に『アイの物語』は先に読んでおくのを推奨します)

     ただそうした部分をあますことなく語ることによって、アンドロイドの襲来が世界的に見れば確かにいいことかもしれないですが、それが個人単位の話になるとどうなのだろうか、という問いに対し非常に具体的な回答が小説として書かれていると思います。私小説的な面白さに思考実験としての面白さがプラスされたような印象です。

     日常描写が多めで、話の動きはあまり多くない印象でしたが、その分ラストの衝撃はなかなかのものでした。

     個人的にこの話は山本さんが『アイの物語』でなぜそうした世界を作ったのか、という問いをより深く、そして尖らせて行きついた物語のように思います。

    第42回星雲賞(日本長編部門)

  • 2020年に読みたかった!!!(多分まだ生きてるはず

  • 図書館で。この方の本はMM9とか言う本を読んだことがありますがその時もイマイチ、ピンと来なかった記憶が。この本もナンダカナって感じで終わってしまいました。取りあえずものすごい内輪受けって感じの本だなあと思いました。(まあ主人公が過去の自分にあてて書いてる本なので仕方ないのでしょうけれども)

    取りあえずガーディアンが彼の元を訪れたのは良いとして何で彼は家族と一緒に会わなかったのでしょうか?お友達になったらその人としか話してはいけないとか言う規則があるわけでもないのに。娘だって奥さんだって一度か二度ガーディアンに会っていれば話は違ったんじゃないかな?そういう辺り男性の女性に対する気の利かなさが表れていてすごく不快。これ、女性がお友達に選ばれたらきっと家族に紹介すると思うんですよね。主人公が無意識に対外的な所から家族を離して考えているのが男性本位な考え方だなあって思いました。もともとSF好きで通じた奥さんならガーディアンに会せたら喜びこそすれ嫌がることもないと思うのにな。多分主人公は奥さんが娘連れて出て行った理由、自分が悪いとは言いつつ何が悪いのかわかってない気がする(笑)

    そしてSFオタク会みたいなのも個人的にあまり良い思い出が無いのでちょっと引き気味になりました。大分前にコミケにSF枠で出た時隣のスペにこういうマニアみたいな人たちが居たなあという事を思い出して…。この作品には関係ないのですが。その時は結構なお客さんではない人数が屯して、総勢10名ぐらいが入れ替わり立ち代わりスペ内、通路にウロウロして非常に邪魔だったのです。内輪で盛り上がってこちらにはみ出していることも通行の邪魔になっていることにも気づかないし挨拶も無し。当時学生だったのですが社会人の癖に子供っぽい人たちだなあと思った事を思い出しました。そして彼らは彼らだけのコミュニティを楽しんでいて知り合い以外の人間とは対話したりしない感じが物凄い閉鎖的でイヤだったなあとそんなことも思い出しました。なんかこう、好きが高じて集う仲間内って物凄い楽しいのはわかるんですが周囲は少し見た方が良いよねっていうか。まあその辺りは反面教師でもあるのですが。

    そんな感じであまり楽しめなかったです。多分この作家さんとはあまり合わないんだろうなあ…きっと。

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著者プロフィール

作家。2003年に本格SFにして著者初の四六判ハードカバー『神は沈黙せず』(角川書店)を刊行。同作は読者の話題をさらい、日本SF大賞の候補となった。また2006年5月に刊行された単行本『アイの物語』(角川書店)も各書評家に絶賛されている。

「2018年 『怪奇探偵リジー&クリスタル 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山本弘の作品

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