- Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569776637
感想・レビュー・書評
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読み始めは「ああ、こういうタイムパトロール的なやつね」って思いながらガーディアン到着まで進んだけど、某SF作家個人にストーリーの焦点があたり、タイムパトロールの個人との関わり合いという要素が組み合わさることで、物語は深みを増してゆく。誰もが自分の家族が大切で、自分の身が大切。「自分」の側がどんな規模なのかの考え方は人によって違うけど、規模が違うだけで結局は身勝手なんだよなと。終わり方が山本弘らしいともらしくないとも言えて印象的。
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読む前と読み終わった後では、本のタイトルの印象が変わる。
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2001年9月11日、突如上空に現れた球体は、瞬く間に全世界の軍事力を無力化した。
ガーディアンと自称する彼らは未来からやってきたアンドロイドであった。
彼らの目的は、世界征服ではなく、人を不幸から守ることらしい。
彼らのおかげであの米国同時多発テロは起こらなかった!
彼らのもたらした情報によって、本来の歴史で起こった自然災害、テロ、戦争、大事故などが防げるようになった一方で、未来の自分からのメッセージに翻弄され、人生が大きく変わってしまう人も多くいた。
主人公のSF小説家山本弘も突然の非現実的な出来事と未来の自分からのメッセージに翻弄されていく・・・
私小説というだけあって自伝的要素も多く含んだ小説となっています。
過去の自分自身を主人公にしてそこから歴史改変ものの物語を作るっていう発想が面白いですね。
こういう自伝もありですね!!
自己オマージュ作品とういう単語が思い浮かびましたw
純粋にSF小説として読むよりも、山本弘の自伝として読んだ方が面白いように思います。
SF小説としても十二分に面白ですけど。
是非とも『アイの物語』を読んでから読んでもらいたい!!
『アイの物語』とはまた違ったアンドロイド像が見られて面白いですよ。
「作家にとって最高の作品は自分の作品だ。だってそれは、自分好みの題材を、自分好みの手法で調理し、自分好みに味つけしたものだからだ。まさに僕のためのオーダーメイド料理だ。美味しくないわけがない。」
しかし、山本作品のアンドロイドの微妙に人間と異なる描写は巧みですね。
わずかな違いでしかないんだけど、そこに違和感を感じ、それが逆に怖い。
結局人間とアンドロイドは互いに理解しあえない、そしてそれが当てはまるのは何も人間とアンドロイドだけではない・・・ -
ううっ、人類っていったい…
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タイムトラベルSF。ある日、未来からアンドロイドがやって来る。目的は「人間を守る事」。テロリストや犯罪者、独裁者を逮捕し、現代の医学では治せない病を治療する。本当に善意なのだろうか?
アンドロイドを神様と置き換えれば、宗教になる。それ位、何でも出来る事に違和感があるけど、非常に面白く引き込まれた。ただ、未来の人類が戦争せずに共存しているとは思えない。その前に滅んでる気がする。それと過去の自分宛のメッセージなんてナンセンス。その時点で歴史は変わっちゃうし、ほっといて欲しい。
オチは作中で登場人物が言うとおり「SFにハッピーエンドはない。ただ物語は続く。」 -
2001/09/11、24世紀の未来から「ガーディアン」と名乗るロボット集団がやってきて圧倒的な技術力の元、本来の歴史では起こっていたはずテロや犯罪を防ぎ始めます。この顛末を著者自らが主人公となって語るという形式が取られており、と学会のメンバーなど実在の人物が実名で登場、「禁則事項です」といったくすぐりをあちこちにちりばめながらも万人に楽しめるエンタテインメント作品になっています。
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アイの物語が面白かったので、借りてみた。
2001年の9月11日に、24世紀からロボットが来て、混乱もありつつ、平和になるという話。
アイの物語の延長上にありそうな話である。
著者の一人称で語られていて、実際の出来事と、実在する人物が入り混じるドキュメンタリー風。
全然似てないのに、村上春樹の1Q84を連想してしまった。
あるはずのないパラレルワールドといった感じ。
もしも、歴史が変わるとしたら?
過去の時分にメッセージを伝えられるとしたら?
なにを伝えたいと思うだろう?未来なんて知らないほうがいい、と思ってしまった。
後編までくれば、一気に読めるけど、読み進めるのに、時間がかかってしまった。
アイの物語のほうが好みかな…