「見せかけの勤勉」の正体

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569779881

作品紹介・あらすじ

9割の日本人は"やる気"がない!?管理職が陥りやすい「ワナ」を徹底検証。

感想・レビュー・書評

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  • この人の著作の評価は難しい。議論のベースが単なる伝聞や根拠の曖昧なアンケート、著者の憶測ばかりで、はっきり言って前半は読む価値なしだ。かといって言っていることがデタラメかと言うとそうでもなく、結構本質を突いた分析になっている。目標管理制度が日本人ワーカーの自発的なモチベーションを奪ったのは間違いないと信じるが、背後にある隠れた原因の一つとして過剰な管理とやる気第一主義があるとの説明は非常に説得力がある。恐らくそれは日本人の気質とか文化から来る根元的なものであり、最も目標管理に向かない国民性なのかも知れない。人事考課も3段階、しかもほとんどは中位評価で良いと言う提案も良い。以前会社が外資系だった頃、アングロサクソン達はプロジェクトのオーナーシップを非常に大切にしていたのを思い出す。彼らエリートは実に良く働くし、モチベーションも高かった。所有感と言う概念は日本人には馴染みがないが、とても大切なものである。

  • モチベーションについての本。
    日本人のやる気は「見せかけ」で、実際はモチベーションは高くない。その原因は、皮肉なことに「やる気主義」にある。

    やる気の足かせとして5つの要素が上げられている。
    1.残業への不満
    2.定まらない目標
    3.過剰な管理
    4.まだら模様の人間関係
    5.不公平な評価、処遇
    その足かせを作っている原因が「やる気主義」にあるという。
    やる気を見せるためには休出・残業は避けられず、次々と高い目標を設定させられ、上司はさらに上にやる気を見せるために部下を過剰に管理し、飛び抜けぬよう、出し抜かれぬよう仲間と牽制し合い、やる気という不明確なものが評価基準となっているため、評価は不公平感ばかりを生む。

    逆にモチベーションを持って仕事ができるためには、仕事の所有感を持つことが肝要。そのためには、上司の管理は片手間でよい。仕事を見るのは、やる気のような「川上」ではなく、成果や目標に近い「川下」で見ること。部下が主役で上司が脇役をしっかり意識し、上司が部下を支援すること。さらに評価はあえてアバウトにすること。

    読んでみると、自分にも「やる気主義」に毒されて行動している面というのもあるというのが自覚できた。やばい。

  • 「やるき主義」の履き違えとマネジメントに関する誤解。
    管理すればするほど、従うものはその道からかずれていく。
    腹八分目程度の係わりが最良の結果を生むのではないかという
    筆者の提案と、現状との対比論。

  • ”社内読書会メンバから「最近読んでよかった本」と紹介されたので購入。まえがきの“「やる気主義」はやる気にとって有害なのである”という記述に、はっとさせられた。

    シントピック・リーディング(テーマ:現場から頼りにされる人事部メンバになるための実践アイデアを獲得する)での4冊のうちの1冊として読んだ。

    <読書メモ>
    ・メガネの21
     あえて評価はアバウトに(p175)
    ・人間関係の濃淡の偏りをなくすには、小さな集団を包摂する大きな集団のウエイトを高くすればよい。(p86)
    ・やる気をなくさせているものの根源に迫り、それを取り払うことに主眼をおいた(p5)
    ・管理の効果はすぐ現れるのに対し、その弊害はゆっくり表れる(p68)
    ・やらされ感は「やる気主義」によってもたらされ、所有感は「やる気主義」を捨てるところから得られる。(p160)
     #企業や仕事、部署に対する「所有感」の話。なるほどね。
    ・「人の管理」よりも「仕事の管理」を。(p183)
     #著者 太田さんは、「そのために上手な片手間を」と説く。

    <キーワード>
    ・5つの足かせ
     ★過剰管理、不満、人間関係(まだら、しっと)、評価、目標
    ・やる気主義
     日本…川上
     欧米…川下(アウトプットに近い方に着眼)”

  • 管理する側からの視点で考察された「やる気」についての本。
    過度なやる気のマイナス面に焦点が当てられ、冒頭から共感できる部分が多かった。
    著者の主張がすべて正しいかはわからないが、今後の管理に対する考え方として、ひとつの指針になるかもしれない。

    ・「やる気を出せ」と言っても、サイドブレーキをかけたままアクセルを踏むようなもの。それでは車は前に進まない。サイドブレーキを解除するほうに目を向ける必要あり。
    ・やる気をなくさせるものの根源とは?
    ・日本の若者は消極的、受動的な帰属意識が強い。対して他国の若者は積極的、能動的な帰属意識が強い。
    ・高度経済成長ではこれがうまくまわっていた。
    ・本物のモチベーションは本人の自発性から生まれる。
    ・学生までは「受身のモチベーション」、勉強・スポーツはこなせても、社会人からは「自分からのモチベーション」であり、質が違う。

    以下、amazonへのレビュー

    著者の言われている「やる気がないのにやる気をアピール」については、世の中で働いている社会人の中には、うすうす気がついている人が多いのではないでしょうか?
    ただ、それはぼんやりとしたイメージであって、この本を読むことにより、その本質的な部分を垣間見た気がしました。

    タイトルの「見せかけの勤勉」もまさにその通りで、自分も深く考えることはせず、なんとなく「まず、やる気を示すこと」が成果・評価に繋がると信じていたように思えます。
    他の著者でこのような切り口で書かれている本だと、結果的にスローライフ的な人生を選択することも必要だ、みたいな流れが多いですが、この著者は、リーダーがきちんと導いてあげれば職場内で無用なストレスもなく、健全な社会が実現すると説いてます。

    すべての主張に賛同するまでには至りませんが、非常にわかりやすく、自分の中では消化しやすい内容でしたので、他の著書も読んでみたくなりました。

  • やる気主義の逆効果に鋭い指摘をしていて、共感する。
    が、なかなか実践が難しい

  • 伝家の宝刀は抜かない。例えば部下に対して叱ってもよいが、人事権を安易に使わない。
    そして、それを公言する。

    やる気を引き出す為にはこちらが、あまり入れ込まないことが大切。

    やる気主義を捨てることで、やらされ感が払拭され、自発的なモチベーションが発揮される。
    やらされ感の対局にあるのが、所有感。
    仕事では裁量権に近い感覚。

    リーダーは必ずしも強い必要はない。カーリングのスイーパーのイメージ。

  • 図書館

  • まあ、なるほどという感じ

  • やる気は評価しない。人を管理しない。 個人的には書かれていることを全面的に支持したい。 上に立つ人は実践してもらいたい。 普通は躊躇すると思うけど。本書でも触れられている未来工業、一時期かなり持ち上げられてたけど考え方を取り入れて実践した所はほとんどないようだし、変えていくっていうのは難しいんだろうね。

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著者プロフィール

同志社大学政策学部教授

「2022年 『何もしないほうが得な日本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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