メディアが出さない世界経済ほんとうの話

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569792378

作品紹介・あらすじ

メディアが偏向しているのは、当たり前だと考えなければいけない。ならばどのように現代の経済や国際情勢を理解したらよいのか?その答えがここに。

感想・レビュー・書評

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  • 多極か、英米かというものの見方は理解を高める上で面白い。ただ、全部それで説明してしまうのがちょっとなあ、という感じ。歴史はmuddle throughで行く事が多いので、あまり一セオリーで説明しすぎるといわゆる「陰謀論」になってしまう。でも、面白いです。メルマガも続けて読みます。

  • "この著者のメルマガは面白いので読んでいます。
    日本の丸善でちょうどこの本が目に入ったので購入しました。
    少し極論かな。。と思える部分も多いですが、
    参考になる点もありました。
    皆さんに是非お勧め!! とまではいかない1冊です(笑)"

  • ・アメリカの動きには奇妙な矛盾が散見される。失敗するような政策を故意に採っているように見える。本書の著者はそれをアメリカ内の覇権主義と多極主義との暗闘と見る。覇権主義はアメリカの力によって世界のバランスを管理しようというもので、多極主義は世界を幾つかのブロックに分けてバランスを保とうというもの。覇権主義と多極主義という対立軸は、イデオロギーと資本家との対立軸でもあるらしい。
     覇権主義体制が続くのか、一挙にアメリカの力が低下し多極主義に移行していくのか。著者が見るところ、前者の巻き返しはかなり難しいらしい。ちなみに、この対立の歴史を読んでいるとまたもやメタルギアを思い出してしまった。

    ・紐解いていくと、元々ヨーロッパにはあんまり関わりを持ちたくなかった孤立主義的傾向の強かったアメリカに覇権主義の動きが出来たのは、戦後すぐにチャーチルがアメリカで「鉄のカーテン」演説で共産陣営の脅威をあおり、アメリカ中枢に人員を送り込み、アメリカをイギリスの「傀儡化」した時からの流れ。加えてアメリカにはイスラエルからも人員が送り込まれ、主として「ネオコン」層として機能している。中近東の憎まれっ子イスラエルとしてはアメリカに後ろ盾になってもらうことで自らの安全保障とすることが死活問題だった。

    ・本書は誇大妄想的な陰謀論説と言えなくもないが、根拠、出典が示されているものが多く、さすが田中宇という感じで、大変面白く読ませてもらった。単純な陰謀論説ってわけでもないしね。手嶋龍一さんや佐藤優さんの知見も知りたい、すごく知りたい。「トンデモ本」と一言で片付けられる可能性もあるけど。
     なお、「覇権主義 vs 多極主義」という構図は田中さんが2004年に出した「アメリカ以後」でも示されている。本書は2011年12月だからその7年後になるわけだが、その構図が変わったわけではなさそう。ただし、そうなると、堤さんの「貧困大国アメリカ」でルポされていた戦争産業や刑務所産業のための貧困層の創出という流れはどういう説明になればいいんだろう?

    ・意外なことに、ニクソンは多極主義。覇権主義側にウォーターゲートで失脚させられたが、その前に訪中を果たしている。多極主義的世界観において中国は欠かせないピースの一つ。田中角栄の日中有効の働きかけは、ニクソンとも通じた動きだったとも。

    ・アジアブロックのバランスを司る大国は中国。日本ではない。日本はそのポジションを狙えるだけの実力があるのに、戦後の対米追従のラクさ加減になれ過ぎてしまったと著者は見ている。また、欧米に対して、覇権を狙う野心はもう持ちません、という恭順の意思表示で、諜報活動を封印してきている。こう考えると、前の政権時に安倍さんが日本版CIAを創設すると言ってたのは意味深なような。あるいはそこまで考えてなくて、単なる覇権への右翼的野心なだけという可能性もあるが。そして、多極主義への流れは中国でも敏感に察知している。BRICSもそうだが、上海機構は隠然と、しかし着実に足場を固めつつある。今は投機筋からの攻撃を警戒して人民元を解放していないが、部分的に人民元建ての決済も始めている。

    ・日本はどうなるのか。アメリカからの自立を目指した小沢・鳩山は官僚によって潰された。官僚はアメリカの意思を「忖度」している根っこの部分、つまり外務省の力が大きく、「アメリカがいないと」「アメリカに逆らうと」日本は大変なことになるというパラダイムでずっと来ている。でも実は、田母神さんがtweetしている通り、自衛隊の実力は中韓よりも上だと考えた方がいいのかも知れない(決してその姿勢に賛同はしないが)。日本はわざとフラフラすることで、覇権主義にも多極主義にも与せず、上手に渡り合おうとしているのかも知れないという田中さんの指摘が面白い。実は以前にオスプレイ配備を巡る日本の動きについて、実は優柔不断を装いながら、米中、どちらからもバランスよく距離を取ってるんじゃないかと友人と(冗談半分以上だが)話したことがあったので、この指摘はそんなに奇異なものには感じなかった。

  • 高校の時、授業で政治経済に関して研究しているときに出会った新書の著者で、この本は最近本屋で見かけて少し読んだ。

    タイトルだけ見るとすごい題名ですが、著者の根本にあるのは「正しい意見などない」という感覚で、でもその上で著者が自分の責任で調べた資料から歴史を読みといている。


    日本語でこういった文章が読めることは、嬉しいことだと思う。思考が膠着しない。

  • 題名がトンデモな感じですが。著者は近現代の米英の覇権が崩れ、多極型の新世界体制への移行が進んでいると説く。タックスヘイブンを使った英米の金融兵器による世界支配の構図はなるほど。なぜ日本は「対米従属」から離れることができないか。それは日本の「官僚」が、戦後日本にとっての「お上」だった米国の意思の「解釈権」を握ることを通じて、政界を押しのけて権力を握ってきたから。官僚にとって「対米従属」は既得権益そのものなのである。

  • 田中 宇 (著)
    メディアが偏向しているのは、当たり前だと考えなければいけない。ならば、現代の経済や国際情勢をどう理解したらよいのか。著者独自の歴史論も展開しつつ、激動する世界を多角的に洞察する。

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著者プロフィール

国際情勢解説者。1961 年東京生まれ。東北大学経済学部卒。東レ勤務を経て共同通信社に入社。新聞、テレビ、ネットニュースでは読めない情報と見解を発信するメールマガジン「田中宇の国際ニュース解説」を主宰。
著書に『タリバン』(光文社)、『非米同盟』(文藝春秋)、『世界がドルを捨てた日』(光文社)、『日本が「対米従属」を脱する日』(風雲舎)、『金融世界大戦』(朝日新聞出版)、『トランプ革命の始動──覇権の再編』、『感染爆発・新型コロナ危機──パンデミックから世界恐慌へ』(ともに花伝社)ほか多数。

「2020年 『コロナ時代の世界地図』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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