コンピュータVSプロ棋士―名人に勝つ日はいつか (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
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レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569794358

作品紹介・あらすじ

チェスのチャンピオンにコンピュータが勝利してから13年、渡辺明竜王と「最強の将棋ソフト」ボナンザの激闘から3年、コンピュータがついにプロ棋士に勝った。歴史の扉を開けた2010年10月11日の戦いまで、その足跡を追う。人間の頭脳に挑む将棋ソフトはいかに進歩してきたのか。その指し手はどのように決定され、人間の思考とどこがどう違うのか。「読み」と「局面評価」はどのように行うのか。公開対局でプロ棋士に初めて勝利した激戦譜を辿りながら、今後の課題を考える。

感想・レビュー・書評

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  • 昔雑誌で見たアルファベータ探索ってこういうことか。軽く読めたけど、その分内容が軽い感じ。もう少し将棋ソフトのことを書いてくれればよかった。

  • 将棋の指し手選択においてのコンピューターの特徴を、理論的に書いています。

    また、清水先生と「あから」の対局の詳細について書かれています。

    電王戦をふまえた現在の状況について、岡嶋さんに続編を書いてほしいと思います。

  • ・2010年に複数のコンピュータをクラスタでつなげた「あらか」が清水市代女性王将に一発入れる。
    ・人間の現状把握能力を如何に定量化しコンピュータに認識させるかの戦いがここにはある。以下、読書メモ。
    ・ボナンザの特徴は
    ①全幅検索
    ②自動学習
    ③オープンソース
    ・ボナンザの特徴は全幅検索。人間は見ただけで経験と勘でどちらがいいのか判断できる場合があるが、コンピュータはできない。いずれの選択肢も同様に検討する必要があるが、従来のコンピュータはリソースの関係上これができず、一部の選択肢は「あくまでコンピュータ基準での」よさそうな手だけを読んでいた。ボナンザはこれをやめて、全幅検索ロジックを搭載した。
    ・ゲームはオセロ<チェス<将棋<囲碁の次に複雑になる。
    可能な指しては「チェスで平均35」「将棋で平均80」「囲碁が平均250」となる。将棋は1局が100手を超えるので全てのパターンを読み切るのは不可能。全ての手を読み切る(ゲームを完全に解読する)のと強くなるのは異なる。
    ・コンピュータは先を読むのが得意。例えば人間がある方向性を示し、コンピュータがそれをシュミレートする。ただし、コンピュータの考え方(どのように考えるか)は理解しておかなければならない。
    ・将棋は完全情報ゲーム。正確には、二人零和有限完全情報ゲーム。偶然の要素が全くなく、全ての情報が等しくプレイヤーに開示されている。
    ・手を読むことと局面を評価することは異なる。
    ①手を読むこと。
     ・ミニマックス戦略(自分は自分の点数を最大にし、相手は逆に最小にする戦略)、アルファベータ戦略(考える必要のない選択肢は枝狩りする)
     ・人間であれば誘導したい局面があって、そこに向かうように手を指す(そうなのか!)が、コンピュータはとりあえず読んでみて最もよさそうなものを選択する。
     ・コンピュータの手にはコンテクスト(文脈)がない。左を攻めたと思ったら右に手を出したり。。
    ②局面評価する。
     ・例えば、銀の位置をポイント化する。駒得、手得のポイント化。ボナンザは約1万あるパラメータを自分自身でチューニングすることができる。
     ・序盤、中盤1、中盤2、終盤と4つの局面を持っている。序盤~中盤1は定石を、終盤は詰将棋モードになる。コンピュータは手を機械的に読むのは得意なため終盤戦は非常に強い。(1000手を超える詰将棋もあっさり解いてしまう)

  • コンピューターというと無機的なイメージがあったが、血の通ってる技術者の魂の結晶なんだとわかった。ただ合議制ってズルくないか?人間でも複数人VS1人だったら1人のほうが圧倒的に不利なんじゃないの?

  • NIIの「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトのキックオフイベントで松原仁先生の講演がおもしろかったので、たまたま見つけて読んでみる。

    …帰りの電車で読み始めて、いっきに読んじゃった。将棋は動かし方を知ってるくらいだけど、十分に面白かった。

  • 思考ルーチン、プログラム部分はわずかだったが、概略説明と女流王将に勝利したときのドキュメントは読み物として面白い。

  • 今後も技術的な側面が面白そうなので定期的に注目していきたいと思いました。

    ブログはこちら。
    http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/4114419.html

  • ソフトと人間のバトルだが、チェスのIBMディープブルーVsカスパロフ戦のような企業による不透明感はない。
    日本人同士、フェアプレーは当然で、お互いを尊敬し高め合おうという意図が伝わってくる。
    おそらく技術者にとっては邪道であろう「作者の違うプログラムの合議制」を採用し、遮二無二勝ちに行くコンピュータ側と、それを堂々と受けて立つ女流王将。コンピュータの異色の打ち筋を「読んだ」彼女の「どれだけソフトのことを勉強したと思うのですか。(記憶なので不正確)」という言葉が印象的。
    難をいえば、技術者たちが個々の人間として書き分けられていないことで、その点「科学史ドラマ」とはならず、解説書の域を出ない。

  • 将棋ソフトとはどういうものなのかを簡単に説明した本。棋譜を載せてこの場面でこういう思考をしていたという紹介は良かったが、中途半端感は否めない。プログラム・将棋どちらかを知っている人には全く物足りないが、どちらも知らないが興味はあるという人には面白い本かもしれない。

  •  去年実現した清水女流王将と「あから2010」の対局を中心に,コンピュータの棋力向上の歴史を概観。女流王将は敗れたが,これは一番勝負。でも,いずれは名人がコンピュータに歯が立たなくなる日も来るはずだ。
     将棋とか囲碁,チェス,オセロなんかはゲーム理論でいう「二人零和有限確定完全情報ゲーム」。この種のゲームは先手か後手に必勝法があるか,そうでなければ引分になる。コンピュータが無限に計算できれば人間は絶対にかなわない。
     しかし無限に速く計算することは不可能である。比較的分岐の数の少ないオセロでさえ完全解明はされていない。将棋は80手程度で勝負がつくが,数手先まで読むのも場合の数が多くなりすぎて,全幅探索は現実的な時間でできない。
     どうやって計算量を減らしつつ良い手を選択するかが重要。あと,確立した定跡は覚えさせる。この点完璧に記憶できない人間はやや不利。また終盤も,可能な手が減ってくるので,コンピュータが有利になる。それでもまだプロ棋士の方が強い。人間てすごい。計算は,手を読むことと,読んだ後の評価(点数づけ)を別に考えて,読んだ手のうちから,評価の高い手を選択する。対戦相手がどの手を指すかは分からないので,相手も最善手(こちらに最も不利になる手)を指すと仮定してやる。これをミニマックス法という。
     手を読むだけではなくて,読んだ手に基づく盤面の評価もしなければならないが,これも難しい,持っている駒の種類,駒の配置,などに応じて点数をつけるが,点のつけかたに正解はなく職人技の領域。ミニマックス法で計算する場面の数を減らすためにアルファベータ法というアルゴリズムを使う。
     本題からずれるが,詰将棋には1525手詰の大長編があることをこの本で知った。王手と受けを実に762往復やりとりして,次の王手で詰む。もちろん詰将棋なので,双方最善手の応酬,解は一意的。もはや芸術作品だ。

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著者プロフィール

■岡嶋 裕史(おかじま ゆうし)中央大学大学院総合政策研究科博士後期課程修了。博士(総合政策)。富士総合研究所,関東学院大学准教授,同大学情報科学センター所長を経て,中央大学総合政策学部准教授・国際情報学部開設準備室副室長,中央大学国際情報学部教授・学部長補佐。著書:「ネットワークスペシャリスト合格教本」「情報セキュリティマネジメント合格教本」(技術評論社),「セキュリティはなぜ破られるのか」(講談社)ほか多数。

「2020年 『令和03年【春期】【秋期】 応用情報技術者 合格教本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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