日本企業にいま大切なこと (PHP新書 752)

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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569797137

作品紹介・あらすじ

情緒的、非効率、ガラパゴス…「だから世界では戦えない」と指弾された日本企業は、CSRにコンプライアンスと論理的・科学的経営を妄信してきた。ところがアップルやグーグルをはじめ世界に冠たるグローバル企業は、もはや「アメリカ型」に懐疑的。むしろ「共同体の善」「現場の暗黙知」といった日本の「当たり前」が注目されているのだ。日本人自身が忘れた「日本の強み」を自覚せよ。「知識創造理論」を広めた世界的経営学者と「見える化」を唱えた現場主義の経営戦略家が、海外に売り込める日本の価値観を語り合う。

感想・レビュー・書評

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  • 現場の技術や知識の蓄積を外からのブラックボックスとして持っておかなければ、ノウハウはどんどん模倣され、流出する。
    効率第一主義の偏重は、未来につながる活力が生まれる「あそび」や「むだ」も削ってしまった。
    現状を変えるためには、現場や職場という「場」の結びつきを強め、そこに立脚したマネジメントを行う必要がある。
    そのことは、組織力や機動性、イノベーションなどを育むことにつながる。
    過去の日本企業も、現代のイノベーターであるアップルも、現場の日常を非日常ぐらいに極めることでイノベーションを行ってきたという。
    確かに、現代は日本企業に関わらず、理論および効率性に流され過ぎているのかもしれない。
    グローバル化して目先や環境が変わった分、浮足立ってしまったかもしれないが、足元を見直し、組織の在り方を考え直す時に至ったのだと感じた。

  • 一橋MBAの野中郁次郎教授と、早稲田MBAの遠藤功教授の共著。対談をまとめた本だ。震災後に追記されている部分もあり、震災時のリーダーシップ(中央)のあり方や、現場の復興状況などについて記されている。とくに中央のあり方に関しては厳しく批判的に書いてあり、「たしかにそうだよなぁ」なんて共感することしばしば。
    また、現場での復興活動についても、遠藤教授の「現場力」の視点で語られており、企業活動においても現場の力がとても大切であることを再認識できた一冊だ。
    日本企業の底力、日本文化の尊さが論理的に展開されているので、またに“復興応援本”ともいえ、ビジネスマンとして常に心がけていたいことが多い。
    かなり日本贔屓な論調だが、自国をここまで褒めてあるとかえって気持ちがいいものである。

  • 日本の産業界における「知識経営」の生みの親と呼ばれる一橋大学名誉教授の野中氏と、同じく経営学者で欧州最大の経営戦略コンサルティング会社であるローランド・ベルガー日本法人の会長を務める遠藤氏という豪華キャストのお二人による共著。日本がバブル後の「失われた20年」で低迷する一方で台頭したのは「人よりもカネ、情緒より合理性」を優先するアメリカ型の新自由主義経済であり、アマゾン・グーグル・アップルなどのグローバル企業が世界を牛耳るまでになった。 だが今の日本企業に必要なのは、そのようなアメリカ方式に追随する事ではなく、逆に明治の昔からこの国に根ざした「情緒的な現実思考」を復活させる事にあると主張する。2011年の大震災に際して民主党政権がお粗末な対応を続ける中で、「共同体の善」を優先した誇り高き国民の「現場力」が素早く反応し、日本の国力が遺憾なく発揮されたと考察する。野中センセイが高名な学者らしく、コモングッド(普遍的な善)とかフロネシス(実践的な知)という取っ付きにくいカタカナ語を連発するのを受けて、遠藤氏がそれをフォローしつつ分かりやすく、しかも日本人の琴線に訴えるように解説してくれるという絶妙のコンビネーションが読み手に感動を与える傑作。

  • タイトルを見てジャケ買い。
    知識者の見解は、結局みんな同じところにつながっていくんだなぁと思った。
    日本という国に必要なのは、中央からの上っ面の対策・発言ではなくて、現場で尽力する企業の力。
    現場力の強い企業はずっと生き残っていける。
    現場を大切にしない企業は、今はよくてもそのあと残っていられるかはわからない。
    震災では、中央の弱さと現場の強さが浮き彫りになった。

    「たしかになぁ」と思うところが多く、読んでよかった。
    けど、再読はしないだろうな。
    今読むから、「たしかになぁ」と思うのだろうと思う。

  • アメリカ流の経営手法、オーバーコンプライアンス、短期成果主義、競争戦略などが日本を毒した。日本の強み、たとえばアジャイルスクラムのような身体性の伴ったチームワークを再度取りいれよ、と説く。


    <目次>
    序章 日本の経営者は「実践知のリーダー」である
    第一部 成功している世界企業は「アメリカ型」ではない
    第1章 リーマン・ショックと大震災で何が変わったか
    第2章 横文字思考の“毒”
    第3章 傷ついた日本の「暗黙知」と「現場力」

    第二部 海外に売り込める日本の「強み」
    第4章 ムダが多いはずの「総合力」」が生きる時代
    第5章 世界に注目される共同体経営
    第6章 優秀な個を結集する「チーム力」

    第三部 スティーブ・ジョブズに学ぶ「日本型」リーダーシップ
    第7章 意思決定のスピードをいかに上げるか
    第8章 優秀なミドルをどう育てるか
    第9章 賢慮型リーダーの条件
    終章 リーダーはつねに現場とともにあれ

  • 言わずと知れた著名人

    日本人が当たり前と思っていることが、世界トップランクの競争力をもつ。そこに気づけるかなんだろう

  • 2人の著名な経営学者が思いの丈を語る、200ページの新書にはあまりにも濃すぎる内容だと感じました。現場を元気よく率いていくリーダーと、力を合わせて業務に取り組む従業員たち、という全員野球的な企業共同体のイメージ。

  • 何かある種の感動を覚えたのは、自分だけかなぁ。
    何をすべきなのか、考えさせられた。

  • 現場力ってのは確かに誇れるぶんかなのかもしれない

  • こういう本って何かふーんって感じだし、読み終わったあとに有益だったと思わない。
    日本の会社は効率を重視するアメリカの企業に影響されて、本来の日本のよさ、現場による力や共同体の善を重んじる考え方や価値観が薄れているという懸念はまぁわからなくもない。てかおれなんでこの本買ったんだろう(笑)それが一番の謎。

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著者プロフィール

野中郁次郎
一九三五(昭和一〇)年、東京に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業。富士電機製造株式会社勤務ののち、カリフォルニア大学経営大学院(バークレー校)にてPh.D.取得。南山大学経営学部教授、防衛大学校社会科学教室教授、北陸先端科学技術大学院大学教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授などを歴任。一橋大学名誉教授。著書に『組織と市場』、『失敗の本質』(共著)『知識創造の経営』『アメリカ海兵隊』『戦略論の名著』(編著)などがある。

「2023年 『知的機動力の本質』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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