官僚の責任 (PHP新書 745)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569798059

作品紹介・あらすじ

「霞が関は人材の墓場」-著者はそう切り捨てる。最高学府の卒業生、志を抱いて入省したはずの優秀な人間たちが集う日本最高の頭脳集団。しかし彼らの行動規範は、「国のため」ではなく「省のため」。利権拡大と身分保障にうつつを抜かし、天下りもサボタージュも恥と思わない…。いったいなぜ官僚たちは堕落の道をたどるのか?逼迫する日本の財政状況。政策提言能力を失った彼らを放置すると、この国は終わる。政官界から恐れられ、ついに辞職を迫られた経産省の改革派官僚が、閉ざされた伏魔殿の生態を暴く。

感想・レビュー・書評

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  • 311の後、2011年7月に出された1冊。

    元経産省のキャリア官僚としての視点から、
    日本官僚システムの“病巣”について、言及されています。

    といっても、小難しい感じではなく、
    わかりやすくまとまっていて、興味深く読めました。

    海堂尊さんの『無頼派宣言。』ともリンクし、
    官僚の不作為による、闇の部分がつらつらと。

    もちろん、メリットについてもまとめられていて、
    ただ感情的に叩いている、というわけでもありません。

     “「国のことを最優先に考える」ように、
      若いうちから教育できるシステムをつくる”

    官僚は基礎能力も高く、当初は志高い人が多い、
    そんな方々が入省後にはじき出されていくのが問題、とも。

    農協や日教組に代表される様々な既得権益者への言及、
    この辺り、佐藤優さんによる外務省批判とも通じています。

    ん、“霞が関は人材の墓場”とは、よくいったものだなぁ、と。

  • 読み始めた時は、残念な人の、残念な人による、残念な人のための愚痴という感じがして、読み進められるか疑問だったが、何とか読みきった。最後まで読んで、筆者の心意気、それはそれなりに評価もしたいが、権力闘争に敗れてしまってはそれまでか?こういう人物が審議官までにはなったということを、寧ろ評価すべきなのかもしれない。

  • 公務員改革を標榜し、「霞が関は人材の墓場」と言ってはばからない著者。一時ずいぶん話題になったと思うが、下村健一氏の次は、官僚側からの視点ってことで本書を手に取る。
    民主党は「官僚を排除すること」が政治主導だとはき違えた。政治家は方針を示し、決断をし、責任を取る。一方、官僚は手足となってそれを支え、実行する。本来、政治家と官僚はライバルではないはずだ。
    つぶれそうな企業を補助金で助けることは、結局業界全体のためにならない。つぶれそうな企業は従業員の賃金をカットするばかりか、利益ゼロのダンピングで食いつなごうとする。だが、もしそういう会社がつぶれたら、そのときは相当数の従業員をこちらで雇えるし、全体としての生産性も高くなる。日本が新陳代謝による生産性向上が非常に低いのも、このような間違った中小企業支援に起因する。
    あと、産総研(電総研)のプール金問題を暴いたのがこの人だったとか。

  • 「省益を優先する」そのとおり。会社でも見る。
    対策案が数多く出ていてすごいなと思うが、そんなのできる?とも思った。

  • 日本の最高行政府であるはずの優秀な官僚が、どうして堕落してしまうかについて書いた一冊。

    元官僚だけあって、その内容は説得力があった。
    具体的な施策も色々と書いてあったが、どれも自助努力を必要とするもので、言うは易し行うは難しと感じた。

    結局、黒船や敗戦のような国難級の外圧によってのみしかかわることができないのか……。

  • 著者の経験談が中心となっている。
    TV○ックルで著者が語っているような内容が、文字化されている…と感じてしまった。
    それほど、既視感があった。

    しかし、著者の持論は間違っているとは思わない。
    現在の日本が抱える問題を解決するために真摯に取り組む姿勢が文章から読み取ることができた。

  • 常々思うが、官僚という世界は入った人が元々腐っているのではなく、組織・体制が人を腐らせる。

  • ★★★★霞が関村の住人である官僚。もともと優秀であった若手がなぜ堕落していくのか?本来国民の為に働くハズなのに、何が彼らを省益・私益に走らせるのか?執筆時、退職勧告を受ける前は現役の公務員だった古賀氏の話には説得力がある。

  • 元経産省官僚、古賀茂明氏の著書。
    公務員とは、官僚とはかくあるべきか、問題点への切り込み方など、いかにも「切れ者」といった印象です。
    解決案も示されていて、小生も賛同できるのですが、伏魔殿と言われる霞が関ではそう簡単にはいかないでしょうね。
    それでも、一般人からは見えにくい官僚や官僚組織の問題点について、現役官僚(当時)がバッサリと斬って白日の下に晒し、官僚の在り方について問題提起を行った点にこそ、この本の価値があるのではないかと思います。

  • 本来の目的が官僚のルールによって見失われている。官僚に限らず、日本の会社でもいたるところで起こっていることかも。官僚だけが悪いわけじゃない。

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著者プロフィール

1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部を卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。産業再生機構執行役員、経済産業政策課長、中小企業庁経営支援部長などを歴任。2008年、国家公務員制度改革推進本部事務局審議官に就任し、急進的な改革を次々と提議。09年末に経済産業省大臣官房付とされるも、11年4月には日本ではじめて東京電力の破綻処理策を提起した。その後、退職勧奨を受け同年9月に辞職。著書・メルマガを通じ活発に提言を続けている。『官邸の暴走』(KADOKAWA)、『日本を壊した霞が関の弱い人たち』(集英社)など著書の累計発行部数は100万部を超える。自身が企画・プロデュースし、本書が原案となったドキュメンタリー映画『妖怪の孫』が2023年3月に公開され、大きな話題を呼んだ。





「2023年 『分断と凋落の日本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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