マネジメントの日米逆転が始まる

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569800004

作品紹介・あらすじ

2013年、日本企業は生き残りアメリカの大企業は倒れる!アメリカ流の経営は「奴隷の管理」にすぎない!日本的経営のほんとうの強さが明らかに。「無為の為、無策の策、無能の能」で勝つ日本。

感想・レビュー・書評

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  • 筆者の結論は、日本のトップエリート、トップマネージメントはいい加減だけど、大衆は自分の持ち場で誠実に自分の仕事をやり遂げてゐるので、大丈夫だとの事。
    この本は、お金と時間の無駄である。
    駄文の連続。文学作品を期待してゐるわけではないが、筆者の頭の中にある、修飾やら比喩らを羅列して、目針のない愚論の連続である。筆者増田悦佐の本は金輪際読まない事にする。

  • 他の人にも読んでもらいたいというか、感想をぜひ聞きたい。
    頑張って読んでみたが、こんなひどい本ははじめてだ。


    ・中身がない(僕には理解できない)
    ・いちいち表現が大袈裟だし、ゴシップ紙のような表現、北朝鮮のニュース番組のような表現がイライラする。
    ・章題に対する中身がない。結論がない。根拠が腑に落ちない。それを隠すかのような大袈裟な表現が邪魔でしようがない。週刊誌の大袈裟なエロタイトルと同じだ。


    中身がないといっときながらだけど、概要としては、称賛されていたアメリカ式経営は、経営層や金融機関の利益を優先したもので、それによりアメリカの格差社会は広がってきた。
    一方で日本式の経営はうまくまわっている的な内容。


    本の出版は今年10月。
    無理やり出した感じだ。

    他の著書を読んだことがないので失礼かもしれないが、現時点ではダメな本としか思えない。

    以上

  • 2012/01/24:読了
    非常に良い本だった。
    特に、主要国の労働生産性に関する統計の注意点が
    大変参考になった。
    業種ごとで、見ないと本当の姿は見えてこない。
     1)日米で小売業の労働生産性が2倍違うのは、
       従業員を安くこき使い、仕入れの安いものを
       そこそこの値段で売るから
     2)大企業の労働生産性を高くするには、
       従業員の首を切りで達成できる

  • 増田 悦佐 (著)
    「西欧文明の血を引くアメリカのビジネスの開拓者たちにとって、工場というのはほんの一握りのエリートだけが考え、大衆はエリートの命令どおりに作業をするだけの場所だった。今、アメリカの大手企業経営陣を形成している一流企業のMBAを優秀な成績で卒業した連中は、少しは違った世界観、人間観、仕事観を持つようになっているのだろうか。もちろん、表面的にはテイラーやフォードのような正直な本音はおくびにも出さないだろう。だが、本質においては、まったく変わっていないと考えるべきだ」。著者がこう記すように、アメリカやヨーロッパでは2011年の現在でも「奴隷の経営」がまかり通っている。こんな「古い経営」より、日本人のマネジメントははるか先を進んでいる。ある経済界の長老が言った。「社長としての条件は、一に健康、二に常識、ただそれだけで、それ以上のものであってはならない」。それ以上だと、何が起こるか。答えは本書にある。

  • 私は米国系の特殊化学メーカの日本法人に勤務しているのですが、その業界は今では4つの会社に集約されています。ただし、私が属している分野では、数年ほど前に1社がビジネス撤退を決めましたし、もう一社もそれほど競争力がないので、事実上は2つの会社で寡占された状態です。

    このため高収益を続けられているのかもしれませんが、このようなポイントをこの本の著者である増田氏は述べています。

    破綻してしまったエンロンもGMもその少し前(3年程度)までは、少なくとも表に出てくる情報で判断する限りは、優良企業であったし収益も良かったと記憶しています。

    彼は最終的には日本企業が生き残り、アメリカ企業は倒れると解説していますが、私も一社会人として対岸の火事ではすまされない可能性もあると思いながら読みました。

    以下は気になったポイントです。

    ・1979年までのアメリカは、所得階層の低いほど所得伸び率の高い社会であったが、1980年以降に変質し、最上位20%までが賃金上昇を実感できるようになった(p19)

    ・アメリカの巨大企業には、本当に業態転換に成功した企業は少ない、つねに新製品の総売上に対する比率を3割にするという社是を貫いている3Mは別格、あとはGE程度か(p26)

    ・日本の大企業に業態転換での成功例が多いという事実は、経営者と一般勤労者との報酬格差の少なさが貢献しているはず(p26)

    ・アメリカの産業界が勤労者のクビを切って労働生産性を上げるという手を、1980年代末を境に、中堅企業までもするようになった(p29)

    ・アメリカの失業率は2009年には10%を超えたが、2010年には9.4%と下がった、職探しに絶望して就職活動をやめた失業者が労働力人口から外れた「無業者」となり失業率のカウントから外れたため(p34)

    ・アメリカの復権が「見かけ倒し」なのは、就業人口の6%程度を占めるに過ぎない金融業が、全企業利益の3分の1を稼ぎ出すようになった1980年代以降に貧富の格差が増大したこと(p41)

    ・アメリカ金融業界が高額報酬を出し続けられるのは、「俺の儲けは俺のもの、俺の損は国民の税金で穴埋め可能」とシステムが確立されているから(p51)

    ・ベンチャーキャピタルの残高が急激に伸びたヨーロッパから画期的な技術や製品が登場したのか、儲けたのはベンチャーキャピタルのマネジメント会社のみ(p54)

    ・リーマンショックでつぶれるはずのAIGが生き延びて、潰れなくてもよさそうなリーマンがつぶれたのは、AIGから多額の配当金をもらわないと(今までの掛け金が水の泡になって)、アメリカ中の投資銀行がつぶれるから(p58)

    ・アイルランドが最も危機が切迫しているのは、銀行負債のみでGDPの4倍もあり、2位のポルトガルの80%とは格段の差だから(p60)

    ・ビジネススクールでは現場の問題を見ずに数字だけを見て経営すべきと教えたので、ビジネススクール出身者を雇用した大企業ほど、業績が不振になるという結果となった(p99)

    ・負債依存率の高い会社は、景気の良い時は収益が早く成長するが、営業利益に対する金利負担比率が高まるほど景気が悪くなると、破たんが早まる(p108)

    ・米国の工作機械の大手であった「バーグマスター」は日本の工作機械メーカの不公正な貿易慣行であるとバッシングをしたが、レーガン大統領裁定で「シロ」と判断された翌1984年に消滅して、アメリカ工作機械業界の没落が決定した(p111)

    ・基幹企業のほとんどが独占となっているアメリカで、重要産業にもかかわらず首位企業の独占状態になっていない産業は、石油と金融であるので、海外からの挑戦にも耐えて更には世界中に進出できている(p125、129)

    ・日本の消費者大衆は、たった1つの産業分野においても、ガリバー型寡占企業が出現して事実上の独占市場を形成することを許さなかった(p144)

    ・日本の造船業界で大型化が必要だった理由は、輸送距離が長い国々との貿易が必要だったから(p155)

    ・2009年4月までは、日本企業が海外で稼いだお金を日本に持ち帰ろうとすると、高率税がかかっていたが、今では海外子会社からの配当は95%非課税になり、3.2兆円の利益のうち、3.1兆円が還流した、その使途としては44%分を国内での開発、設備投資に回される予定(p158)

    ・資産デフレは、「持てる者から持たざる者への富の移転」に貢献する、物を持っている人は、持っているモノの価格が下がるし、持っていない人は、これから買わなければならないものの値段が下がるから(p171)

    ・アメリカの大恐慌は、1929~32年の3年間で生産量を4分の1に絞った、フォードやクライスラーは後でつぶされることを恐れてこの方針に従った、これで経済全体が縮小再生産となった(p174)

    ・高収益を続けている企業には2つのパターンのみ、1)他社には作れないモノ、サービスを考究している、2)独占により高価格を維持(p180)

    ・横綱は二人以上いるのが普通の日本と、チャンピオンは絶対に一人でなければならない欧米との文化圏の違いがある(p183)

    ・マネジメントにとって最も大事な機能は、変化の足を引っ張らないことで、変革の陣頭指揮をとることではない、製品ばかりか経営陣の知的能力も軽量化した、ここに日本企業の強みがある(p189)

    ・1979年に、一人当たりのエネルギー生産量はピークに達して、それ以来変わっていない、つまり全く異なった世の中になった(p190)

    ・円の価値が4.7倍以上になっているにも拘らず、貿易収支の黒字が維持できている理由の一端は、1ドルのGNPを生み出すのに必要なエネルギー投入量が、1969年レベルの15%だから(p194)

    ・今までの日本の輸出は欧米中東を相手とする遠距離貿易であったが、これからアジアが中心となるので輸送距離が短くなり、かなり有利になる(p208)

    ・労働生産性という指標は、粗悪品を、その割には高い値段で売ってぼろ儲けしても高い評価が出てきてしまう概念(p212)

    ・三井物産が戦時中に伸びたのは、貿易相手国の言葉を自分たちが学ばなければならないと考えていたから、欧州はそのような考え方を持たない(p215)

    ・フォードは、工員は工場に来るための両足と、作業をするための両手さえあれば良いのに、なぜ頭なんてあるのかと嘆いた、工場というのは一握りのエリートが考え、大衆はその命令通りに作業するだけの場所であった(p223)

    ・GMの経営陣は、工場長と平工員まで差別なく業務改善できる工場運営でNUMMI工場で成功したことを確認したが、自社工場に水平展開することを拒んだ、平等という概念が受け入れられなかった(p224)

    ・日本の付加価値の高いものを輸出するという戦略は、聡明な経済学者やマネジメントが考えたものではない、無数の生産現場、営業現場から本能的な選択が寄り集まった結果である(p234)

    2011年10月2日作成

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著者プロフィール

1949年東京都生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修了後、ジョンズ・ホプキンス大学大学院で歴史学・経済学の修士号取得、博士課程単位修得退学。ニューヨーク州立大学バッファロー校助教授を経て帰国。HSBC証券、JPモルガン等の外資系証券会社で建設・住宅・不動産担当アナリストなどを務めたのち、著述業に専念。経済アナリスト・文明評論家。主著に『クルマ社会・七つの大罪』、『奇跡の日本史――花づな列島の恵みを言祝ぐ』、(ともにPHP研究所)、『デフレ救国論――本当は恐ろしいアベノミクスの正体』、『戦争とインフレが終わり激変する世界経済と日本』(ともに徳間書店)、『投資はするな! なぜ2027年まで大不況は続くのか』、『日本経済2020 恐怖の三重底から日本は異次元急上昇』、『新型コロナウイルスは世界をどう変えたか』(3冊ともビジネス社)、『米中貿易戦争 アメリカの真の狙いは日本』(コスミック出版)などがある。

「2021年 『日本人が知らないトランプ後の世界を本当に動かす人たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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