はじめてのノモンハン事件 (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569801810

作品紹介・あらすじ

太平洋戦争が勃発する直前の一九三九年に起きた満州国とモンゴルの国境紛争であるノモンハン事件-。戦闘の規模からいえば、事実上の"日ソ戦争"にもかかわらず、一万九千人もの戦死傷者を出した大苦戦の内実は国民に知らされることなく、あくまで"事件"として内密に処理された。なぜ日ソは満蒙の地で激突したか?なぜ関東軍と参謀本部は決裂したか?なぜ現場指揮官に苛酷な責任追及がされたのか?本書は、今なお戦史のベールに包まれた"草原の死闘"の真相に迫る。この戦争を知らずして昭和史は語れない。

感想・レビュー・書評

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  • 978-4-569-80181-0 317p 2012.1.30 1版1刷

  • 失敗の本質で触れられたノモンハン事件を詳しく知るために購入。図の多用などあり非常に読みやすい。日本の実質は果たして当時から変化したのか...?

  •  本書は1939年(昭和14年)に起きた「ノモンハン事件」というソ連との「大戦争」を詳細に紹介した本であるが、当時の日本の国家的誤りの記録として高く評価できる内容であると感じた。
     当時の「満州国」と「ソ連」との人も住んでいないような、あいまいな国境線についての争いが、「日本軍は、戦死・行方不明・戦傷・戦病19668人。ソ連軍は、戦死・行方不明・戦傷・戦病23926人」という「大戦争」になったことについては「現在ではまさに想像を絶するとしかいいようがない」と感じたが、本書の詳細な内容を読んで、当時の日本の「国家的誤り」を痛感する思いがした。
     「朝鮮軍・関東軍・参謀本部それぞれの思惑」が交錯する当時の日本において、軍部が大きな政治的発言力を持ち国家戦略をリードしていた実態を読んで、「なんと愚かなことか」との感想を持った。
     1939年当時、日本軍は中国の本土の約半分を占領しており、この日中戦争のめどがまったくつかない状況の中で、さらにソ連との大戦争を始める余力などあるわけがない。その中で、当時の関東軍は、ソ連との戦争に傾斜していく。全体を指揮する参謀本部が、必死にブレーキをかける中で、アクセルを踏み続ける関東軍の愚かさ。本書を読んで、当時の日本の国家体制の異様さがわかった思いがした。
     本書は、政治が機能せず、軍部が権力を持つことの弊害がよくわかる歴史書である。

  •  1939年に起こった,モンゴルと満洲国との国境紛争。戦ったのは実質ソ連と日本で,ソ連の圧倒的な戦力の前に日本が敗退した「事件」。細かい戦況の描写が多くあんまり「はじめての」って感じじゃなかった。
     ノモンハン事件の概要をつかむのにはあまりいい本ではない気がする。 Wikipediaの記事の方が要領良く書けていて,分かりやすいかも。
    http://ja.wikipedia.org/wiki/ノモンハン事件
     ノモンハンはハルハ河畔のだだっ広い草原地帯(緑の沙漠)で,人も住んでいない。満洲側はハルハ河が国境だとし,モンゴル側はハルハ河の東岸地帯も自国領と考えていて衝突に至った。日本の参謀本部は消極的だったが,例によって関東軍が強硬で,結果として甚大な損害を蒙ることに。
     この戦争では戦車がかなり活躍したそうだが,日ソ双方とも相手の戦車を無力化するのにうまいことやっている。ソ連の戦車に火炎瓶を投げつけて燃やす戦法は,結構効果的だったようで,日本の新聞は「空壜報国」なんかを呼びかけてる。逆にソ連はピアノ線を張って日本の戦車の進行を阻んだ。
     最終的にはソ連の八月大攻勢で日本は敗退。奮戦むなしく敗れた現場の指揮官の多くは,自決を強要されて果てた。戦場で自決した指揮官とのバランスなのだろうか,嫌な話だ…。日本の敗因は,自動車輸送能力の欠如が大きいようだ。兵站が強かったソ連は,兵力を集中して攻勢に出ることができた。

  • 他の書籍からの引用や写真も多く、また戦闘経過を示した図もあるので、「はじめて」としてノモンハン事件の全体像をとらえるのにはよかったと思う。

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著者プロフィール

に1942年生まれ。大平洋戦争研究会所属。著書『証言記録 大東亜共栄圏』『硫黄島・玉砕の記録』『図説 日中戦争』『図説 特攻』『図説 沖縄の闘い』など。

「2017年 『図説 日中戦争』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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