- Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569803517
感想・レビュー・書評
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人を信じるべきか、疑うべきか
矛盾だらけの世の中では、臨機応変にバランスを取ることが大切である。
数理物理学を専門とする著者にが、『疑う』を数学的に分析・考察する。
二社間の情報伝達に関する理論を図解した『IMV分析』。『女と虎』が思い浮かびました。あれも複雑な心理戦で中々奥深いものがあります。
この世の中疑わなければ上手く生きていけない、でもそれだと疲れてしまう。そもそも人は心と違うことを口にできる生き物です。とても複雑で難しい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
三葛館新書 141.5||NI
世の中には様々な情報が溢れていますが、みなさんはその情報を鵜呑みにしていませんか?情報の中には、統計や数値であってもカラクリが存在したり、ミスリードさせるようなものも多く存在します。本書では信じること・疑うことを臨機応変に使い分ける方法や、疑う力のつけかたを紹介しています。
第4章には論理力を高める方法も記載されています。社会に出ると様々な情報や出来事に遭遇しますが、本書を使って情報の波に捕らわれず、考えて取捨選択をする力を身につけていきませんか?
(うめ)
和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=67788 -
I(intension)意図、M(message)伝達情報、V(view)見解、から疑うこと、誤解、信じることを整理しているところがなるほど、と思った。
数字のごまかしについては常日頃、言われているところで大きな新鮮味はないけれど、全体が整理されており読んで納得。
最後の締めに、急に信じる話になって、流れが少しスッキリしないけど、全体としては満足。 -
「渋滞学」を生み出した先生の本。序盤は事例が多くてくどいし、専門は数学なので不等式を使った非常にリクツっぽい説明が続くが、そこらへんを我慢して読み進めていくと、1冊の本としてはなかなか良い出来栄えだった。メッセージは「疑う気持ちと信じる気持ちのバランスを取りながら考えましょう。そして、それらが同時の存在する矛盾を丸ごと抱えてしまいましょう」というもの。あと、とりあえず仕入れた情報はすぐに信じるのではなく、「とりあえずバスケットに入れておく」という表現がわかりやすかった。
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主題からは少し外れるがどんな言葉も一度ボックスに入れるというのが印象的だった。
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著者の西成活裕氏は「渋滞学」の提唱者。今回のテーマは「疑うことの効用」です。
本書で、著者が紹介している「疑う」ことを科学する分析スキームは「IMV分析」と呼ばれるものです。「I」は、「伝え手の真意(Intention=意図)」、「M」は、「伝え手から発せられたもの(Message=伝達情報)」、「V」は、「受け手の解釈(View=見解)」のことで、これらの組み合わせごとに議論を進めていきます。
ただ、本論半ば以降の解説は、よくある数字・統計データの見方の注意であったり、ごく初歩的な行動経済学の適用例であったりと、急に目新しさがなくなります。さらに、それぞれの項目の解説が極めて表層的で、その説得力も西成氏の著作にしてはあまりにも貧弱です。少々期待はずれ、ちょっと残念でした。 -
いかに自分が物事の一面だけを信じて判断していたのか、それを思いいたらしてくれる書。
ただし、最後は信じる力も述べており疑問を感じる。 -
著者は、コミュニケーションをIntention,Message,Viewに分解し、その伝達形式を論理立てて分析していく。
そして、日常がいかに虚飾で満たされているかを例示し、論理力にもとづいた「疑う力」によってその虚飾を看破できることを示していく。
日常は矛盾に満ちているが、それを受け入れながらも、自分の頭で考えて判断する者だけが、成功をつかむことができる。
日常にはいろんな虚飾と欺瞞があるのだなあと感心しつつ、見破るのは困難だろうとおもう。
情報に満ちあふれている現代社会では、疑ってばかりいたら疲れてしまうからだ。感覚的には、ほとんどを鵜呑みにすることで私たちは生きている。
肝要なのは、柔軟性を持って、疑いながらも信じること。
思考が凝り固まってきた自分に気づかせてくれた一冊でした。 -
疑うためには、やっぱり日々の勉強による考える力と基礎知識が大事なんですよねー。と毎度痛感。IMV分析による意思の伝達の分析は、わかりやすく、分析手法としては他にも応用できるかもという感じでした。
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西成活裕(にしなり かつひろ)著『疑う力』。
サブタイトルに『ビジネスに活かす「IMV」解析』とされているが、ビジネスに限らず、様々な分野や日常生活に役立つメディアリテラシー本と言ってもいいと思う。
会話のみならず、文字情報や雰囲気など、さまざまな情報に対して、「疑う力」でもって、より正しく接していこうという方法論を紹介。
なぜ、「疑う力」が必要かということには第1章を使って述べておられる。もちろん、「信じる力」も同等に必要ということも述べておられる。
「IMV解析」については第2章で紹介してある。
I:intention(意図)
M:message(情報伝達)
V:view(見解)
のことで、「I」は、伝え手の真意、「M」は伝え手が発したもの、「V」は受け手の解釈。
そして、その関連は
1)I=M=V=I
2)I=M≠V≠I
3)I≠M=V≠I
4)I≠M≠V=I
5)I≠M≠V≠I
となる。
1)I=M=V=I
伝え手の真意が、正しく発せられ、受け手が正しく解釈し、伝えての真意が正しく伝わるもので、完全な理解。
2)I=M≠V≠I
受け手が誤解、あるいは、受け手が伝え手から発せられたものを疑う場合。
この場合、伝え手の真意は受け手に伝わっていない。あるいは、伝え手が信じていることを、受け手は違うように解釈している場合。
3)I≠M=V≠I
伝え手が受け手を騙す場合や、そのように誘導する場合。そして、伝え手によって発せられたものを、受け手が純粋に信じている。この場合も、伝え手の真意は正しく伝わらない(あるいは受け手が、騙されている状態)。
4)I≠M≠V=I
伝え手が正しく情報を発していないか、受け手を騙そうとしている場合。そして、受け手が伝え手の間違い(あるいは策略)に気がついている場合で、受けては伝え手の発せられたことに関わらず、伝え手の真意を気付いている。
5)I≠M≠V≠I
完全な誤解。
こういう具合に、情報の伝達を数式的に構造化している。
たとえば、訪問販売員が奥さんを騙そうとしてモノを販売する時、騙される場合は「3」になるし、騙されない場合は「4」になるという具合だ。
第3章では統計データを正しく理解するため、というか、騙されないための解説がなされている。
そして、第4章では、実際に「疑う力」のための具体的方法論が紹介されている。
第5章では、「疑う力」と「信じる力」のバランスについて解説。
振り返ってみると、信じるために疑う重要性が説かれている。
疑う方が信じることよりもエネルギーがいるとのこと。確かにそうだ・・・。
情報があふれる世の中、僕達がどのように情報に接するかということが非常に重要だと考えさせられる。
メディアリテラシー本は様々あるが、情報の受け渡しの数学的(=シンプルな)構造解析から、かなりわかりやすく解説されている。
一点、残念な箇所がある。
『生物の長い進化の過程で生き残る種とは、強いものでもなく、賢いものでもなく、環境の変化に適応できたものだけなのです』
↑この言葉を、”先日聞いたある銀行幹部の方の素晴らしいスピーチから言葉を引用しましょう”として紹介しておられるけど、これは、ダーウィンの言葉でしょ?
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【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 まず「疑うこと」から始めよう
・「経路案内サービス」を信じた私の大失敗
・「人を見たら泥棒と思え」
ほか
第2章 「IMV」を使って科学する
・「疑う」とは意図的に「M≠V」とすること
・「受け手」と「伝え手」の関係は、全部で五通り
ほか
第3章 数字、統計データには要注意!
・「私は数字に弱いんですが…」
・高すぎる普及率、低すぎる普及率が生まれる理由
ほか
第4章 失敗を成功につなげる
・IMV分析で、自分の失敗パターンを知る
・「疲れているんじゃないか?」
ほか
第5章 矛盾とともに生きるーtrust and doubt
・大胆に行動することが成功につながる
・人間関係はオープンマインドで
ほか
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