- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569804989
作品紹介・あらすじ
「団塊世代」など、おカネに余裕がある高齢者の意見がまかり通る日本。一方、働き盛りの30代は、年金や介護、医療費の負担増を強いられ、上がらない給料をやりくりしながら苦しんでいる。このままでは日本経済の活力が完全に失われる!本書では、高齢化社会のための負担増を真っ向から否定。「おカネがある世代は、自力で生き抜く」ことを前提に、年金、医療問題のシンプルな解決策を提案。働き盛り世代のモチベーションが上がるアイデア満載の経済オピニオン書。
感想・レビュー・書評
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『下山の思想』(五木寛之、幻冬社)がベストセラーになり、日本は下り坂に入り、もはや成長はのぞめない、という論調が強くなってきています。
しかし、こうした風潮に対して、著者ははっきりと、こう言い切ります。
「下山するなら自力で下りろ!若い世代に負担を掛けるな!」
「30代よ、立ち上がれ! 団塊世代よ、品格を見せてみろ!」
「団塊世代」など、おカネに余裕がある高齢者の意見がまかり通る日本。一方、働き盛りの30代は、年金や介護、医療費の負担増を強いられ、上がらない給料をやりくりしながら苦しんでいます。
このままでは日本経済の活力が完全に失われる!
本書では、高齢化社会のための負担増を真っ向から否定。「おカネがある世代は、自力で生き抜く」ことを前提に、年金、医療問題のシンプルな解決策を提案。働き盛り世代のモチベーションが上がるアイデア満載の経済オピニオン書です。
<POINT>
●今日の日本社会に大きな変革を求めるような、深刻な対立軸は世代間対立である。
●たとえば子育て貧困家庭における所得再分配後の所得は再分配前を下回っている。
●上の世代へいくほど、再分配後の所得増加幅が大きくなっている。
●日本の個人金融資産1500兆円の大半を60代以上の人々が持っている。
●日本では、資産も所得もない若い世代から巻き上げて、資産も所得もある上の世代に配っている。
●税と社会保障の問題も、財政悪化の問題も、規制改革を阻んできた既得権構造の問題も、若年層失業と格差の問題も、最後は世代間の収奪構造の問題に行き着く。
●この仕組みの中で、若い世代が収奪側である親の世代に寄生し、草食化して内向きになるのは、きわめて自然な成り行きである。
●民主政治の下では、いまのところ既得権を持っている上の世代が多数派であり、世代間収奪の仕組みを民主的政治プロセスで根本的に転換することは難しい。これは民主政が歴史上、初めて直面すると言ってもいい深刻なジレンマである。
●この問題構造において、世界の最先端を走る日本にこそ、解決モデルを世界に提示する使命があり、それが日本再生に向けて残された最後にして最大のチャンスでもある。
●その主役となるべき世代は、従来の仕組みでは絶対に負け組となる世代の先頭を走っている30代の人々だ。
●30代の親の世代にあたる団塊の世代のスタンスが問われる。民主政治の多数派である上の世代も、世代としての品格を見せなければならない。
●この世代が、子どもたち、未来の日本人(「悠久の日本国民」)に対して責任を果たすべきである。
●この世代が、自分たちの既得権を粛々と放棄する決断をしたとき、日本は先進民主主義国の中で初めて、世代間収奪のジレンマからの脱却に成功する。
冨山氏は本書について、「1960年生まれの狭間の世代の人間として、この二つの世代に対して問題提起をし、挑戦をし、さらには決起を促すことを意図している」「そのために、あえて、かなり過激な解決策やきわどい覇権奪取の方法論を提示している」と述べておられます。ともかくも、30代ビジネスマンの方にぜひ、読んでいただきたい一冊です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
既得権益をいかに潰すか、まさにその通りと思いました。
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富山さんのG/Lの理論が良かったので、買ってみたのだが、私にとっては「財界のよくある提言」に読めて、あまりおもしろくなかった。
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著者の団塊ジュニア世代以下へのメッセージ。
粘り強く、説得し三十代らしい生き方をして、新しい時代を切り拓かねば。 -
30代という世代がいかに重要かというポイント、そして今の30代がこれから直面する経済的な課題について解き明かす。
ご自身のエピソードも交えながら、いつもながら熱く語ってきているが、他書よりは読みやすい印象だったかな。
勇気づけられている世代のうちにtrialしていかないとね。 -
「30代が」と書かれていますが、内容は団塊の世代である60代と、その子供世代である30代ともに努力して欲しいとの内容です。
年金問題等は、団塊の世代である60代が受給を開始し始めると破綻するのは目に見えています。また金融資産をそもそも保有している高齢者が年金を貰い、そのしわ寄せが若者に波及している構造がおかしいのであって、金融資産を一定以上持つ高齢者には年金受給を停止すべきだとの意見もかかれています。年金等は今ある基金をかき集め一度解散させて、今ある金額を全部給付させ出直すべきだと提言しています。
提言自体は理屈にあっていると思いますが、60代や50代の人が既得権を手放すかというとなかなか難しいとは思います。ただ筆者自身がJALの年金問題を解決する際に、反対するOBを「若いものにこれ以上負担を求めていいのですか?」等の情に訴える作戦に出でおり、そうした成功体験が提言の裏にはあると思います。
ただひとつ本書に疑問を感じるとすれば、筆者が50代であることです。60代は既得権を捨てるべきだとの提言を60代の方がすればかなり説得力はありますが、50代の方がすると他人事であるから言えるのではないかとの思いを感じざるえません。最近の筆者の論調は30代頑張れ論ですが、40代・50代が何をすべきかの本も書いていただきたいような気はしました。 -
世代間格差こそあらゆる現代国家特に日本の諸悪の根源だと嘆き、若者に決起を求めてる。解決策は非力だけど、若者の将来特に各種制度へのそこはかとない不安はこれだったのか!と唸らされる。
「下山するなら自力で降りろ!現役世代に負担をかけるな」←ごもっとも!! -
題名に惹かれてかってしまった。一読はしたほうがいいかな~
PHP公式より以下抜粋。
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『下山の思想』(五木寛之、幻冬社)がベストセラーになり、日本は下り坂に入り、もはや成長はのぞめない、という論調が強くなってきています。
しかし、こうした風潮に対して、著者ははっきりと、こう言い切ります。
「下山するなら自力で下りろ!若い世代に負担を掛けるな!」
「30代よ、立ち上がれ! 団塊世代よ、品格を見せてみろ!」
「団塊世代」など、おカネに余裕がある高齢者の意見がまかり通る日本。一方、働き盛りの30代は、年金や介護、医療費の負担増を強いられ、上がらない給料をやりくりしながら苦しんでいます。
冨山氏は本書について、「1960年生まれの狭間の世代の人間として、この二つの世代に対して問題提起をし、挑戦をし、さらには決起を促すことを意図している」「そのために、あえて、かなり過激な解決策やきわどい覇権奪取の方法論を提示している」と述べておられます。ともかくも、30代ビジネスマンの方にぜひ、読んでいただきたい一冊です。 -
金を持つ高齢者が金のない若者から搾取収奪する歪な社会構造が日本を蝕む。マジョリティを前にマイノリティはただ沈黙するだけなのか。これからの日本背負っていくロスジェネ世代へ期待をこめて叱咤激励する。悪い結果を恐れて弥縫策で誤魔化し続けることではなく正々堂々と真正面から勝負に出よと説く。滞っている社会の富を活性化させるための処方箋として、社会保障制度、税制、人材育成、経済成長戦略など、幅広い分野にわたって提言がなされている。実現に向けての課題は多いが問題提起のみにとどまっていないのが潔い。得心させられる点は多く傾聴するに値する。