禅が教える 人生の答え (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569810683

作品紹介・あらすじ

「合掌」には仏教的な意味があります。「合掌」する時の、合わせた手の左手は自分自身、右手は自分以外の相手とされています。自分以外の誰か。それは、仏様であったり、両親、友人であったりします。そんな自分以外の相手と、自分の心をひとつにすること。それが「合掌」の意味するところなのです。手を合わせることで、自然と感謝の気持ちが湧いてきます。怒りの感情やイライラした心もすっと消えていきます。つながる温もりが、生きる力になっていくのです。

感想・レビュー・書評

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  • わかりやすく禅の考えを日常の中に落とし込んでくれる桝野禅師のエッセイ集。
    冒頭にも書かれているが、まず本書には人生の答えは明記していないとはっきり言っている。
    人生にわかりやすい答えはないが、それをわからないなりにも求め続けるのが良く生きるという事につながるのではないかと。

    内容は多岐に渡るが、全ページの半分以上でハッとする言葉に出会った。

    どれも大事であったが、最も心に残ったのは 命は預かりもの であるという事。

    時折読み返したい本である。

  • 枡野さんの禅の教えは、わかりやすいです。同じ事をおっしゃられていると思いますが、読む度にすりこまれます。感謝。

  • 「わが人生の答えはこれだ」と言い切る人・「晩年になっても分からない」と嘆く人・あるいはせっかく見つけた「答えらしきもの」に見事に裏切られる人....。それらの中でどの人の人生が善きものなのかという問いに対する答えは、「どの人の人生も素晴らしきものである」。横浜市・鶴見区にある曹洞宗の禅寺・建功寺の第18世住職でありながら、たまび(多摩美術大)で環境デザインを教え、また庭園デザイナーとしてマルチな才能で国内外から高い評価を得るマルチ住職・枡野氏の教えが、きっと貴方の心を和らげてくれる事でしょう.... ― 合掌 ―

  • 禅の考え方における生きてから死ぬまでの使命を説いてくれています。家族の在り方、生におけるプライドとは何か、ふとしたときに思い出したい言葉が詰まっています。この本を読んで、こう思う自分を子供達に残していきたい。
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    ・誰かと比べることなく、不要な情報にも振り回されないで、しっかりと自分自身の生き方に合うものだけを見ればいい。自分ができること。自分が本当にやるべきこと。その尊さにこそプライドを持つ。
    ・無罪の七施(ななせ、七つの心)
     ①眼施(がんせ。常にやさしい眼差しをもって人に接する
     ②和顔施(わげんせ。にこやかな顔で人と接する)
     ③言辞施(ごんじせ。やさしく温かい言葉を投げかける)
     ④身施(しんせ。できる限りの奉仕を行う)
     ⑤心施(しんせ。他人のために心を配る)
     ⑥床座施(しょうざせ。自分の席や場所を譲ってあげる)
     ⑦房舎施(ぼうしゃせ。自分が住んでいる家・場所を提供する)
    ・同じ価値観を共有する人と一緒にいる。その安心感と安らぎを得るために、人は結婚する。
    ・親は自分が生きてきた道を書き残しておく。子供はそのノートを胸に抱くことで、生きる勇気が湧いてくる。
    ・お墓は亡くなった人と残された人をつないでくれる「場」。「心の居場所」をもつことで、人間は強くなれる
    ・家族とは、その場所に真の安らぎがあること。そして、そこに暮らす家族のみんなが、その場所こそが心のよりどころになっている
    ・少しでもロウソクの明かりで周りを照らす。その使命を果たすことが、生きるということ
    ・お遍路さんが持っている笠には、「同行二人」の文字。ひとりは自分、そしてもうひとりは自分の心の中にいる弘法大師や観音様

  • ・自分が幸せになりたければ、家族はもちろん、地球のどこかで暮らす人も幸せな方がいいわけです。できることから一つひとつ、世界の幸せに向かって、手を合わせましょう。

     生きる上では、基本の繰り返しが何よりも大切だということなのです。そして基本的なことを長年にわたって繰り返すことで、知らぬ間にプロフェッショナルになっている……。~

     現代社会では、徹底的に効率を追求することが良いことだと言われます。モノや作りはもちろん芸術すら、長年の修行で技を習得して、同じものを作り続けたり、演技をしたりする人が少なくなる傾向があるような気がします。

     しかし、効率を追求した結果、生まれたモノやサービスは、私たちの生活を便利にすることは出来るでしょうけれども、心を満たすことは出来るのでしょうか?

     現代社会のモノ作りやサービスは、熟練の技術や経験に裏付けられた心配りが要らないように、コンピューターで制御された機械による加工や、マニュアルによるサービスが当たり前になっています。

     だからかもしれませんが、モノを買う側やサービスを受ける側に、感謝の気持ちが薄れているような気がするのです。

     もう一つ、心に留めておきたい言葉がありました。「片付けは、次に仕事をする時のための準備…」。そうか、だから仕事が、滑らかに始められないんだ…(^^ゞ

     聞くところによると、禅の修行は、とても厳しいみたいですけど、修行をしないで、頭で、人生の答えを理解し、実践することは、出来るのでしょうか(・・?

  • 1日を大切にする。
    わかってはいても、できない日もあるなぁ…
    今の私にとって、過去を振り返らず、未来のことも考えないことは心がけたいことでした。


    法事やご先祖様を大切にすることは、意外とできていると思うけれど、私自身が未婚なので、ご先祖様には申し訳ない(笑)

  • お坊さんのご高説ということで、特に印象に残るようなエピソードはありませんでした。
    無為に一日を過ごすのではなく、充実感をもって過ごさなくてはならない、人の一生は短いのだから、一生懸命生きなければならない、明日死んでしまうかもしれないのだから、今日できることを先伸ばししてはならない、というような事を言っていますが、これと反対の事を言っているのが池田清彦で、『ナマケモノには意義がある』という本と読み比べると面白いです。
    要約すると、生きている意味なんてない、お腹が空いたらご飯食べて、眠くなったら寝て、遊びたかったら遊ぶ。人間(特に現代人)は忙しすぎるから、もっとゆっくりしようよ、という感じですが、果たしてどちらが良いのでしょうかね~。
    先祖が居なかったら私は生まれなかった。だから先祖を敬い、感謝しなくてはならない、というのはそうなのでしょうが、一方で生んでくれと言ったわけではないし、生きることで辛い思いをしたりするのは苦しいわけだし、命のバトンを絶やしてはならないとは思うけれど、人間の行いで絶滅した生物はどうなんだと言えば人間の業は深いわけだし、『考えることができるのは人間の特権だ』、だけど動物にだって心はあるかもしれなくて、ただ意思の疎通ができないだけであるかもだし、宗教的・哲学的には生きる意味はあるかもだけど、それはただのこじつけかもしれない……。
    どちらが正しくてどちらかが間違っている、正誤の問題はさておき、考え方としては、池田清彦さんの方が好きですね。肩の荷が降りるという感じ、肩肘張らなくて済む感じ。脱力というか、余裕というか……。
    僕の評価はAにします。

  • 「嫌われる勇気」は仏教の考え方にも通じるところがあると思い、本書を読んでみました。
    アドラーの後に読んだせいか、教えにパンチがかけてしまいます(笑)

    また、本書の表題になっている「禅が教える人生の答え」とは、その考え方は禅の世界には「ない」とのこと!
    え?、詐欺ジャン(笑)
    筆者は禅の考え方を通して、読者がそれぞれの答えを見つけてくださいと伝えています。

    なので、本書では、たくさんの禅の考え方、教えが述べられています。その中で、ここで記しておきたいことは、「布施行」

    自分を育んでくれた社会にたいして恩返しをすること。それも「財施」(金品)ではなく、心で施しをする「無財の七施」
    これは、覚えておいて損はない。
    (1)眼施(げんせ)
    常にやさしいまなざしをもって人に接すること
    (2)和顔施(わげんせ)
    いつもにこやかな顔で人と接すること
    (3)言辞施(ごんじせ)
    やさしく、暖かい言葉を投げかけること
    (4)身施(しんせ)
    自分の身体でできることをできるだけ奉仕すること
    (5)心施(しんせ)
    心を施すこと、他人のために心を配ること
    (6)床座施(しょうざせ)
    自分の席や場所を譲ってあげること
    (7)房舎施(ぼうしゃせ)
    自分の住んでいる家や場所を誰かに提供すること

    これらを「誰かのためにやってあげる」のではなく、自分がこの世で役に立っていることを実感するために「させていただく」のが布施

    これは、アドラー心理学にも通じるところがあると感じました。アドラー心理学の中では
    --
    他社に対して働きかけ、他者から評価をもらうのではなく、自らの主観によって「他者に貢献できている」と感じられることが自分の価値を実感すること
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    とのこと。布施行がアドラー心理学の行動のひとつになりえると感じます。

    とりあえず、アドラーはおいておいて、「無財の七施」のうち、(1)から(6)までは日ごろ実践できそうです。
    できる範囲で、「させていただきたい」と思います(笑)

  • 仕事をしている時には、一生懸命に仕事によって自分を高めようとすること。
    何事も斜に構えてはいけない。斜の中からは未知が生まれることはない。
    今あるもので十分だ、そう思うことで自然と心が安らかになるもの。
    自然体でシンプルに考えること。

  • 常識にとらわれてはいけないといいつつも、著者もそれなりの常識にとらわれているのじゃないのっていう感じが面白かった。それをおいても、実践で役立つことはたくさんあった。たとえば、形をつくることで心の形をつくるということ(特定の目的に応じた装いをすることで、心も落ち着く)などは、誰でも簡単に取り組めるのではなかろうか。

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著者プロフィール

枡野俊明(ますの・しゅんみょう)
1953年神奈川県生まれ。曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー、多摩美術大学名誉教授。大学卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行い、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。2006年『ニューズウィーク』日本版「世界が尊敬する日本人100人」に選出される。近年は講演活動や執筆も積極的に行い、ベストセラー・ロングセラー多数。

「2023年 『仏にゃんのふわもこやさしい仏教の教え』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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