奇跡の軽自動車-ホンダはなぜナンバーワンになれたのか (PHPビジネス新書)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569812441

作品紹介・あらすじ

奇跡の「軽」が誕生! 身を切るような意識改革、寸暇を惜しんだ挑戦……格好よすぎるチームNボックスの闘いに、ものづくりの活路あり。

感想・レビュー・書評

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  • これは面白い!ホンダのN−Boxがどのようにして生まれたかなんて切り口が地味なような気もするが、そこに至るドラマに関わる人間の個性が色彩を与え、技術者の情熱が熱を加える。マーケティングとは何か、という事を仕事に役立てたい人にも良いのではないか。これは、車業界に限らずという意味においてである。

  • 「大企業になってしまった」「リーマンショックがあったから、手遅れにならずに済んだ」って言葉が印象的。
    高度経済成長期の頃のベンチャーっぽさから比べると、今の組織体制には色々と不があるんだろうな。
    大企業が大企業の壁を突破する上で、組織の何が「伝統」なのかという視点は大事だと思った。本田宗一郎が白い作業着を着せたかったのは、何でなんだっけ?とかとか。

  • 平成27年3月26日読了。リーマンショック後に傾きかけた事業戦略を、軽自動車の復権をキーとして反転攻勢したホンダの火事場の馬鹿力に改めて敬意を表する次第だ。変化を恐れない企業風土は、偏にパイオニアである本田宗一郎のイズムを従業員一人一人が継承しているうえに成り立っているのだと思う。ものづくりとはかけ離れた職種を生業にしているが、こんな会社で働きたいと思わされた次第である。

  • 開発責任者は現場・現物・現実の「三現主義」に基づき、市場の声を聞き、数多の軽自動車を乗り比べた結果、自動車市場の環境は女性軸中心に変化していることを突き止めた。

    N360がFF駆動を採用したのは広い室内空間のため。車内空間を広くとる思想は「人のスペースは最大に、メカニズムは最小に(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)」という「M・M思想」へと継承された。
    「センタータンクレイアウト」。通常は後席下部に設置されるガソリンタンクを前席下部に置き、後席・荷室を広くとり、車に自転車を乗せたいという母親視点を取り入れた。また、エンジン自体が衝撃を吸収するよう設計することで、エンジンルームを短くし、室内空間の拡張へと繋げた。

    各章末ごとに、その章に書かれていたビジネスポイントがまとめられているのがわかりやすい。

    N BOXのメカニズムを解説する本かと思いきや、ホンダ式経営術についての本だったが面白かった。Nシリーズはよく道で見かけるなーとは思っていたが、その裏には設計、製造、販売まで努力と工夫がつぎ込まれていたんだなぁ。

    自動車市場が新興国へシフトしていくなかで、これからの日本の軽自動車が、"ガラ軽"から世界に通用する車になれるのか、注目していきたい。

  • 題名に惹かれアマゾンレコメンドで。

    ホンダ「N BOX」が軽自動車市場でNo.1になった理由・経緯などが書かれていた。

    同時に読んでいた『脱「コモディティ化」の競争戦略 』との読み合わせが良かった。頭が整理されながら読めた。

    『脱「コモディティ化」の競争戦略 』から引用すると、軽自動車市場はコモディティ化していた。海外ではインドタタ自動車が66万円の小型自動車を販売(安物化の罠)、国内でも各自動車メーカーが軽自動車を販売し、特にダイハツ・スズキが多品種販売(乱立の罠)、内装にもさまざまな機能をつけ差別化をしていこうとしていた(加熱の罠)。

    そんな中でホンダが後発でありながら軽自動車販売No.1になったのは、意図してなのかは別だが、一つずつ”罠”を避けていったにでなるべくしてなったと納得できた。

    自動車業界は疎く業界の構造の詳細はあまり分からないがが、ホンダがとった戦略・事業展開は興味深かった。

  • ■軽自動車マーケティング

    A.ホンダは、軽自動車の復活に向け、消費者の声を徹底的に聞いた。その結果、軽自動車購入の決裁権は女性が握っていることがわかり、女性目線での開発を行う。例えば、「N BOX 」では、次のような工夫を施した。
    ・子どもの自転車などが積めるよう、室内空間を広くした。
    ・女性好みのファッション性にこだわり、車体の色を11 色用意した。
    ・駐車や路肩寄せが苦手な女性が多いので、ミラー類を充実させた。

    B.「軽は利益率が低い」というのが定説だった。だが、N シリーズの利益率は高い。それは、N シリーズが1 つのプラットホーム(車台)で複数の機種をつくっているためである。

  • ホンダの「Nシリーズ」物語。

    今度、ホンダのディーラーに行ってみて、実物を見てこようかな。

  • 関係者とすぐコミュニケーション取れるっていうのは、大事だとしみじみ思う。

    しかし、軽でバンバカ過給技術が開発されてるけど、VWと戦えるレベルなんだろうか?そのへん知りたい。

  • 安定の片山さんによる自動車本。
    サクセスストーリーを気持ちよくぐいぐい読ませる爽快感の高い一冊。

    最終章の(今、日本が開拓せねばならないにもかかわらず出遅れ、苦戦している)新興国市場のニーズにマッチした車の開発に軽自動車のスペックや設計思想が援用できる、との考えに強く共感した。

    インフラセクターが「日本型システムの(現地風カスタマイズをしっかりしたうえでの)対新興国輸出」で着実に成果を上げている中、ともすれば地盤沈下におびえる日本の自動車産業の新たなアプローチ方法として有益なアングルなんじゃないかと思ったわけです。

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著者プロフィール

片山 修(カタヤマ オサム)
ジャーナリスト
愛知県名古屋市生まれ。経済、経営など幅広いテーマを手掛けるジャーナリスト。鋭い着眼点と柔軟な発想力が持ち味。経営戦略、マネジメントにも造詣が深く、長年の取材経験に裏打ちされた企業論、組織論、人事論、時代論には定評がある。2001年から2011年まで学習院女子大学客員教授を務める。
『時代は踊った――オンリー・イエスタディ‘80s』(文藝春秋)、『ソニーの法則』『トヨタの方式』(以上、小学館文庫)、『本田宗一郎と「昭和の男」たち』(文春新書)、『ふるさと革命――“消滅”に挑むリーダーたち』(潮出版社)、『社員を幸せにする会社』『技術屋の王国――ホンダの不思議力』『豊田章男』(以上、東洋経済新報社)など、著書は60冊を超える。

「2021年 『山崎正和の遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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