慧眼(けいがん)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569812977

作品紹介・あらすじ

プロ野球スカウトたちの姿を描いた『スカウト・デイズ』第二弾。入団拒否の選手を強行指名したベテランスカウト。果たして勝算は?

感想・レビュー・書評

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  • プロ野球のスカウトに従事する者たちを描く、
    「スカウト・デイズ」シリーズ第二作。
    前作同様、数々の裏技で
    あっと驚く指名を成功させてきた堂神を中心に、
    選手・各球団スカウトとの緊迫の騙し合い。

    前作ではスカウトになったばかりの久米が、
    語り手となって物語を回した。
    堂神の真意はどこにあるか、
    どこまで信じればいいのかといった立場から、
    謎を探っていく形式。
    今回、久米はすっかり堂神を信じ、
    静かに動ぜず自分の仕事に徹している。
    プロのスカウトとして、
    すっかり一人立ちした姿が頼もしい。

    今作、そういった点で堂神に不信を抱き、
    その謎を解き明かし闇を暴こうととするのは、
    他チームから移ってきたスカウトの飯塚であり、
    新聞記者の島岡だ。
    何とか堂神の鼻をあかしてやろう、
    一矢報いてやろうと真相に迫るのだけれど、
    そこで見えてくる世界はまったく違う。

    勘違いを勘違いのまま放っておける強さ、
    むしろそれを逆利用してイメージ操作する。
    世間の非難の目を軽々と受け止め、
    ほくそ笑んでやり過ごす。
    これほどまで胆力があるビジネスマンは
    なかなかいない。

  • 日本プロ野球に所属する貧乏球団ギャラクシーズ。金と人気じゃGチーム、Tチームにかなわない。が、ギャラクシーズにはベテランの辣腕スカウトマン、堂神恭平がいた。スカウト業界者全てが彼の動きに注目し、彼の一挙手一投足が業界に波風を立てる。そんな堂神を中心にプロ野球ドラフトの悲喜こもごもを描いた連絡短篇集。

    スカウトマン堂神の仕事は選手を見極め、チームに入団させること。そのためには、自分のチームを考えるだけでは終わらない。競合する他チームに指名をあきらめさせたり、本命ではない別選手を指名させたり。スカウトの奥深さと真の狙いを周囲が知ったとき、すでに堂神の仕事は終わっていた。そして、堂神はすでに次なる選手獲得を目指していた。

    プロ野球裏方のプロというキャラクターは魅力的なのだが、なぜ堂神が命を削ってまでもスカウト業に徹するのか、その説明が弱い。

  • プロ野球のスカウトを主人公とした「スカウト・デイズ」の続編。短編集。
    「スカウト・デイズ」ほどインパクトがなく、人情味が強くなってて、物足りなかった。
    (図書館)

  • 6編の短編からなってます。
    シリーズ2作目だと読み終わって知りました。
    それでも違和感なく読めました。

    生けるレジェンドスカウトとも言える堂神を軸に据えながらも、その堂神が表立って出て来るわけでもなく物語は進みます。
    それが物語に深みとは言わないまでも、読者に余白を産み出しています。

    プロ野球の試合の記述は一切出てきません。
    それも世界観を構築するのに良く作用していると思います。

  • ドラフトの指名選手とそのスカウトの目から見た堂神を描いた作品。

    堂神の目線を用いることなく堂神とはどういう人間なのかを描いた結果、それぞれの目線によって捉え方が異なり堂神が鵺のような存在に感じられ読み応えが会った。

  • 一作目ほどのインパクトはないが、それでも十分面白い。

  • プロ野球のスカウトをテーマにした小説。

  • 面白かったです。
    結局、堂神さんって何者?と思いましたが関連作品が有るようなので、読んだら分かるのかな…?

  • 野球にはまった男たちが、誇りと意地、そして 邪知を持ってスカウト業に取り組む姿が見事に描かれています。なんか、昔の男という感じです。

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著者プロフィール

1965年、神奈川県生まれ。明治学院大学卒業。産経新聞社入社後、スポーツ紙記者として活躍。2009年『ノーバディノウズ』が松本清張賞候補となりデビュー。2017年『ミッドナイト・ジャーナル』で吉川英治文学新人賞を受賞。2018年『傍流の記者』で直木三十五賞候補。著書に『四十過ぎたら出世が仕事』(祥伝社刊)『友を待つ』(祥伝社文庫)など多数。

「2023年 『あかり野牧場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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