ネット依存症 (PHP新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569814988

作品紹介・あらすじ

ネットにつながっていないと不安になる……スマホを手放せないあなたも危ない!!▼1990年代半ばから「インターネット依存症」という言葉が聞かれるようになった。ただその頃は、まだほんの一部の特殊な人たちのことで、自分には関係ないと考える人が多かった。▼ところが、いまではもっと身近なものになっている。最初は誰でも「自分は単に人より少しネットにつながっている時間が長いだけ」と思うにすぎず危機感は持たない。それがやがて、生活に支障を来たすことがあるという。▼本書では、ネット依存に苦しむ患者さんやその家族のことについて、専門外来をもつ久里浜医療センター院長がわかりやすく解説。最新情報や家族に伝えたいことをまとめた一冊。

感想・レビュー・書評

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  • ネット依存症に関する読みやすい新書。

    そもそも依存症とはなにか?という点からわかりやすく説明しており、ネット依存症に関する国内外での認知度・進展状況や実際の事例、そして治療に関することまで述べられている。

    特に
    ・韓国はこのネット依存症に関して進んでおり、国を挙げた対策を行っている。
    ・未だ研究が進んでいない症例であり、日本においてネット依存症と断定するための診断基準が明確にされていない。
    ・実際の治療においては、他の依存症(薬物やタバコ、酒)とは異なり、いきなり断絶させてはならない。
    等は非常に興味深い部分であった。

    しかしあくまでも「浅く広く」な本であり、この本を読めばネット依存症を解消できるというわけではない。
    逆に言ってしまえば「ネット依存症はそれほど慎重に治療しなくてはならない重大なものである」といえるのだが…。

    本書において「9割の患者が親や伴侶に連れられて、ふてくされながら病院へやってくる。」というような事が述べられている。
    また、依存症となってしまった子を持つ親が「うちだけなのではないか…」と思い、気後れし、治療へ踏み込めない事も多々あるようだ。
    その点において、ネット依存症の患者以上に、患者を心配する方々へ特におすすめできる本であるといえる。

    身近にネット依存症の疑いがある方がいるのであれば、本書はその方を治療へ導く道標となるだろう。

  • ネット依存症を治療する独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター院長樋口進氏の著作によるもの。
    依存している未成年者は、それを咎められるとキレル、暴力を振るうなどして、対応が非常に難しい。ましてや治療のカウンセリングに受けさせるなんてかなりの労力を使う。韓国では対応の研究や実践が進んでいるという。実際に死亡事件もあるそうだ。
    現実に、学校に行かない、昼夜逆転している、ゲームで知り合った仲間から抜け出せない、現実の状況を見つめることができない、などの問題が出ているのをどう対応するか。
    まずは、ネット依存を直接的に探るのではなく、血液検査や問診などで体調や数値で体の変調が出ていることを明らかにする。そしてその原因を取り除く作業として、ネットの時間をまずは記録して、少しずつ減らす。体力が落ちていることから運動をさせる。家族の会話を増やす、父親も子どもに関わっていく、などいろいろなヒントが提案されている。
    治療する専門家としてもこのような未成年者に応対するのは、疲れるようだ。本人が自ら治したいと来ている訳ではないから。治療法もまだまだ研究段階であるが、ネット依存者予備軍は拡大している。
    (職場の人から借りて読んだ)

  • 若干専門的な話になるけれど、日本の図書館のある意味トップとも言える国立国会図書館はこの本に「493」の分類番号を振っています。「493」は医学の中の内科学を指す分類番号。つまりネット依存症はれっきとした「病気」だと捉えられているのです。そのことにまず驚きました。

    本書を執筆したのは日本初のネット依存治療専門外来を持つ国立病院機構久里浜医療センター院長の樋口さん。横浜にあるこのセンターには今や北は北海道から南は鹿児島まで、全国各地からネット依存に苦しむ家族や患者がやってきます。そんなネット依存治療の第一線で治療にあたる樋口さんが「ネット依存とは何か」からネット依存の心的および身体的悪影響、ネット依存症の治療、家族や身近な人がネット依存になった時の対処方法まで幅広い内容を語られています。大人として、ネットのデメリットもしっかり理解して、対処していかないとダメだなあと感じました。あとネット依存の進行の早さも。一度ハマったらそこから一気で、抜け出すのはなかなか大変だということがよく分かりました。

    本書はネットの先進国であり、日本よりも前から国民のネット依存症に悩む韓国の事例も豊富に紹介。取り組みが遅れている日本のこれからに大いに役立ちそうでした。

  • 私が以前、住んでいた場所の近くにネットカフェがありました。
    外から中を見ることが出来るようになっていて、会社帰りに、店舗前を通ると、
    夜中の11時、12時に関わらず、多くの若い人が夢中になって、キーボードを動かしていました。

    彼らの表情は、なんといいますか、一点を集中して、声を掛けられる雰囲気ではない感じがしました。

    私は、SNS中毒、ネットゲーム中毒ではありませんが、仕事が終わったり、時間が空いたら、
    ネットニュースをよく見ます。気づいたら、何時間も経過していて、
    「何て、無駄な時間を使ったんだろう」と後悔することもしばしばあります。

    ただ、ぼっっと眺めているだけで、「情報収集」と言うよりは、「考えたくないから、ネットニュースを見ている」
    ような感じがして、怖くなりました。

    この著作を手にしたのも、自分の今の状況が、「中毒になっているのか?」
    知りたかったためです。

    私は、ネットゲームをしたことがありません。なぜなら、中毒になりそうだからです。
    やったことがないので、ゲームに関して、ああだ、こうだと言えませんが、
    ネットゲームは、純粋にゲームを楽しむというより、
    自分の承認欲求を満たしてもらいたいがために、「はまっていく」ように思います。

    それもそのはず、オンラインゲームは、あの手、この手を使って、ユーザーを誘惑する。
    その誘惑の方法が、一度、はまったら、抜け出せないようにさせる、
    「心理的依存」をユーザーに働きかけているように思うからです。

    私は31歳の、ややオッサンですが、その危険性はなんとなくわかります。
    ましてや、今の中高生は、ネットネイティブなので、危険性を無視して、遊んでしまうのではないでしょうか?

    恥ずかしいことですが、自分の兄は、モバゲーに三ヶ月で100万ぐらい使っていました。それで、家族がかなり危うい状況になったので、その危険性は、よく知っています。

    この著作で紹介されているみたいに、韓国では、青少年は夜の12時~翌朝6時までオンラインゲームが使用できない仕組みがあるそうです。この政策を支持します。

    SNSやネット、オンラインゲームは、自分を「簡単に慰められるもの」だと思います。
    やっていれば、その時だけは、少しハッピーになります。
    しかし、現実は、変わりません。益々、現実が過酷になるだけではないでしょうか?

    それは、この著作にも書いていますが、カラダの不調として、はっきり現れるみたいです。
    そんな危ないものなら、やらない方が、どれだけ、良いかわかりません。

    もちろん、私は、それらのプラスの面(純粋な娯楽)も知っていますが、
    マイナス面も、国、学校、民間団体が、もっと啓蒙するべきです。
    利便性は高いですが、その代償も、高いということを、誰もが、自覚的になるべきだと思います。

  • ネット依存については、これからかなり対応に苦慮する時代になるかと思う。治療に乗せること自体大変そうではある。

    チェックリストあり、私自身も予備群の可能性あり。
    家族の対応の仕方についてはとても参考になった。

  • カテゴリ:図書館企画展示
    2015年度第1回図書館企画展示
    「大学生に読んでほしい本」 第1弾!

    本学教員から本学学生の皆さんに「ぜひ学生時代に読んでほしい!」という図書の推薦に係る展示です。

    木下ひさし教授(教育学科)からのおすすめ図書を展示しました。
        
    開催期間:2015年4月8日(水) ~ 2015年6月13日(土)
    開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペース

    ◎手軽に新書を読んでみよう
    1938年に岩波新書が創刊されたのが新書の始まりです。
    値段も分量も手ごろな新書は「軽く」見られがちなところもありますが、内容的に読み応えのあるものも多くあります。気に入った著者やテーマで探してみるとけっこう面白い本が見つかるものです。広い視野を持つために、興味や関心を広げるために新書の棚を眺めてみましょう。刊行中の新書を多様な角度から検索できるサイトもあります。(「新書マップ」)

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99556710

    2015年度の「ネットのあれこれ」でも取り上げられました。

  • 医療現場からのリポートである。ネット依存とはネットの使いすぎで健康や暮らしに影響が出る状態。悪化すると食事を取らなくなり栄養失調になることもある。ただ、現在は病気とは定まっていないところに難しさがある。アルコールや薬物依存と異なり、成人の依存の場合、なかなか周囲が介入しづらいのもネック。他の精神疾患との重複障害が多く認められ、一旦治ってもすぐに元に戻ってしまうのが依存症の特質。ネット依存の治療は基本的には利用時間の制限。生活習慣の改善が第一だ。誰もがネット依存の入口に立っている。忘れてはならない。

  • 依存症治療に携わる医師による,主にデジタルネイティブを子に持つ親のための本。ネットにもいろいろあるが,中でもオンラインゲームが深刻らしい。MMORPGの魅力というか,抜けられなさはそこまでなのか…。
    処方箋としては,だんだんと時間を減らして,できた時間をリアルの活動に充てる。これに尽きるようだ。薬物治療は基本的にしないという。

  • ネット依存症、怖いかも。著者はアルコール依存症が専門だが、ネット問題にも鋭く切れ込む。

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著者プロフィール

独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター名誉院長
精神科医。
1954年生まれ。東北大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部精神神経科学教室に入局。のちに国立療養所久里浜病院(現・独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター)へ。同病院の精神科医長や臨床研究部長、院長を経て現職。
ゲーム障害、ギャンブル障害などの行動嗜癖、アルコール関連問題の予防・治療・研究などを専門とする。2011年に国内初のネット依存治療専門外来を設立。WHO専門家諮問委員、行動嗜癖に関するWHO会議およびフォーラム座長、厚生労働省アルコール健康障害対策関係者会議会長、同省依存検討会座長(2013年)、内閣官房ギャンブル等依存症対策推進関係者会議会長、国際アルコール医学生物学会(ISBRA)理事長、国際嗜癖医学会(ISAM)アジア地区代表、国際行動嗜癖研究学会理事などを務める。

「2024年 『ウルトラ図解 アルコール依存・薬物依存』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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