知の最先端(「世界の知性」シリーズ) (PHP新書)

制作 : 大野 和基インタビュー・編 
  • PHP研究所
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感想 : 75
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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569815206

作品紹介・あらすじ

最先端を走る俊英たちは、何を考えているのか。経営学、都市社会学、安全保障、そしてITの未来等について、7人の世界的知性が語る。

感想・レビュー・書評

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  • 7名の知の巨人の話をまとめたもの

    プロローグに以下のことが述べられています。これが結論?

     ・学問が細分化されているからこそ、全体像を把握する能力が求められている
     ・「知の体系」を身につけるためには、トップを走る人びとの「知」に触れることが最短距離である

    上記をもとに、まとめただけで一貫性にかけているように思えました。

    気になった言葉は次です。

    ・日本は本当にセカンドチャンスを与えない文化です。
    ・東アジアのバランス・オブ・パワーは中国の軍事費の急速な増加に伴い、すでにかなり変化しています。
    ・日本にあるのは「輸出主導の大企業」と「守られた中小企業」です。効率の悪いビジネス環境が温存されていて、これをいかに変えていくか。日本にとってのチャレンジと思います。
    ・日本が常任理事国入りを果たそうとすることはムダな努力であり、もっと有用なことにエネルギーを割くべきです。まずは、経済の立て直しに専念すべきです。
    ・わずかなあいだとはいえ、民主党が政権をとったことは自民党にとってよかったことです。
    ・知識と情報が経済を動かす駆動力であることを最初に発表したのは、ピーター・ドラッカーです。

    構成は以下です。

    プロローグ
    第1章 その「選択」があなたの人生を変える シーナ・アイエンガー
    第2章 共産中国の正統性が失われる日 フランシス・フクヤマ
    第3章 国家の繁栄は「政治制度」がもたらす ダロン・アセモグル
    第4章 製造業の常識を破壊する「メイカーズ革命」 クリス・アンダーソン
    第5章 オリンピックで倍増する東京の魅力 リチャード・フロリダ
    第6章 日本は「イノベーションのジレンマ」の最先進国だ クレイトン・クリステンセン
    第7章 愛はクローン人間の悲しみを救えるか カズオ・イシグロ

  • 冒頭「われわれは広大な情報の海に漂う、一艘の小舟のような存在だ。」
    末尾「とくに日本語の読み書きをやるとなると大変な苦労ですから。」

    本書の前年に出版された『知の逆転』とどうしても比較してしまう。この本が悪いとは言わないけど、やっぱり『知の逆転』(吉成真由美)の方がインタビュー相手や各専門分野の理解が深く、鋭い質問が多かった気がする。
    クレイトン・クリステンセンの『イノベーションのジレンマ』を読んでみたいと思ったし、最近流行りの「お手軽な
    解決法」をありがたがる風潮への警句は大切だと思う。自分の頭で考えることが大切。
    カズオ・イシグロはまだ『日の名残り』しか読めていないけど、『わたしを離さないで』を読まないと。

    「情報が洪水のごとく襲いくる時代に、身につけるべき態度とは何か。それは自らの軸を曲げない意志の強さであり、必要とされるのは全体を把握する「知性」を手に入れることだ。」というのは大切な考え方だと思う。

  • カズオ・イシグロやクレイトン・クリステンセンのインタビューが入っているので買ってみたが、全体的にはイマイチ。

  • これだけの面々と対話をしながら、勿体無い、というのが印象。夫々にキャッチなテーマを確認するような中身で、正直、個々の著作を読んだ事のある人であれば、何を今更?という感が拭えない。詰まらないとは言わないが、勿体無いのだ。相手が相手だけに、知の最先端と大仰に構えても、それぞれの分野に精通していないと、その分野での最先端を掘り下げられないのだ。そして、これだけのメンバーにそういったインタビューをするのは、簡単ではない。

    イノベーションについての著作は、読んだ事が無かったので、以下、備忘録。

    クレイトン・クリステンセンの章にて。エフィシェンシー・イノベーションとは、既に製造し、販売されている製品をさらに効率のよい、手頃な価格にするためのイノベーション。

    2022年8月16日に再読。上記は言い過ぎたか、ダイジェスト版として著者を知り、本編に興味を持つには最適な構成なのだろう。しかし、今回の通読で最も興味を抱いたのはカズオ・イシグロ。他の著書は、著名ながら中国のシャドーバンキングとか東京オリンピックとか、時事的な切り口のため、多少風化した感があったが対照的。作家は肩の力が抜け、自らを語っている。それと、シーナ・アイエンガークレイトン・クリステンセンらによる日本人観について。やはり、比較的統一民族である事は多様性を失し、寛容性が低くくなる。寛容性が低い事が、同質化傾向を強め、失敗を恐れさせるムードを自ら醸成している。挑戦しなければイノベーションは起こらない。「多様化が良い」とは単純に賛同しないが「寛容性は必要」だ。

  • IT、国際政治の専門家など、一流のまさに知の最先端を
    行く天才7人との対話。
    たくさんの刺激を受けた。
    特に、作家のカズオ・イシグロ氏のインタビューでは、著書「わたしを離さないで」のバックグラウンドについて触れられている。
    そこで、私自身再読したいと思った理由が明確になった。
    ミステリーのような雰囲気になったのは、意図的ではなかった。
    「われわれは子どもがかわいいと思ったり、見下したりします。子どもがわかっていないことをわれわれはわかっているからです」だから、それらを大人の読者でさえも、分からない変わった世界を作り出したかったということと、「大人の読者にも同じ奇怪さや恐怖のプロセスを体験してほしかった。子どもや若い読者が経験するのと同じようなことが、徐々にわかっていく過程です。子どもが知る以上に読者に知ってほしくありませんでした」ということ。その結果、ミステリー感がつきまとう作品になったわけだ。
    それから、小説を書くプロセスだとかとても面白いかった。

    気になっていた内容だったので、カズオ・イシグロの話ばかり引用してしまったが、全体的に私でもついていける内容で、読みやすかった。
    最先端の人々は、輝いていて生命力に溢れている。
    その活力を私も少し得た気がする。

  • 最先端なんて言うからよっぽど尖ってるのかと思ったら、意外とわかりやすくて面白かった。ブレない知性。「知の逆転」と似てるけど、どっちがパクったんだろう。

  • 元々はクリス・アンダーソン氏の最新のインタビュー内容が掲載されるということで、期待して買いました。
    読み始めると、他の6名のインタビュー記事も面白く、新書という性格上カタログ的な要素が強いが、その分内容は濃く薄い本だが読み応えのあるインタビュー集であった。
    特に印象に残った3人の言葉を紹介したいと思います。
    クリス・アンダーソン氏の考え方として
    これから21世紀に成長していく企業はどんな企業か?に対して、今の時代の企業に最も必要なのは、Communityを作らなくてはならないということ。またプラットフォームを作り、それが賛同できるものなら、いろいろな人が自らこちらへやって来てくれる。
    シーナ・アイエンガー氏の考え方
    大胆な決断をするときはリスクを取る能力を必要する。つまり失敗を恐れないということ。
    決断の際は「間違った決断VSより正しい決断」と考えてはいけない。これから行う選択には限界があるかもしれないが、その限界が具体化した時にさらに決断して対応することが出来ると考えればよいのだということ。
    クレイトン・クリステンセンの考え方『イノベーション・オブ・ライフ』より、今末梢的なものは将来、コアなものになる。今コアなものは将来、末梢的になる。従って全てのことをアウトソーシングしないこと。
    特にまた読んだことのないシーナ・アイエンガー氏やクレイトン・クリステンセン氏の本は読んだことがないので、これをいいチャンスとして読みたくなりました。

  • 社会心理学者、政治学者、経済学者、作家…。最先端を走る俊英たちは何を考えているのか。国際政治論からITまで、7人の世界的知性が語る。『Voice』『文學界』掲載にオリジナル取材を加えて書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40195735

  • 知性の鋭さや有識者として話題性のある7人の著名人とのインタビュー形式で綴られている本です。
    混沌とした時代を生き抜くために、私たちはどのような視点を持つべきなのか、、専門的で鳥瞰的な鋭い示唆でこれからを生き抜く叡智となる武器を提供してくれます。

  • 約10年前の本で「中国は長続きしない」との言説が散見されるが、実際には長続きしないどころか、膨張し続けており、米と覇権争いをするようにまでなってきている。
    将来予測というのはアテにならないものだなあと思うのだが、これからはどうなるかはわからないので、予測が外れたとも言い難い。ウクライナ情勢も含めて、これからが民主主義と権威主義のホンキの戦いになるのかもしれない。

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著者プロフィール

カズオ・イシグロ
1954年11月8日、長崎県長崎市生まれ。5歳のときに父の仕事の関係で日本を離れて帰化、現在は日系イギリス人としてロンドンに住む(日本語は聴き取ることはある程度可能だが、ほとんど話すことができない)。
ケント大学卒業後、イースト・アングリア大学大学院創作学科に進学。批評家・作家のマルカム・ブラッドリの指導を受ける。
1982年のデビュー作『遠い山なみの光』で王立文学協会賞を、1986年『浮世の画家』でウィットブレッド賞、1989年『日の名残り』でブッカー賞を受賞し、これが代表作に挙げられる。映画化もされたもう一つの代表作、2005年『わたしを離さないで』は、Time誌において文学史上のオールタイムベスト100に選ばれ、日本では「キノベス!」1位を受賞。2015年発行の『忘れられた巨人』が最新作。
2017年、ノーベル文学賞を受賞。受賞理由は、「偉大な感情の力をもつ諸小説作において、世界と繋がっているわたしたちの感覚が幻想的なものでしかないという、その奥底を明らかにした」。

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