知の最先端 (PHP新書)

制作 : 大野 和基インタビュー・編 
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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569815206

感想・レビュー・書評

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  • ・民主主義国家に欠かせない三つの柱…「統治能力」「法の支配」「説明責任」
    ・国家が持続的に繁栄するためには「収奪的」ではなく「包括的」な政治制度が必要
    ・「収奪的」な社会…「少数の人に政治権力を集中させる政治制度」「政府の統治が行き届かない無法状態」
    ・日本経済はマクロ政策に頼りすぎる。それより、新規事業が生まれやすい環境の整備が重要だ
    ・クラウドコンピューティング…かつては手元で管理していたハードウェア、ソフトウェアやデータを、インターネットなどのネットワークを通じて利用するサービス
    ・すべてのことをアウトソーシングしないことが重要。自社が将来成功するために必要な能力は必ず社内に残しておく、といったような判断が必要
    ・報酬や企業方針、管理方針などの「衛星要因」を改善しても不満が少なくなるだけ。仕事に対する真の満足をもたらすのは、自己成長、他社からの評価、仕事への貢献度といった「動機づけ要因」
    ・人はたとえ苦痛であったり、悲惨であったり、あるいは自由でなくても、小さな狭い運命のなかに生まれてきて、それを受け入れるもの。大きな視点をもって、現状から脱出する勇気をもった状態で生きていない

  • 4年くらい前に発行された本だが、現在の世界情勢を的確に予測している。最後のインタビューを受けたカズオ・イシグロの小説に対する考え方が興味深かった。その後、ノーベル賞受賞者となった。

  • この手の本は、どういう人との対話で何を主題にしたのか?が気になるし、対話をした人たちの主義主張というか立ち位置というかを押さえたうえで、読みたい。がっ とりあえず入り口にあたるものなのだろう。

    シーナ・アイエンガー 全盲の社会心理学者 
    日本人に対する洞察は、素晴らしいものがある。日本企業に対しては、「苦境に陥っているのは、日本以外の世界に注意を払っていなかったからだと思う」と。これって、聞けば当たり前だろうと思うような答えだが、結局のところ、これなんだろうなと思える。「考えが外向きではなく、内向きになりやすい」とか、それを踏まえたうえでの楽観主義をとるべきと薦めていて、「いま取り組むことで解決できる課題がある」なんて、何回も繰り返したい言葉。

    ダロン・アセモグル トルコの経済学者 
    社会制度に注目をしていて、「包括的」、「収奪的」に分けて整理。日本に対しては、「収奪的」な要素が残る「包括的」な社会と分析していて、政治体制疑問を持っている。選挙としての不正はないだろうが、不透明なところがあると。「自民党の中に”キングメーカー”と呼ばれる人がいて、”日本をよくするかどうか”とは全く別の基準で候補者を選んでいる可能性がある」って、自民党の幹事長がテレビで、「票が取れれば誰でもいい」って言っちゃうくらいだから、まぁ、健全じゃないんだろうなと再認識。民主主義とも違う日本独自な何かなんだろう。。

    クリス・アンダーソン イギリス出身 WIREDの元編集長
    フリーは読んだことがあって、フリーを使って母数をでかくして、儲けを出すモデルだったような。いまは、こじんまりとした製造業を営んでいるんだな。気になるのは「今の時代の企業に最も必要とされるのは、コミュニティだと思います。その企業の商品を好む人たちや、会社のビジョンに共感する人たちのコミュニティを作らなくてはならない」という部分。これは、すべての組織に当てはまる不変の真理なんじゃないかなと。アメリカは、小規模なコミュニティから新しいビジネスをどんどん創出している感じがあって、その背景としては、日本の製造業に完全にやられちゃった過去があってのことみたいなのだが、いろんなアイデアを持った大量のコミュニティーの出現は脅威。日本でも、少しずつ動きがあるみたいだが、金まわりがきつい感じなのかな。

    クレイトン・クリステンセン アメリカ BCG出身でイノベーションのジレンマの著者
    破壊的イノベーション、持続的イノベーション
    破壊的イノベーションは、低価格でシンプル、小型で使い勝手が良い。

    3つのパターン
    ・エンパワリング・イノベーション:成功で高価な製品をシンプルで手ごろな価格に変えるイノベーション。クラウドコンピューティングやスマホ等。実際の仕事を創出する。

    ・持続的イノベーション:仕事を創出しない。なぜなら、古い製品が新しい製品に置き換えられるだけ。資本に与える効果は0

    ・エフィシェンシー・イノベーション:さらに効率の良い手ごろな価格にする。新しい仕事は創出しないが、資本を作り出すことができる。ダイレクト保険販売等。このイノベーションはほぼ例外なく、仕事の総数を減らす。労働プロセスを合理化するから。ただ、残った仕事の多くは保全される。これをやらなければ、より効率の良い海外企業との競争で負けて消える。

    この3つのバランスが大事のようだ。日本は効率にフォーカスしすぎて、エンパワリング・イノベーションへの投資が少なかったのではないかという指摘があるが、実感として大いにある。
    そして「いま末梢的なものは将来コアなものになります。いまコアなものは将来、末梢的なものになります」というのは、これまた感慨深い。

    因果関係についての洞察を掘り下げたらしい、「イノベーション・オブ・ライフ」は読んでみたくなった。

    カズオ・イシグロ 「わたしを離さないで」の著者。これも読んでみたい。

  • フランシス・フクヤマ、ダロン・アセモグル両氏へのインタビューからは、今後の中国の姿、リチャード・フロリダ氏へのインタビューからは今後の東京の姿がイメージできて興味深い。

  • 各界の第一人者が語る、日本が再生するための鍵とは何か、という内容になっている。そして全員に共通しているのが「イノベーション」というキーワードだった。但し、カズオ・イシグロのインタビューのみ、文学という領域の特徴から、異なる趣旨になっている。
    しかし私にとっては、カズオ・イシグロのインタビュー内容が最も興味深いものに感じられた。イノベーションによって変化した世界とはどういうものなのか。そこで人間は何を感じ、何を思うのか。それはまさに「私を離さないで」で描かれた世界ではないか、と思うのだ。

著者プロフィール

カズオ・イシグロ
1954年11月8日、長崎県長崎市生まれ。5歳のときに父の仕事の関係で日本を離れて帰化、現在は日系イギリス人としてロンドンに住む(日本語は聴き取ることはある程度可能だが、ほとんど話すことができない)。
ケント大学卒業後、イースト・アングリア大学大学院創作学科に進学。批評家・作家のマルカム・ブラッドリの指導を受ける。
1982年のデビュー作『遠い山なみの光』で王立文学協会賞を、1986年『浮世の画家』でウィットブレッド賞、1989年『日の名残り』でブッカー賞を受賞し、これが代表作に挙げられる。映画化もされたもう一つの代表作、2005年『わたしを離さないで』は、Time誌において文学史上のオールタイムベスト100に選ばれ、日本では「キノベス!」1位を受賞。2015年発行の『忘れられた巨人』が最新作。
2017年、ノーベル文学賞を受賞。受賞理由は、「偉大な感情の力をもつ諸小説作において、世界と繋がっているわたしたちの感覚が幻想的なものでしかないという、その奥底を明らかにした」。

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