語られざる中国の結末 (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569815466

作品紹介・あらすじ

急減速する経済成長の一方で、軍拡をやめない中国。来るべき米中「東アジア戦争」の結末を読み解き、日本のとるべき戦略を大胆に提言。

感想・レビュー・書評

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  • 2013.11.21 PHPビジネスオンライン 衆知で見つける。

  • 中国の今後を予測するたぐいの本は、通常中国が米国と衝突するや否やについてをテーマにすることが多いのですが、中国が米国と衝突したあと、日本は中国とどのように付き合うべきかについて考察している本というのは珍しい。(もっとあって良いと思うけど)ただ、新書では無くハードカバーでたっぷり書いて欲しかった気もする。中国が未だに西洋文明との接触を飲み込めていないとの分析は良かった。

  • 元外交官の著者が、中国の動向を分析した一冊。

    色んなパターンを分けて具体的に論じているのが面白かった。

  • 近い将来米国と中国との衝突後、中国統一・分裂/ 独裁・民主化それぞれの場合のシナリオを想定し、中国敗北後の日本の針路を考える。
    著者は、現在の共産中国には日本の安全保障を託せるような実力も魅力もない、日本は大陸と一定の距離をおきつつ貿易に価値を見出す島国同盟を基本とすべき。
    日本は近々起こるであろう東アジアのパワーシフトの結果生ずるかもしれない新たな国際秩序づくりに参画すべきだ。

  • 安倍首相とも近い元外交官が、来るべき米中の衝突「第二次東アジア戦争」の後に予想される中国の政治体制の変化をシナリオ別に分析し、その後の東アジアの国際秩序の中で日本がどのように対応するべきかを語っている。
    本書で著者は、
    ◆今後10~20年の間に米中の軍事的緊張は一層高まる。東アジアと西太平洋における現状維持を望む米国に対し、同地域における勢力の回復・拡大を目指す中国が挑戦することになるからである。その背景には1840年代のアヘン戦争に始まる「西洋文明からの衝撃」という漢族の民族的トラウマがあり、「人治」がすべてに優先するという「中国の伝統的な統治システム」を実質的に否定する欧米の民主的発想への反動でもある。
    ◆サイバー空間や宇宙空間などでは既に戦闘が始まっており、今後、場合によっては、部分的かつ短期的な軍事衝突さえ起こりうるが、中国が勝利を宣言できるような形で終結することはなく、中国共産党の権力を弱めることになる。
    ◆戦争終了後の中国の政治体制については、1.中国統一・独裁温存、2.中国統一・民主化定着、3.中国統一・民主化失敗と再独裁化、4.中国分裂・民主化定着、5.中国分裂・民主化失敗と再独裁化、6.中国分裂・一部民主化と一部独裁の並立、7.中国漢族・少数民族完全分裂、という大きく7つのシナリオが考えられ、現時点において最も可能性が高いのは1.であるが、米中衝突という事態の与える影響は計り知れず、いずれ国内情勢は不安定さを増していく。
    ◆このように東アジアの情勢が変化する中で、日本のとるべき戦略は、島国という地政学的特性を最大限に活かし、大陸の諸問題には一定の距離を保ちつつ、大陸諸国間のパワー・バランスを維持し、海上交通路を確保して貿易を奨励すること、そして、アジアで初めて、近代化を成し遂げ、国家統治において(欧米型の)普遍的・合理的システムと伝統的価値とを共存させた国としての役割を果たすことであり、それにより、第二次大戦を「歴史」にすることができる。
    と述べている。
    現代世界において唯一帝国的性格を残す中国が、今後も帝国であり続けるのか、それとも民族国家に変わるのか。大帝国は必ず分裂するというのが歴史的教訓であり、ソ連の崩壊をリアルに経験している世代としては、「諸行無常」、現時点では予想もできないような事態が起こるのではないかとも思う。そのとき日本は如何に対処するのか、遠くない将来のシナリオとして考えておく必要性を感じる。
    (2014年2月了)

  • 世界と日本のかかわり方を3つのフェーズに分けて論じたくだりがためになった。日本が最も繁栄するのは島国同士の同盟を組んだ時期だと著者は主張する。日英同盟と日米同盟。アメリカが島国だという指摘は意外であった。

    そういえば、日本は海洋国なのか?という疑問を呈したのは、故・高坂 正堯だったと思う。どういう内容なのか失念した。もう一度読んでみよう。

  • 元外務省高官による今後の中国の未来予測。左右バランスのよい冷静な分析で非常に分かり易い。今後考えられるのは米中の偶発的な衝突。現在の戦力では圧倒的米国が有利ではあるが、その背後に日本の存在が必要。衝突は短期決戦。問題なのはその後どのように中国共産党が国を維持できるのか、著者が提示するいくつかのシナリオが面白い。
    中国の民主化の副作用として、韓国と同様に従来以上に反日ナショナリズムに依存する国家が出来るという可能性。中国の民主化は歓迎される事ではあるが日本にとってマイナス要素が多いのだと。
    中国の好き嫌いで自己満足的な予測をせず、現実の対応を考えることが大事だと筆者。
    それにしても中国の大気汚染はなんなんでしょう。ビジネスで行かざるを得ない方々、ご自愛下さいませ。

  • もと外交官の著者が、紛争を契機とした中国の変革の7つのシナリオを分析している。バイアスがかかっていない客観的で丁寧な分析で、信頼が置けそう。いずれのシナリオにおいても人民開放軍の動向がキーになるとのこと。一番ハッピーなはずの、シナリオB(中国統一・民主化定着)でさえ、民主化し超大国化した中国のなかで反日感情が高まる、厄介な状況を描いていて恐ろしい。結局、どのシナリオも日本にとって安心できるものではないということだ。

  • 2015/07/24:読了
     扇動的な本ではない。
     地政学的に見て、今の中国の現状と、今後のケースが記載されている。読みやすく納得感がある。
     本の最後のページにある以下は非常に重要。
     日本の過去150年の試行錯誤は、普遍的価値(西欧文明)と日本の伝統主義(アジア的な伝統文化)の折り合いをつける作業でもあり、それを行ってきたのは「保守」である。
     そのような知的貢献を「左派」は行えなかった。
     今後もその折り合いをつけ続けることが必要で、それを行える可能性があるのは日本だけであり、そこに日本の存在価値がある。そして、それを行えるのは「保守」だけである。

  • 中国の今後のシミュレーションと、その際の日本の取るべき道を提案した本。イギリスを参考にすべし。

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著者プロフィール

1953年神奈川県生まれ。東京大学法学部を卒業後、外務省に入省。外務大臣秘書官、在米国大使館一等書記官、中近東第二課長、中近東第一課長、日米安全保障条約課長、在中華人民共和国大使館公使、在イラク大使館公使、中近東アフリカ局参事官を歴任。2005年8月外務省を退職し、外交政策研究所代表を務める。2006年4月より立命館大学客員教授。2006年10月〜2007年9月、安倍内閣で総理大臣公邸連絡調整官。2009年4月より、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。

「2023年 『通説・俗説に騙されるな! 世界情勢地図を読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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