- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569816227
作品紹介・あらすじ
改正論議に「待った」! 憲法9条、96条をなぜ変えてはならないのか。憲法界の俊英が、その理由を明快に語る一冊。上っ面の議論は不要。
感想・レビュー・書評
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題名から判断してしまうと、何か陰謀論的なトンデモ本のような印象を感じてしまいますが、全然違います。
テレビでは伝えきれないのです。
「改憲論」などは割とニュースになりますが、
時間はわずかであるし関心もそれほど高いとは
言えないです。
そうなるとテレビでは必然的に扱いが少なくなります。
それではいけません。
「憲法とは、こういうものだよ」と教えてくれる本です。
その第一印象は「憲法ってとても良くできてる法律
なんだな」
戦後の混乱した時代に施行されたにもかかわらず、
よくまあこんなに考え込まれた、バランスの良い法律
が出来たものだ」というものです。
もちろん長年の研究で「この条文はこういう意味を指しています」という解釈による結果もありますが、
国家の根幹をなす法律としては世界に誇れるものであると言えます。
日本国民必読の一冊です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
そもそも憲法とは何か。
しっかりと答えられる人は少ないと思った。
では憲法改正は何が論点で、何が問題なのか。
この本を読んだことで一旦整理が出来たと思う。
世には「解釈」という文字が良く出る。
一点からだけ光を当てれば、影がで反対方向に出る様に、光は意図的なものであり、解釈を争点にしても意味がない。
この本では国際法と憲法の内容の関係性を説いたことで、確からしい見解を述べ、一定の納得感を生じさせた。
何事も本質に近づく努力が必要である。 -
「国民主権」における国民の定義や、国際法、国連憲章を前提とした憲法理解はとても興味深い。理解しやすい良書
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筆者は分かりやすさの罠を本書の中で訴えていたが、この本は分かりやすかった。とても真面目そうに見えるので、内容も堅いものかとおもえばそうではなく、ユーモアに富んだ内容もあり、憲法以外の話題を上手く取り込んで読みやすくされている。押し付け憲法論に対しても、一笑に付して終わりではく、雨月物語の例を持ち出して、論者を見捨てない態度を示すあたりが好感が持てた。サンモール洋光台に行ってみたくなった。
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総論は同意なんだけど、ちらほら引っかかる。現状分析とその論理的帰結と学問上で多数意見のあるべき姿と自分の思うあるべき姿が意図的かは分からんが混同されているような… 読んでて議論をずらされていると思う。
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今までの改憲論者達に対するもやもや感が氷解した。特に9条の章は目から鱗が落ちる状態で感動した。国際法をベースに読めばなんら問題はなく「普通」な文章だということを。この条は国際社会に向けた外交声明だと認識すればいいのだ。
「自衛権の行使」と「自衛戦争」は違う。前者は当たり前で後者は悪。
「分かりやすいこと」素朴な議論に飛びつく危険さを知った。 -
本書は『テレビが伝えない…』というタイトルですが,それは,「テレビなどのマスコミが隠している事実を書いてあります」という意味ではありません。
テレビでは,視聴者に分かりやすい解説が求められます。しかも,短時間でコメントをする必要があるので,これは,この制約はある程度,仕方がありません。
ところが,その「視聴者に分かりやすく,簡単な解説」が曲者となるのです。憲法が持っている本質を説明したり,意見の食い違っている内容の問題点を解きほぐすためには,じっくりと論理を進めなければならないのに,テレビでは,それができません。時間が限られているから…です。
そこで,筆者は,色んな問題について,幅広く,じっくりと語ってくれます。
たとえば「日本国憲法は押しつけ憲法だ」というのも,その一つ。これ,GHQが押しつけた憲法だ!というのですが,それって本当なんでしょうか。では,大日本帝国憲法は,押しつけ憲法じゃないのでしょうか? そもそも,押しつけって,誰が誰に対して? …などと,「押しつけ」一つにしても,考えるべきことはたくさんあるわけですが,テレビやマスコミでは,分かりやすい言葉としての「押しつけ」が先行してしまいます。
これを説明するのに『雨月物語』「白峯」を出してきているのがおもしろいです。「押しつけ論者」をも包みこむ,この論理の展開は,必読です。
他にも,国際法から見た憲法9条の話など,私にとっての初めての視点があって,興味深く読み進めました。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/712153 -
憲法についての正しい理解と学ぶ楽しさを説く。平易な表現で随所に楽しい例や喩えが盛り込まれているので、飽きずに読めた。何より憲法の意義や大切さを学べ、憲法の復習に一念発起した自分にとってもってこいの入門書になったように思う。人々にとって権力は必要であることを認めつつ、現実の国家が正しく権力を扱うように定めた最高法規が憲法だという観点は、政治や外交といったどこか対岸と感じてしまう問題だけではなく、日々の生活で感じるアイデンティティに根差す問題を考えることの大切さを教えてくれる。
その他、国民主権と三権分立が正しく国家が機能するための優れた制度であること、憲法制定の背景には(悲惨な過去を含めて)歴史との強い結びつきがあること等、今更ながら、目から鱗的に学べたことが多くあった。
また、個人的には終章で著者が引き合いに出した雨月物語の「白峯」と著者のメッセージが心の琴線に触れた。怨霊となった崇徳上皇と西行の舌戦において、孟子や古事記等の権威ある先例を引き合いに出して双方の主張をやり取りする様の面白さと、論破された崇徳上皇が吐露した心情に対する西行の突き放した優しさを紹介しつつ、押しつけ憲法等の分かりやすい主張が目立つ昨今の憲法議論について、一人の大人として感情論や分かりやすい(でも誤った)論理に迎合せず、きちんと学び理解して客観的な観点で議論しようと呼びかける姿勢に著者の強い信念を感じ取った。
ひとりの大人として、今更ながらきちんと勉強したいと思う。 -
改憲、護憲どちらにも偏らないようバランスを重視しながら、わかりやすい言葉でユーモアを交えながら日本国憲法の基礎の基礎と「わかりやすい議論は危険だ」という事を教えてくれる良著。