- 本 ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569816852
作品紹介・あらすじ
天正十年(一五八二)六月、本能寺の変勃発! 天下にあと一歩まで迫っていた織田信長死す! これはピンチか、はたまたチャンスか!?▼この驚天動地の事態に、息子・織田信孝は誰につこうか右往左往し(「最後の忠臣」)、家臣・滝川一益はかつて褒美として関東の領地より茶道具を選んでおかなかった決断を後悔し(「関東か小なすびか」)、敵将・安国寺恵瓊は秀吉と和睦を結んだ後で真相を知って歯ぎしりし(「南の山に雲が起これば」)、側室・おなべは誰も安土城を守ろうとする者がいない中、懸命に声を張り上げた(「信長を送る」)。▼思わぬ事態に接した時ほど、人間の本性は出てしまうもの。あなたに似た人物もどこかに出てくるかも。信長の死によって運命を変えられ、大きな岐路を前にとまどう男たち、女たちを温かく(?)描いた、共感たっぷりの連作短編集。▼「本能寺の変に黒幕はいたか」では、著者が考える斬新な「本能寺の変の真相」も綴られます。
感想・レビュー・書評
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紹介にて読んだ。本能寺の変なのに織田信長も明智光秀も出てこないのが印象的でした。
複数人のエピソードが出てくるので、読みやすくていい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
視点が面白い。本能寺の変そのものを題材とせず、結果、波及した物語を紡ぐという視点。そういう描き方があったかぁ。という感じだ。
その時何が起きたではないが、徳川家康、羽柴秀吉ぐらいしか注目しなかったが確かに信長に関係のある人は確かにすごい沢山いたわけでその分の物語があったんだと思い直した。引きこもごも人生があったのだ。
当時としてはそれだけ大きな事件だったわけだ。
個人的には三七信孝の物語が非常に示唆に飛んでいて笑えた。 -
面白かった。
読み終わってから時間があいたので、こんな感想でごめんなさい。 -
裏舞台の方々に初めて想いをはせました。少し探索したい気分に…
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最初の2編ほどはなかなか面白かったですが、
だんだん、あれれ??という感じに。
好きな時代だけにちょっと残念 -
色んな見方ががありますね。
明智の痴呆説もしかり。 -
安国寺恵瓊、堀秀政、織田信孝、滝川一益、安藤守就、おなべの方…本能寺の変によって人生を翻弄された人々を描く連作短編集。異色なのは、黒幕などいないと思っているのに、むりやりつづった「本能寺の変に黒幕はいたか」。ちぐはぐな様々な挿話も、光秀67歳説と光秀認知症説をとればすべてつながる、とバッサリ。近衛前久はいかにも怪しい行動があったけどシロだろう、と付け加えて。南の山に雲が起これば、北の山に雨が降る、安国寺恵瓊。最初は毛利の家のために奔走していたが、あまりにも視界が内向きで強欲な毛利家にあいそがつき、心情は中央寄りになり、交渉手腕を買われ、大名としてとりたてられる、その時毛利家面々の当惑顔を横目に、つらっとしている恵瓊の図、目に浮かびそう。最後まで付き従ってくれた忠臣の一言に、愕然、暗澹とする織田信孝、将来の傲岸が最後まで人に慕われなかったということか。最後まで己の道を、赤子のような純真さで理の道をつらぬいた柴田勝家と引比べ、いち早く秀吉に付き従い、とりいってきて己の道に疑問を覚える堀秀政。関東支配をまかされて二ヶ月で追い出される事に成った滝川一益の苦闘。木曽との人質交換のくだり、真田昌幸の母とのやりとりが愁眉か。川尻秀隆との対比。”忠義を貫くという生き方は、ひとつの主義主張を貫くということだから、一方で大きな反発を呼ぶのも避けられない。”と。最後近くの、蒲生賢豊の、油断と家臣の扱いが酷薄だったために生害された、よい主ではなかった、それゆえみな城を守ろうとせぬ、あの世へいけばなくなるほどの薄い恩、忠義という前にご恩が薄かった、という言葉をおきつつ。
著者プロフィール
岩井三四二の作品





