木材・石炭・シェールガス 文明史が語るエネルギーの未来 (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
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レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569817972

作品紹介・あらすじ

歴史をひもとき、エネルギーの原理を考えれば、再生可能エネルギーが環境に悪いのは明らか。文明史からエネルギーの未来を読み解く。

感想・レビュー・書評

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  • この2世紀で世界人口は10倍、世界平均寿命は2倍になりましたが、これはエネルギー革命の恩恵だと知らされます。つまり、エネルギーを大量に消費しながら種を繁栄させるのは人類の業ということですね。そんな中、もてはやされる再生エネルギー(太陽光・風力等)の致命的なまでのエネルギー効率の悪さを明らかにします。バラ色の救世主は存在せず、冷静に将来を見据え、経済合理性に基づいて対処すべき事を説いています。筆者自身も、一部感情的に筆を走らせた箇所もありますが、多くの知見があり、示唆に富んでいると思います。

  • 再生可能エネルギーは、CO2を出さないが生態系を破壊し、化石燃料エネルギーは、CO2をたくさん出すが生態系を直接的に破壊しない。原子力は、CO2を出さず生態系を破壊しませんが、完璧な技術ではないので、3.11のようなことが起こる。エネルギーについて、ではどうすると良いのか。たとえば、アメリカでは最近、シェールガスという天然ガスが発掘され、新しいエネルギーになっている。これは、昨今のコンピューターと情報技術を使ったハイテク技術によって採掘可能となったガスです。同様に、シェールオイルというものもあり、どちらも地中の頁岩(シェール)に閉じ込められた化石燃料ですが、世界的な埋蔵量はかなりのものだそうです。250年以上持つ、と言われている。著者は天然ガスの発電技術もあがっているし、目下、いちばん有望なエネルギー源としています。それに、石炭火力や水力をふくめた再生エネルギー、できれば少しの原子力をまじえたバランスでやっていくことが、日本では適しているのではないか、と難しくてこんがらかったエネルギー世界での、一つの優良な選択肢を提示します。北欧を見習おう、だとか、原発の無いドイツを見習おうだとか、いろいろ、僕も本書を読む前から知っている論調にたいしても、本書では、人口規模や国土の地形の違いから否定したり、逆に火力に頼ってしまってCO2を増やしていたり近隣諸国のお世話になっていたりすることから、ナンセンスさをわからせてくれています。つまり、日本は日本で、かなり頭を使っているので、どこかの国が日本より抜けていてうまいことをやっているってことはないんです。日本は日本の状況で考えうる限りの最善策をやっているようです。

  • <目次>
    まえがき 歴史と原理がないがしろにされている
    第一章 「エネルギー反革命」の時代
    第二章 再生可能エネルギーの世界史
    第三章 第一の反革命 再生可能エネルギーは環境に悪い
    第四章 第二の反革命 シェールガス革命
    第五章 第三の反革命 「石油の世紀」の終焉
    第六章 エコという迷宮
    第七章 エネルギーの将来
    あとがき

    2014.04.22 新書巡回で見つける。
    2014.05.19 読了、秀逸。

  • 読了。2014年発行の本。2016年4刷とあった。売れているのかな?
    勉強になる。原子力全廃は合理的でないとの主張と思う。2018年の状況について、著者に聞いてみたい気がする。

  • データに基づき、エネルギー問題の全体像がわかる。特に再生エネルギーの限界や世の中の誤解が丁寧に説明されている。再読したい。

  • (後で書きます。参考文献表あり)

  • 「エネルギー問題は奥深くて、一筋縄ではいかない。各エネルギー源は、全てそれぞれ独自の大きな欠点・問題を抱えており、魔法の杖、救世主のスーパースターはどこにも存在しない。それは、現代社会の人口が巨大すぎ、経済規模が巨大すぎ、必要エネルギーの量が巨大すぎて、言わば「猫の手も借りなければ、やりすごすことができない」からだ。

    窮地に陥ったときに、最後にスーパーヒーローが現れて、見事に危機一髪ですくわれるというのは、ハリウッド映画や「水戸黄門」などのお約束のテレビドラマだが、現実の世界は甘くない。

    ヒーロー待望や技術ファンタジーに依存すると、結局は、悲劇に見舞われることになる可能性が高い。「地獄の道は善意で敷き詰められている」、「ユートピアに見える地獄への入り口」というのが、人類史の極めて重要な教訓の一つだろう」

    と、筆者は安易な再生可能エネルギー代替神話を、むしろ環境を破壊するものとして退ける。ただ3.11以降、原子力が大きく復権する可能性は低く、短期的にはLNGの比率を増やしながら、落としどころとなるベストミックスを探るというのが、ざっと結論になるだろうか。

    IPCCが政治化しており、コンピューター・シミュレーションに依った予測が必ずしも正確ではない、という主張については、確かに可能性としてはあるのだろう。ただ筆者も述べるとおり、CO2の温室効果が実験室レベルでは定説であるから、環境負荷を減らす方向で動かないといけないことに変わりはない。

    緑化と省エネ。エネルギーの使い手である私たちは、一過性の感情的な判断を避けるために情報を集め、まずは身の回りの地道な努力を続ける必要がある。

  • 15/2/12読了

  • エネルギー問題の核心をわかりやすく説明しており、大変素晴らしいと思います。
    しかし、再生可能エネルギーについては作為的に、読者を再生エネルギー反対に導くような論述がなされていて、疑問を感じました。
    例えば、大規模な太陽光発電施設を作る場合、元々の土地の生態系を破壊し、パネルの熱による上昇気流の発生が問題。このように書かれています。しかしながらこれらの問題は、現在、ほぼ存在し得ず、筆者が作為的に説明していると思われます。
    こういった事を理解したうえでこの本を読むのであれば、エネルギー問題の見方を増やせるのではないかと思います。

  • 原発再稼働やFITの混乱で揺れる今こそ、読むべき本。

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著者プロフィール

エネルギーアナリスト

「2014年 『木材・石炭・シェールガス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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