中国の大問題 (PHP新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569819266

作品紹介・あらすじ

中国に媚びるのではなく、中国を利用するために――大使として、実業家として中国全土を隈なく見てきた末に見通せる中国の現実を報告。

感想・レビュー・書評

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  • 中国についての情報を集まるべく読んだ本。中国や共産党の組織体制、財政、少数民族問題、社会保障、日中関係等についてがまとめられている。
    伊藤忠時代から30年以上も中国に関わっているため、中国要人に関しての記述は具体的で要点を抑えていたと思う。断片的な中国政府についてのイメージが整理できた。
    平易な書振りで、素人には読みやすかったが、内容に新鮮みには欠けていた。

  • 「中国よ、日本をなめてはいけない」
    「日本よ、歴史の重みを学びなさい」

  • 総合商社・伊藤忠の会長から初の民間出身大使として中国に赴任したという経歴の丹羽氏による中国論。大使時代(2010-2012)に中国との協調路線を進めた事で国内世論から「中国寄り」と非難を浴びることの多かった丹羽氏だが、今もなお「日本の国益を守る」という観点から中国の重要性と危険性の両面について考察する。世界最大の14億という人口・ゆがんだ経済発展・政府高官による汚職・少数民族への弾圧など、今の中国が抱える大問題を、官僚出身の「職業外交官」とは違った民間外交の目線からレポート、世界第2位のGDPをバックに驕(おご)りを見せ始めた中国を、「恐れてはいけないが侮ってもいけない隣国」と定義し、彼らを「資する」ことを止め、「利する」戦略に転換することが重要であると主張する。

  • 経済的な話は真っ当に思える部分もあったが、やはりそこだけという感じもする。

  • 【由来】
    ・確か図書館の新書アラート。

    【期待したもの】
    ・丹羽さんと言えば、単に状況を憂える発言をしただけでえらくバッシングされた元大使。どんなことを主張するんだろ?

    【ノート】
    ・2割円安になったら名目gdpはドルベースで2割落ちる。p77

    ・かつて中国大使を務め、状況を憂える発言をしただけで、えらくマスコミからバッシングされた丹羽さんの本。商社マンとして中国と長く深く関わってきた人らしく、習近平をはじめとする中国要人の人となりや権力構造における今の状態や今後の見通しについて、自身との交流を通じて得た感触を伝えてくれる。例えば習近平の現在の権力基盤の脆弱さと、数年先を見据えた彼の人事の布石など。また、中国の悪い部分や、国として引けない部分、中国の言い分について、バランスよく見渡しており、それは日本に対しても同様で、日本政府の愚行や我々国民が勘違いしているかも知れない点を指摘してくれる。この辺りは、前に紹介した「転換期の日本へ」と照合しながら読むと、事実が浮かび上がってくる。

    ・著者は、日本と中国、それぞれの主張について現実的な理解を示しながらも、対話の重要性を説く。それはもちろん両国首脳に対してなのだが、それ以外の種々の、例えば経済や文化などの階層でも対話を深めていくべきだと主張する。その背景にあるのは、本人の現場主義なのだろう。貧しい暮らしをしている僻地の一般中国国民とも対話をしてきた著者だからこそ、上っ面のナショナリズムで、対話を欠いたまま対立が進行していくことを憂いているということなのだろうなと感じた。

    ・前にサラッと紹介した「問答有用」もそうなのだが、中国にも日本にも、煽る人がいれば、真剣に両国の関係改善を考えて発言、行動する人もいる。こんな当たり前のことが、メディアで紹介されないだけで、随分とフィルターがかかるものだということを再確認させてもらった。

  • 至極真っ当な中国論だと思う
    特に世界での中国の評価と日本での中国の評価は大きく違うという事を知る必要があると思う

    著者の打った石が何であったかははっきりしなかったが、今後の日中関係に効いてくると期待したい

  • 2017/1/20読了。
    ある方の推薦本。
    丹羽宇一郎さんが中国大使になっていたことすら知らなかった私だけど、比較的理解しやすい一冊だったように思う。
    衝撃だったのは、中国人や韓国人に激しく嫌悪感を示しているのは日本人くらいのものだということ。
    知的先進国だと思っていたけれど、日本もまた情報的に鎖国状態であり、ワールドスタンダードが理解できていない特異な人種だと思われているのかも、と気付かされた。

  • 2014年刊。著者は早稲田大学特任教授。

     民主党政権下の中華人民共和国駐留特命全権大使だが、個人的には伊藤忠商事の辣腕社長というイメージが強い。
     その著者が大使体験を軸に、日中関係の現状と将来、そして日本の問題を辛辣に叙述する書。

     冨坂聡の著書を読んでいれば、中国の現状は意外ではないが、全権大使中に中国各地を歴訪し、地方有力者や少数民族関係者と会談し、あるいは間近で見た習近平観等、独自の切り口が光る著である。
     ここで表れるフットワークの軽さが商社マンの経験が生きたものと言えそう。

     本書にある日本の教育の不備。さらに、人的関係を軽視する外交の在り方、事実を歪曲するマスコミ(明示しないが新聞だろうか)は納得のそれ(日経とNHKのBS系を除き、海外報道をまともに熟読・熟視する気持ちが起きない)。

     元来、モーレツサラリーマンであった著者で、個人的には「こんなタイプが上司ならかなわんなぁ」と感じていた人物だが、なるほどと思うことが多かった本著は相手が丸くなったのか、自分が変わったのだろうか?。

  • 民間人から中国大使なった丹羽宇一郎による一冊。

    中国の内政・外交について決して日本よりにも中国よりにもならずに淡々と記述しており、勉強になった。

  • 不戦の誓いを両国でする。しかし、それはすでに日中共同声明に入っている。
    中国は国際的には好かれている。それを認識しないといけない。アフリカの若者からの好感度は高い。
    日中共同声明など基本四文書がいかに重要かを改めて感じた。

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著者プロフィール

丹羽宇一郎(にわういちろう)
公益社団法人日本中国友好協会会長。一九三九年愛知県生まれ。元・中華人民共和国駐箚特命全権大使。名古屋大学法学部卒業後、伊藤忠商事(株)に入社。九八年に社長に就任すると、翌九九年には約四〇〇〇億円の不良資産を一括処理しながらも、二〇〇一年三月期決算で同社の史上最高益を計上し、世間を瞠目させた。〇四年会長就任。内閣府経済財政諮問会議議員、地方分権改革推進委員会委員長、日本郵政取締役、国際連合世界食糧計画(WFP)協会会長などを歴任ののち、一〇年に民間出身では初の駐中国大使に就任。現在、一般社団法人グローバルビジネス学会名誉会長、伊藤忠商事名誉理事。

「2023年 『仕事がなくなる!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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